第16話 幸隆豹変す

川中島の合戦の終わる 14年前


1550年 秋の菅平


滋野再興を目指してはいたが

本当の敵 村上氏には

財力、軍力で、その比ではない

真田は表立っては戦わず、海野に飲み込まれ、只ひたすら耐えて居た。


菅平

弟 矢沢、常田に間者を送る


「真田が再興するに、この機を逃さず、砥石城を取る、取れば上田平、諏訪の一部で千石を武田は約束した」

「春まつりに砥石城に入れ、できなければ、砥石から離れ、小笠原へ進め」

武田氏撃退に湧く砥石城では、志賀城の遺恨を晴らしたと兵士は浮かれていた。

村上に放っていた間者からは、砥石崩れによって勢いづいた村上義清は

平瀬城に追われていた小笠原長時と連合して、武田方の深志城攻略に向かう」との情報が入った。


晴信がいる上原へ間者を送る


「自来也殿、晴信殿を連れ、上原を離れ 甲州まで撤退下され、村上、平瀬城の小笠原と合流の気配、油断させまする」


晴信は深手を負っていた事もあり、

甲州へ即座に撤退、躑躅ヶ崎館」(つつじがさき-やかた)の普請を始め、自身は湯治に出かけるまでの念の入れようだった。


放った間者が入れ替わり、早い雪が降っていた

甲府に行っていた自来也と綱吉、頼昌、矢沢、常田の間者が幸隆の元に集まっていた

武田二度目の信濃大敗から数か月のことだった。


長国寺から間者を放つ


「雪が消える5月25日、上洗馬神社春祭りの日、砥石を落とす」

「矢沢、常田は城内の志賀、大井の残党を村上と合流させ平瀬小笠原に送る事」 

「上杉の高田を上野に戻す事」

「叶わずとも、両者共に祭り日に米山城に向かい門を閉めよ」


幸隆は志賀、大井の残党も上野の高田も巻き込まずして、砥石を盗ることで、真田を守れると判断したのである。


11月4日


戸隠真言の惨状を見て来た幸隆は、今まで、間者に術を許したのは諜報、謀略だけだった。


幸隆封印を解く


砥石城には地頭や牧の者もいる、志賀、大井の兵も少し残っていた

無血開城を出来ずば、断念しようと考えていた。

冬の菅平に

自来也は、アマガエル汁、乾燥蓮の結晶、大麻、忍者を集めさせ

綱手を呼び集めた。

各地の戦いで孤児や難民となった子達を幸隆は菅平で修行させ

各地に忍ばせていた

祈祷 ・ 託宣 ・ 口寄せ ・ 巫女舞いなどを行って生計を立て

大道芸人 ・ 売春を兼ねる者もいた、善光寺には全国から参拝者が集まっており

山門より南は歓楽街であった、綱手は遊郭に身を潜めた歩き巫女である、

武家は金銭獲得の為に遊郭を営んでいた


綱手を真田の谷に放った

綱手は悌毛 をし、真田郷の村娘に変装し、入れ替わり立ち代り、砥石城に酒、食事を届け始めてた

毎日門番や飯炊き場の足軽たちにナメクジを仕掛けた

数ヶ月で、本丸の武士たちの村娘への声掛けも、毎夜になっていた

裾の中が見えるように階段を上り、触れてくる男衆にはナメクジの粘液を仕込んだ体で誘うのである。

妊娠出来る女となっていた綱手は、取りまとめ婆や村娘の母、早乙女に化けていた。

城に近づく女は全て綱手だった。


5月25日


上馬洗神社春祭り


弟たちは米山城に登る。


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