星空の下で

勝利だギューちゃん

第1話

「えーっと、ここが○○駅か・・・」

改札口を出る。

「待ち合わせの場所は確か・・・」

待ち人を探す。


「おーい、こっちこっち」

懐かしい顔を見つけ、思わず駆け寄る。


「久しぶりだね、正樹くん、元気だった?」

「元気だよ。真耶ちゃんも相変わらずだね」

「元気だけが、取り柄だからね」

数年ぶりの再会だが、時間のブランクなど、感じさせなかった。


彼、佐藤正樹くんが、この町に引っ越しをしてから、3年になる。

中学時代までは、互いに男女であることを意識せずに遊んでいた。


周りからは、案の定、冷やかされていたが・・・


私、姫乃真耶は、都会の高校に通っている。

彼がこの町に引っ越したのは、病気の静養のため・・・

彼が越してからも、手紙のやりとりをし、互いの事を話していた。


なので、久しぶりという感じはしない・・・


「正樹くん、顔色よくなったね」

「そう?」

「うん、前とは別人みたいだよ」

「この辺は、空気がいいからね。そのせいかも・・・」

会話が弾んでいた。


実は、この町を訪れたのは、彼に会うのともうひとつ、

目的があった。


その事は、正樹くんにも知らせていた。


「じゃあ、行こうか?」

「うん、ありがとう」

彼が案内しれるというので、お言葉に甘えた。


まず彼の家にお邪魔させてもらって、ご挨拶をする。

夜になるまで待って、案内してもらう事にした。


夜でないと、意味ないのだ・・・


「じゃあ、そろそろ案内するよ」

「ありがとう、お願いね」

風邪をひかないように、厚着をして、ふたりで出かけた・・・


近くにある、高台に行く。

「見て」

正樹くんは、夜空を指差す。


そこには一面の星空が広がっていた。

都会では、こんなに多くの星は見えない。


「僕も驚いたよ」

「うん、素敵だね」

ふたりで、星を眺めている。


「ここへ来た時は、最初はとまどった。でも今は、良かったと思ってる」

「・・・うん・・・よかったよ・・・」


星はとてもきれいだった。

でも、星座がわからない。


「僕が教えてあげるよ」

正樹くんの、個人授業が始まった・・・


いつしか、彼と私の手は、握り合っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星空の下で 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る