第25話

***

秌山「どう、これ?」


藍田「…………」


新谷「うーん……」


早水「全体はおかしいですけど、個々の分岐で見たら、全部順当な方に動いてるんじゃないですか」


新谷「わかるよ? わかるけど、だからこそ逆に納得できなくない? 募金活動は——まあするよな? 

 で、ギアは熒が乗ってきたからいいとして——で、熒が反乱活動してるって電話かけたら警察は動くよな? 

 で熒が配ってた紙に反乱を煽るようなことが書かれてたんだよな? じゃあやっぱり捕まえようとするよな? 

 特にあまり評判の良くない警察ならちょっと強引にやろうってなるよな? でも周りはみんなおかしいって思うから反発するヤツもあるよな? 

 揉めるよな? 銃声がするのは熒が仕組んでたから熒は知ってるしみんな知らないんだから、銃声がして急に倒れたら撃たれたって思うよな? でそれが配信されてたら話題になるよな?」


早水「全部妥当だと思いますけど。別の方向に行く方が不自然じゃないですか?」


新谷「お金は? 見たからって話題になってもお金払うとは限らなくない?」


秌山「そこはダイスの運かな」


新谷「んーじゃあやっぱり正しいのか? 釈然としない!」


早水「あなた自分中心じゃないとムカツクだけでしょ」


新谷「あーそれはあるかもな。私自己中だから。それにしてもなんで、それ狩野は知ってるの? お前、あの紙見てなかっただろ?」


狩野「考えたらわかることだよ」


新谷「お前そういうとこあるよな。あとあれ何なの?」


狩野「あれって何?」


新谷「藍田さんに色目使ってただろ」


狩野「あ、あっはっは、あれはね。イケるかなって雰囲気だったから」


藍田「どういうこと?」


狩野「いや端末奪えるかなって思って」


藍田「ああ——そういう」


新谷「こいつ手癖悪いから気をつけた方が良いぞ。この前も——まあいいや。でどうするの?」


秌山「私達どうなったんだろうね」


藍田「まあ——釈放されてるんじゃないの」


新谷「投げ遣りだなぁ」


藍田「そっちこそどうするの? このまま予選参加するってこと?」


秌山「それは、そうするだろうね」


藍田「ギアマスターと戦いもせずに?」


秌山「戦う理由がないから」


藍田「え、じゃあそのまま予選のフェーズに行くの?」


新谷「もう消化すべき条件なくない? 他に行くところある?」


藍田「ないけど」


新谷「そんな渋い顔するなよ。じゃあ始めようぜ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る