この話は「私」の幼少期をしたためた回顧録。
壮絶な幼少期。スクールカーストの最下位にいた「私」が成り上がったわけではない。
理由のない理不尽な苦しみに、声を出さず、じっとうずくまるようにしてこらえていた。
そんな「私」にはある才能がある。それは「字」が書けること。
彼女の「字」は印字と変わらない達筆で精巧な字である。
この物語は、彼女の「字」がキーになり進められていく。
読み進めると、彼女の暗澹たる境遇に胸が痛み、そして、差し伸べられた光に安堵する。
読者は等しく、彼女に注がれた「光」が「安寧」へ変わることを祈っただろう。私も祈っている。
彼女に「安寧」は訪れたのか。
それは、この作品を最後まで読み、感じてください。