第9話
***
藍田「ここでですね。必殺技が使えます」
新谷「おっ! きたなこれ」
秌山「ついに私の必殺技、『32年テーゼ』を使うときが」
早水「秌山、あなたこの場にいないでしょ」
新谷「私の必殺技は『ラグナロクタイフーン』だ!」
早水「だっさ」
早水「……だっさ」
新谷「お、おまえ、二回もいうことないだろ」
狩野「いいからはよふれー」
藍田「じゃあ必殺技の値でダイス振ってもらっていいです」
***
「今だ、ラグナロクタイフーン!」
全力で振り抜いた大剣の剣圧で敵の動きを制し、一気に間合いを詰めて敵を至近からぶった切るという力任せの技だった。狙いは見事に的中し、敵機は剣の渦に巻き取られ、思わず鉄槌を取りこぼした。
新谷は大地を蹴って全速力で馳せると、横に薙ぎ払った彼女の剣は次の瞬間には無惨にも相手の機体を両断していた。
「よし、これで終わり!」
大きく息を吐いて振り向くと、目の前に銃口があった。その後ろには見慣れない黄土色の機体。敵がもう一機残っていたことに気づいたのはその時だった。
――終わったッ!
思わず目を瞑る。
一秒――二秒――三秒――。
…………。
――何も起こらない。
恐る恐る目を開ける。
黄土色の機体はゆらりと――視線を落とし。
――倒れた。
「何をやってるんですか……」
通信から早水の溜め息が聞こえた。
よく見ると――。
敵の機体の後頭部に太い鉄の矢が刺さっていた。
「終わり、ですね」
早水がそう告げると同時に、試合終了を告げるホーンの音がフィールド上に響き渡った。
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