第5話

 磐座は敵の姿を求めて、フィールドの中央付近をうろついていた。通路の中央を堂々と闊歩する姿は一見すきだらけのように見えるが、その神経は人間の極限まで敏感になっており、五メートル先の糸の落ちる音までもを拾えるような繊細さを見せていた。――ただし、これは本人の談だが。


「いないなあ。みんな私を恐れて逃げ去っちまったのかな」


 そう嘯きながら通路を曲がると、突然現れた銀色の物体に鼻先が触れ、カツンという高い音が響いた。


「ッ――!」


 磐座はそれが斧の切っ先だと知る前に反射的に二歩後ずさり、敵の全身を視界に捉えようとしていた。


 敵も怯んでいる、気づくと体が先に動いていた。


 磐座の武器、両手持ちの大剣を一思いに振りかぶると、その勢いのまま敵の躰ごと真っ二つに斬り伏せていた。


「余裕余裕」


 軽く汗を拭うとマイクに向けて声を発した。


「しん――じゃなかった磐座、一人撃破」

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