第8話

「でもちょっと遠いのは嫌よね」

 隣を歩くアスカに由香里が言う。「なんだかんだ言って30分くらいかかるし」

 うん、とアスカが答える。二人は夜道を歩き続ける。

 23時と言っても初夏。ぬるりとした暑さは夏を感じるアクセントだ。

「アスカさ、今日随分――盛り上がっていたね。楽しそうに見えたけど、どうだった?」

 不意に由香里がそう尋ねてきたので、

「え、そうかな? そんなに楽しそうだった?」

 とオウム返しで答えてしまった。

 どうして――と聞かれても。自分でも何故かは分からない。盛り上がった自覚はあったが、改まって指摘されるとちょっと戸惑う。

「ううん、別に悪いって言っているんじゃないけど、」由香里が他意はないのよ、と手をぶんぶん振って、「でも――私ちょっとびっくりしちゃった。そんなに盛り上がるところかな、とも思ったし」

 由香里が言っているのは、おそらく二足歩行ロボットのくだりだろう。確かに一介のOLが――それも黙っていれば美人というキャラクターで推そうとしていたところが――いきなりロボットの話で饒舌になる。

 ――確かにちょっとおかしかったかもしれない。

「やっぱりロボットの話、ちょっとしすぎたかな?」

「ううん、違う違う」由香里がかぶりを振る。「多分アスカが本当に言いたかったのって、ロボットの話じゃなくて――抑止力のくだりじゃなくって?」

「え、そうなのかな」

 自分でも思ってもいなかったことを指摘されて、たじろぐ。

「うん、きっとそうだよ」由香里が大きく頷いて、「合コンってさ、みんなふわふわしたあたり障りのないことしか喋らないじゃない。だって、例えばいきなり政治とか宗教の話されても、相手がどんなバック・ボーンをもってるかわからないし。そういう突っ込んだ話をすると危ないでしょ?」

 至極ごもっともなので、アスカは「そうね」と答えるより他ない。

 そりゃそうだ。政治と宗教と野球の話は、御法度だという認識はアスカにもあった――それが合コンの場での話だったかは覚えてはいないけれど。

「そんな中で、アレでしょ。ちょっとびっくりしちゃったよね」

「うーん、面目ない。言い過ぎたかもしれない」

 ちょっぴり反省のアスカである。確かに、合コンでするような話ではなかったかもしれない。あの緑沢という子とは随分盛り上がったが。

「面白かったからいいんだけどね。でも、その流れで黒影様の話にまたなったじゃない? そしたら急にアスカ、トーン・ダウンしちゃったんだもん。これもまたびっくりよ」そう言って由香里がアスカの顔を覗き込んだ。「もしかして、また何かあったんじゃないの~」

