第4話 キャラ設定と役作り

 キャラクターの設定を考える事と、演劇における役作りは似ている、気がする、と言う話。


 例えば役作り。


 台本を手渡されて、その役柄を考察する。ああでも無いこうでも無いと試行錯誤を重ねて、この人物はどんな人なのだろう、と言う所を掘り下げる。


 掘り下げ方は色々な方法があるけれど、一般的な方法で言うと、やはり紙上でプロフィール諸々を整理する事。


 フォーマットも色々あり、生年月日・性別・年齢・身長・体重と言った基礎的な部分から、幼児期~現在に至るまでの環境の変化・両親兄弟との関係・学歴・裕福なのか貧乏なのか・愛情に飢えているのかそうで無いのか・人間関係の変遷・初恋の人・恋愛経験・趣味・行動原理、などなど……数えればキリが無いけれど。


 更に掘り下げると、どんな時に怒るのか、どんな時に笑うのか、と言った心の動きも整理できると後が楽。その裏付けとして、心理学用語でいう所の防衛機制(耐えがたいストレスを感じた時にどう反応するのか)まで考察すると……それは流石にやり過ぎかも知れない。


 更に、その人物にとっての「セリフ」を一つだけ決める。


 もっともその人物の性格がよく表れているセリフを決めれば、それが人物のキャッチコピーとなる。例えば某作品のアニキで言えば「理想を抱いて溺死しろ」とか。拙著の登場人物である棟方なら「では相良さエッゴホッッオドリャアッ」とか。


 ここまで来れば、その人物像と言うのはほぼ明確になる。

 けれど、この後に必ず見直しが入る。


 例えば、登場人物が3人の作品。


 AがBと会話する場合と、AがCと会話する場合では、その反応や言葉遣いは少なからず変化する。或は物語が進むにつれて、先に考察したプロフィールノートとは矛盾が生じる場合もある。そんなセリフをこの子が言う訳ないじゃない! みたいな。

 その場合、脚本そのものを変更するか、人物像を修正する必要が出てくる。人物像を修正したなら、また同じ事を繰り返し、矛盾があればまた考察する。そうやって「人物像」と「役割(ロール)」の擦り合わせを深めていく。


 後は、役者がどう表現するのかと言う問題。演技者(つまり自分)と異なる人物を如何に演じ、表現するのか。


 と、ここまで演技論みたいなことを書いてみて。

 やっぱり、小説のキャラクターを設定する作業と凄く似ている気がする。


 そして私にとっての大きな問題は、そうやって朧気に輪郭を現したキャラクターを、いやもう本当に全く以て表現できまへんあばばばばと言う所であって、演技で言えば大根役者。


 とは言えど。小説の文章力や表現力が未熟でも、準備だけはやろうと思えば出来るので。物語の中の彼・彼女達をもっと自由に動かせてあげれたなら、きっと書く事がもっと楽しくなるだろうな、などと夢想する今日この頃。

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