第4話 3歳児マジか!?

私には子供が2人いる。

2人とも男の子だ。


無性に可愛く思うときもあれば、顔も見たくないくらい腹が立つこともしばしば…。


どちらか1人しか居ないときは、とても可愛いのだが、2人揃うとただの生意気なクソガキになる。


そんな2人を連れて出掛けようものなら、かなりの労力を費やす事になる。世の中の子沢山ママは本当に凄いなぁと感心する。


そしてこれは次男坊が3歳の時の出来事。


私たち夫婦は共働きのため、子供達を1歳の誕生日から保育園に預けていた。家の近くの保育園はいっぱいで7箇所の保育園に入園は断られていたため、家から車で20〜30分程離れた保育園まで、毎日送り迎えをしていた。家から職場の方角とは真逆の方向に行かなくてはならなかったので、通勤にはかなり不便だったけど、とても良い保育園だったと思う。


そんな距離を毎日送り迎えしていると、時には寄り道をするときもよくあった。少し帰宅ルートを変えると、レンタル屋さんがあったので、そこで子供達のDVDをよくレンタルしていた。


いつも行くレンタル屋さんなので、子供達も慣れた様子で自分の借りたいものを探しに行く。長男はその頃はポケモンにハマっていたので、自分の知らない劇場版の作品を探すのに夢中になってた。


私は次男坊と一緒に次男坊が好きそうなアニメを探すのに夢中になっていたので、次男坊がフラリとどこかに行ったのに気づかなかった。足音が聞こえていたので近くにいると思っていたが、ふと振り向くとそばに居なくて少し焦った。

足音だけは少し離れた棚の向こうから聞こえていたので、少し控えめに


「〇〇ちゃん」


と呼んでみた。すると棚の向こうから


「ママ〜、どこ〜?」


と次男坊が呼んでるのが聞こえたので、そちらに向かって探しに歩いた。すると私を見つけた次男坊がニコニコしながら、


「ママ、これは〜?」


と言いながら、1枚のDVDを持ってきていた。どれどれ?と思いながら持ってきた物を見て、えっ!?と驚いた。

ディスクの表面には上半身裸のお姉ちゃんがポーズをとって写っていたからだ。しかも新作マーク。


「えっ!?あんたこれ何処から持ってきたの!?」


と聞いたが、持ってきた本人は


「えっ?わかんない。」


とニコニコと笑ってた。この時6歳の長男は「こいつヤバッ!」と笑っていたが、私は笑うどころか本当に焦ってテンパっていた。長男はそのDVDがどういった物かは分からないが、次男坊が勝手に持ってきた事に対して「ヤバイ」と言っていたので、「このお姉ちゃん、お乳見えてるよ。なんで?」と聞いてきたが、上手く説明出来なかった…。


とりあえず返却しようと新作コーナーに行き、おいてあった場所を探したが見つからない。18金コーナーも今まで入ったことがなかったがこの時初めて入った。だが、子供達は私が行くところに後ろからちゃんとついてくるので、あまり18金コーナーの奥までは行かずに入口付近のみしか探せなかった。


10〜15分程探してみたが元の場所が見つからず、家に帰るタイムリミットが来てしまった。

どうすれば良いか分からず、手に持っていたディスクを18金コーナーの新作コーナーにそっと置かせてもらったが、元々あった場所に戻すことが出来なかったので、心の中で「ゴメンナサイ!」と謝罪しながら合掌しておいた。隣で私の行動を見た子供達も私の真似をして合掌して拝んでいた。

元の場所に戻せなくて、かなりの罪悪感を抱えたまま子供達のDVDを借りて家路についた。


帰宅後、夕飯を作り、子供達に夕飯をたべさせて、子供達をお風呂に入れる。そして、子供達を寝かせて、ふぅ…と一息ついたところで、ふと思った。


『……店員さんに渡せばよかった!』


あまりにテンパりすぎて、そんな単純な考えすら思い浮かばなかった。気づくのが遅すぎる。

気づいた時には、お店はもう閉店時間。もう間に合わない。モヤモヤしながらその日は就寝した。


次の日、朝起きたときモヤモヤとした気もちが残り、スッキリしない1日を過ごした。なので、仕事が終わり子供達を保育園に迎えに行く前に、レンタル屋さんに行って前日のDVDの確認に行った。


そこには前日の例のディスクは置いてなかった。


店員さんが気づいたのか、お客さんが気づいたのかは分からないが昨日のディスクは元の場所に戻されたようだった。気づいてくれてありがとうという思いと、ゴメンナサイという思いで再び合掌しておいた。

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