 鋭い――と思ってしまったが、表情には出さず恭子の顔をずいと押し込んだ。

「そんなわけないじゃない」

 鉄仮面をキープ。

「ホント~? 怪しいなぁ」 由香里は詮索を諦めたように思ったが、続けざまに、「でも、私も基本的にはアスカの意見に賛成!」

 今度こそ不意を突かれた。

「――私の意見って?」

「いやだなぁ、アスカ言ってたじゃない」演説よろしく右手を胸の前にぐっと力を込め、「『抑止力は未然に防ぐ力、だから一番大切!』って。なるほどなぁって思ったね」

「そんなギレンみたいな言い方してないじゃない!」

 実際のところ、抑止力うんぬんは本心である。が、本当に100%私の心の中だけから出てきたというと――それは嘘になる。

「それは――アレよ。聞いた話! ちょっと最近そういう話を聞いただけなんだから!」

 アスカがちょっと照れて――酒が抜けかけている状態で、こんな話をするのはなんとなく嫌だったから――答えると、由香里はにかっと笑い、

「やっぱりねー!」と一言。

「どうしてそうなるのよ」

 またか、と大きくため息をつくアスカを横目に、

「だって普通にウチの会社でぬくぬく仕事してたら、そういう発想にならないもん。やっぱり、黒影様の思想がばっちり植え付けられてるじゃない、くぬくぬ~」

 きゃあきゃあ言いながら、由香里がアスカをどんと押した。

 考えてみると、確かに普段の私から出てくる言葉とも思えない。でも、黒影が完全に関係しているとも言えない。

「黒影がなんで私の意見に関係しているのよ。赤鳥って子も愉快犯だとか言っていたじゃない。いい迷惑だって」

「ううん、黒影様はそんな方じゃないわ」

 小躍りしていた由香里がくるりと振り向いて言った。「彼こそが抑止力なのよ!」

 ――あの破壊魔兼暴行魔が抑止力だなんて!

 以前由香里に見せられた動画では、オフィスで警備員をぶっ飛ばしてたし、緑沢の話では企業の機材という機材をぼっこぼこにして回っていると言う。

「あんな不法侵入男、正義とは真逆じゃない。何言っているのよ」

「いい、じゃあ例えばこういう話があるわ。ちょっと昔の話なんだけど――」

 由香里はとうとうと語り出す。


 全く、オタクの話は長くて嫌になるんだから……。


   ☆


 21世紀初頭、日本はブラック企業全盛の時代だった。

 国民は奴隷のごとく使役され、それを断ることもできなかった。断ること、それすなわち無職へのパスポート。野垂れ死か地下街の住人への直行便だ。

 奴隷になるか、さもなければ奴隷にも成れなかった存在として奴隷に蔑まれながら生きるか、――その二つしか選択肢はなかったのである。無茶苦茶な時代だ。

 そんな時代だから、自殺者も出るわ出るわ。

 公には年間5万人程度という話だったが、表に出ないのを加えると10万人は優に超えるだろう、というのが有識者の見立て。

 その中の奴隷的拘束の一例に、自販機への補充作業というものがあった。簡単に言えば、トラックでジュースやらコーヒーやらを運んで、自販機に補充する、そんな単純作業。ピラミッドの石積み作業から何千年もたった時代でも、一部の人間の行う仕事はさして変わってはいないのだ。

 もっとも、作業の厳しさは石積み時代より厳しくなっているかもしれない。

 作業員は夜明けになるかならないかのうちに、まずは卸業者へトラックで急行する。商品をトラックに収納するためだ。そして、それを各地の自販機に運搬する作業なのだが、これが骨なのだ。

 まず、一日に150件近い自販機に補充しなければならないという前提がある。これは一人あたり、という話で実際には少なくとも二人一組でまわるので、コンビで一日300件近く回る必要がある。これを労基的な8時間の勤務時間で回そうとすると、1時間当たり40カ所近くの自販機を巡回する必要がある。――もちろん巡回だけではなく、そこには補充作業が発生する。しかも、どの自販機もギリギリまで車で近づけるわけではない。駅構内や入り組んだ場所など、どうやっても車では近づけない場所も存在する。そんなときは、どうすればいいのか。

 ――どうしようもないのである。身も蓋もない答えだが、どうしようもなかったのだ。

 仕方が無いので、人力で運搬するしかなかった。しかしこの作業がまた骨なのである。

 飲料の箱には、一箱あたりおおよそ30本入っている。一本当たり250グラムとしても、およそ7キログラム。ちょっとしたダンベルの重さだ。

 更に、それも一箱どころの騒ぎではない。自販機に補充されている商品は一種類ではないのだ。何往復もして何十箱も運搬して回ると、もはやトレーニングの域。

 アスリートなら休養日がある。なぜか。そうしないとパフォーマンスが発揮できず、またツブれることをアスリートやその指導者は知っているからだ。

 しかしこと奴隷に関しては、支配者はそうは思ってはいない。まさかツブれるとも思ていないし、ツブれても替えがきくと思っている。

 そして事実替えが効いてしまうのだ。なぜなら、奴隷の方がマシと思う人間は多数存在しているから。奴隷より厳しい環境は当時ごまんとあった。

 そうすると支配者はどうするか。答えは明白である。

 どんどん石を積ませる量を増やすのである。そうすると奴隷は、その指令を拒否できない。奴隷だからだ。奴隷以下になりたくないからだ。

 すると支配者の要求はエスカレートする。奴隷は答える。またエスカレートする……すると、どうなると思う?

