グリーンレイクの芝生と景色

   ワシントン州 グリーンレイク 二〇一二年一〇月八日 午前一一時〇〇分

 無邪気にはしゃぐトーマスに続いて、彼の足取りを追いかける香澄たち。シアトルの天気は一日晴れ模様と天気予報で言っていたので、途中で天気が荒れる心配はない。“午前中はグリーンレイク周辺を散歩しよう”と香澄たちはプランを立てる。緑の芝生は管理人によって手入れされているためか、常に綺麗な状態に保たれている。

 だがグリーンレイクの敷地内は香澄たちが思っていた以上に広く、直径が約四㎞~五㎞ほどある公園。そのため散歩コースとしてはちょうど良いのだが、一日で回るとなると多少時間がかかる。

 そこで香澄たちは半周だけ散歩することにして、その後はお昼まで自由行動することになっている。なお香澄たちは南側からグリーンレイクへ入園しており、今現在は北東エリアにいる。

「さてと――私と主人はこの辺りで、一度休憩を入れるわ。お昼まであと一時間くらいあるから、それまで香澄たちも自由に過ごしてね」

左手の腕時計を確認しながら、“はい、わかりました”とうなずく香澄たち。


 だがここでハリソン夫妻たちと香澄たちが別行動を取ってしまったことで、どちらへ着いて行くか戸惑いを見せるトーマス。だが今は自由行動であるため、お昼までどう過ごすかはトーマス自身が決めること。

『まだお散歩したいから、香澄たちを誘ってみようかな? 香澄たちは今どこにいるのかな……』

 一人で散歩するのはつまらないと思ったのか、周辺に香澄たちがいないか探し回るトーマス。しかし行動に移すのが少し遅かったようで、香澄たちはすでに他の場所へ行ってしまったようだ。

『……さっきまで僕の近くにいたのに、どこへ行ったのかな? ……まぁ、いいや。香澄たちがいないなら、ケビンとフローラの所へ行こうっと』

 香澄たちがいないことを確認したトーマスは結局散歩には行かず、芝生で一息入れているハリソン夫妻の元へと向かう。


 トーマスがふと周りを見てみると、家族連れやカップルなどを中心に人が集まっている。一人でグリーンレイクの緑や空気を堪能している人も多く、楽しみ方は千差万別。また近くにレストランや動物園などもあるため、待ち合わせにも非常に便利な場所。

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