 奴隷は、潰れるしかない。はっきり言えば、死ぬわけだ。

 そうなると支配者は、反省するかというとこれが全くそんなことはなく、代わりの奴隷を補充するのである。あたかも自販機の飲み物を補充するかのごとく、である。

 これを悲劇と言わずに何と言えるだろうか。

 そうした怒りが広まりつつも、誰もどうしようもない期間が長く続いた。

 そして、ある日衝撃的なニュースが報道される。

 東京都内の自動販売機が片っ端から叩き壊されるという事態が起こったのだ。

 当時、東京都内の自販機は50万台とも100万台とも言われていた。もっとも、誰も正確な数量は把握できていなかっただろう。

 それが、一夜にしてほぼ半減したのだ。

 ――台数を把握していないのに、なぜ半減したかってわかるかって? 

 そりゃあそうだ。誰だってわかる。

 一般的に自販機が単独で存在するケースはほとんどない。大体二台とか三台とか固まって置いてある。で、そのまとまりのうち一台が、木っ端みじんになっているのだ。例外なく、半分が粉砕されていた。修理とか一時保管とかそういうものが全くできる状況ではなく、もう完膚なきまでに粉みじんになっていたわけだ。プロの仕業だ。

 で、面白いのがここからなのだが、誰がそのあと苦労して、誰が助かったと思う?

 まず、苦労したのは掃除の方々である。駅構内なら駅員さんがひいひい言いながら掃除をしたし、ビルの中ならビルメンのおじさまが片付けたことと思う。

 では誰が楽になったか。言うまでもなく、自販機補充の青年諸兄である。

 事件当日について、当時業務に従事していた藤原さん(仮名)はこう語る。


 ――いやもうホント暑くて、参っちゃいそうだったんですよね。八月の頭ぐらいだったかな、たしか。

 八月って一番キツいんですよ。何がキツいって、皆さん暑いからだと思うでしょう。まあそれもあるんですけど、それよりもキツいのが作業量。

 みなさん、自販機でジュース飲むじゃないですか。夏と冬どっちの方が飲むかわかりますか?

 ――そうですよね。夏なんですよ。だから僕らの仕事も増える。

 いや、別に飲むなって言っているワケじゃないんですよ。ただ、キツいってだけで。事実です、事実。

 夏だからって補充する人が増えるワケじゃないですよ。だって、夏だけ人増やして、秋になったら「ほなさいなら」ってワケにもいかないでしょう。そういうもんなんですよ。大学生のバイトなんか、こんなキツくて儲からないバイト来やしないですしね。

 とにもかくにも夏はキツいし、仕事も長かった。これが事実なんです。

 で、その日も朝5時くらいだったかな。いつもどおり出勤すると、なんかザワついてるんですよ。

 話を聞くと、なんか一端待機だと。

 これはたまにあるんですよ。人が脱走したとか、運ぶ荷物がそろってないだとか。脱走って、軍隊みたいでしょ? ホントにあるんですよ。まあ脱走できる奴はメンタルが強いやつなんですけどね。ここにいちゃいけないってわかるやつ。賢いやつは残りませんよ。

 で、15分もたつと、焦った上の奴らがとりあえず行けって言うんですよ。僕らはわからないから、とりあえず行くしかない。だって、奴隷ですもん。

 相方の山野辺といつもの夏コースを、「じゃあ行くか」って回り始めます。ドライバーなんて、どっちがやっても大差ない。どうせどっかで交代しなきゃ持たないし、長距離トラックと違って乗ったり降りたりだから、どっちが楽とかも別にないんです。ご存知でした?

 ちょっと脱線しましたね。で、最初の補充先についたんですよ。

 ついてみてびっくり。自販機が一個ないんですね。いや、ないって表現は正確じゃなくて、なんかバラバラなんですよ。

 昨日まで憎たらしくそこにあった奴が、バラバラ。思わず山野辺と顔見合わせて、どっちともなく「どうすんべ、これ」って表情でしたよ。

 とりあえず残った自販機の方にガラガラと補充して、そのあと本部に電話したんだけど、全然繋がらないんですよね。今思えば、補充員全員が本部に電話を掛けてたんでしょうね。早朝だからオペレーターの姉ちゃんも来てないし、そんなにたくさん電話も出られない。クレームも馬鹿みたいに殺到していたんだと思いますよ。

 その後いつものコースをぐるっと回ったんですけど、もうびっくりですよ。行った先で自販機が壊れてないところないんですもん。それも全部一緒の壊れ方。ばらばら、木っ端みじん。

 見慣れてくると、慣れたもんで片方だけ補充して、おしまい。そんな感じでしたね。なんなら、爆発巻き込まれた人ほとんどいなくてよかったね、なんて話しながら。

 その頃になると、もうなんかニュースになっていたらしく、僕らもそれなりの情報を手に入れてました。都内の自販機がぼっこぼこになっているって、もうネットニュースから何まで持ちきりで。

 面白いのが、自販機で一行ニュース流すタイプのやつあるじゃないですか。ホラ。新幹線のドアのところに流れるみたいなやつ。あんな感じで、『自販機が壊されています!』 みたいな表示が出るんですよ。知っとるわ! みたいな。アレは笑っちゃいましたね。

 そんなこんなで、途中から運ぶ飲み物の量も半分にして、仕事もちゃっちゃか終わっちゃって。相変わらず電話も繋がらなくて。

 全部――といってもいつものちょうど半分ですけど、業務が終わった後集配場に戻ったら、上の奴らが出てきて、「なんでもっとはやく戻ってこないんだ!」とか言っているんですよ。いや戻ったら戻ったでアンタら怒るでしょ、みたいな。

 そこからちょっと待たされて、しばらくすると補充員がたくさん集合するんですね。何人いたかは知らないし、同僚にどんなやつがいるかもあんまり知らなかったけど、ほぼ全員集合。

 始まった話が、いわゆる緘口令。もう呆れましたね。世の仲みんな知ってんのに、何が緘口令だと。補充員の中には、露骨に笑ってるやつもいましたよ。

 でも僕はなんとなく不安だったんです。正社員にしがみつくために辞めなかったってふしもありましたからね。いきなりクビになったら困るな、でもこの会社ならやりかねないな。そしたら出るとこ出てやろうかな――って感じで。

 そしたら特にそこのところ――クビの話ですね――は言及なかったんですよ。まわりを見たら、薄々みんなもそんな話あるかな、みたいなこと思っていたらしく、上の奴が「何か質問は? 何もなければ、解散」とか言って慌てて帰っちゃったあと、会議室みんな騒然。え、これでいいの、って感じでした。

 だって自販機が半分になったんですよ? 今までなら問答無用で人員も半分になるところです。

 でもそうならなかった。奴らが帰った後――もしかしたら、扉が閉まった瞬間だったかもしれない――に、もう、どっかーんですよ。わかりやすく言えば、高校の期末テストが終わったみたいな。あれの百倍くらい。あれ、余計分かりにくくなっちゃったかな。

 でもみんな笑っていましたよ。やったー、とか言って。それだけキツかったんですよね。でも、言えなかったんです。――何でって、クビになっても代わりがいますからね。綾波レイよりひどかったですよ、僕ら。

 もうそれがハチの巣突いたみたいに大騒ぎ。相方の山野辺も――基本無口なんですけど――吠えていました。山野辺が感情を爆発させてるの、そこで初めて見ましたよ。真夏でも顔色一つ変えないんですよ、あいつ。

 それから何人かで飲みに行って、誰の仕業だろう、お前だろ、いや無理だって、寝る時間もないのに――みたいな会話を延々くりかえしてました。楽しかったなあ。

 その後は一ヶ月くらい、その楽になった稼働量で動いていました。

 え、それから? ――なんかみんな辞めちゃったかなぁ。僕も辞めちゃったんですよね。なんででしょうね。残るやつは何人かいたんですけど。

 多分何かが切れちゃったんじゃないですかね。奴隷の糸、じゃないけど。解放されたというか。だって、やりたくてやっていたやつなんかいませんでしたもん。みんな、なんだかんだ理由つけてやってたんだと思いますよ。生きるため、家族のため、生活のため。

 どんな仕事でも同じ、職業に貴賎なしとはいいますけどね、流石にアレはひどかったな。

 それからじゃないですかね。同じような事件がちょっとずつ表に出始めたの。ほら、最近だと銀行のATMが叩き壊されたようなやつ。誰がやってるかわかんないですけどね。

 ま、とにかく僕らは助かりましたよ。

 今でも駅で補充している若い子見ますけどね、僕等の若いころよりも随分気を使って貰っているなって思います。

 ――なんでそんなこと分かるかって? そんなもん顔見りゃ分かりますよ。みんな人間の目をしているんですから。当時の僕ら、目死んでましたもん。


 とにかく奴隷は解放された。それ以上でもそれ以下でもない。

 もっと良い方法があったかもしれないって? それはあったかもしれない。でも、誰もそうしなかった。

 根本的には問題は解決していない? じゃあ表面的でもいい、誰か解決した奴はいたか、というと誰もいないのである。

 唯一無二の解決策とは言わないまでも、何かが解決する。ちょっとずつ世の中が良くなる。そんな動きだったと、今では結論できる。

 そうしなければ、ビルから飛ぶ人間が今よりも――少なくとも数十人は多かったのは間違いないのだから。

 それが正義かどうかは、個々人が判断するしかない。自販機の掃除をさせられた駅員にとっては悪魔のような所業だったに違いないが、補充員にとっては正義だった。

 誰にとっても分かり易い正義なんてありえない、というのが彼らの主張である。一見悪に見えるかもしれない、と。

 それが「裏の業務改善委員会」の主張なのかもしれない。


   ☆


 由香里の話を聞いて、へぇーと思っているうちに社員寮についてしまった。

 由香里は「まだまだこれから。もう一杯、どう!?」と喋り足りない様子だったが、アスカは丁重にお断りした。もうお腹いっぱいだ。

 自室のベッドに転がりながら、さっきの話を反芻する。

 ――全く関係ないな、とは言えない。

 ウチのところのコピー機の話も、突き詰めていけばそうなっちゃうのかもしれないと思ったからだ。程度の問題ではない、という理解があった。

 確かに自販機を破壊するのは、最善ではない。でも、それ以外にどうするのって言われたら、抗議文を書くとか、注意喚起するのか、って話になる。

 でも、社会人を曲がりなりにもやってきたアカネは気づいていた。そんなことでは、世の中変わっちゃくれないってことに。そんな青臭い話は誰も聞いてはくれないということくらいは知っている。そこまでは、青くない。

「難しいわね」

 一人ぼそっとつぶやくと、スマホが震えた。由香里かな、と思ったが、画面に表示された文字は「Akadori」。

『今日はありがとう! とっても楽しい時間を過ごせました。明日もお仕事って言っていたけど、夜遅くまで振り回して申し訳ありませんでした』

 こういう無意味なキャッチ・ボールを続けた先に幸せがあるのだろうか、とガラにもなくセンチなことを考えてしまう。そういう夜だった。


 すぐに返事をせず、どうやったら瑞樹にパスをだせるだろう、ということを考えているうちに寝てしまった。

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