第15話 砥石崩れ

川中島の合戦の終わる 14年前


1550年 


武田晴信の信濃侵攻に乗じて


5月、幸隆は小笠原氏の背後にいる安曇郡・仁科氏に対して調略を行なう


同年4月仁科盛康・盛政父子を帰属させることに成功すると、晴信は7月3日には甲府を出発。

10日に小笠原攻略の拠点・村井城に入る。

さらに、小笠原氏の間者に周囲の豪族が武田に帰属するとの情報を撒く。

15日夕方に小笠原氏の本拠・林城の出城にあたる乾城へ、

深夜には乾城・林城を含めた5城が戦わずに城兵が逃亡し、島立・浅間城は降参した、

武田軍は戦うことなく、小笠原氏の本拠を占領した。

このときに安曇郡の森城城主・仁科道外が晴信のもとに降伏してきた。


小笠原長時は逃亡して安曇郡の平瀬城に入ったが、

のちに武田勢の侵攻を受けて没落していくことになる。晴信は林城を破却し、

その支城の深志城を修築してこれを筑摩郡や安曇郡制圧の新たな拠点とした。

この深志城に譜代家老衆の馬場信春を城代として入れた。戦わずして勢力を回復

北への侵攻の最大の壁は村上であった。


武田郡は村上義清が北信濃で中野小館の高梨政頼と対陣している隙を衝いて、小県郡に侵攻し

戸石城攻撃を画策した。


8月


24.25日 藤左衛門、安田式部少輔、大井信常、横田高松、原虎胤

らを戸石城に派遣して検分、作戦を練った。武田軍は二十七日に長窪城を出

翌日には屋降に着陣


29日 晴信、戸石城に自ら敵方に開戦を通告する矢入れを行った。

幸隆は村上方諸将への調略も実施、海津に館を構える清野氏の降誘に成功、


9月


3日 全軍が戸石城に接近し、


9日 攻撃に入った。しかし、十日経っても戸石城の岩壁を破れなかったのだ。


武田晴信の志賀城攻めは地元豪族の怒を頂点に持ち上げていた

砥石城の兵は高梨攻めに出かけた村上本体ではなく、志賀城から逃げ延びた志賀の残党

上杉から派遣された高田氏が殆どだった

地方豪族の連合軍の地の利、砥石城の士気は武田を上回っていた。


高梨、本当の敵を知り村上と和睦


23日 村上義清と高梨政頼が和睦し、武田方の松代清野寺尾城へ攻撃を始めた


幸隆は村上側の武将を勧誘していたが膠着状態になる。


24日 幸隆、菅平大笹街道から清野に援軍の為出陣


幸隆は初めて菅平の僧兵を連れ出陣する


28日 村上、高梨連合軍は清野寺尾城攻めを中止


幸隆の兵も寺尾城に着いた時には、敵の村上軍は小県へ

砥石城へ全軍進行した後だった。


30日 晴信は幸隆の伝令から撤退を決意、

武田軍は勝機を失ってしまうのである


10月


1日 撤退に入ったが、村上側豪族は侵攻、撤退を繰り返し、

武田軍を油断させながら武田の将だけを狙っていた。

村上軍が追いつき激しく追撃、横田高松ら将兵一千余が 戦死した

夜半からの豪雨と嵐が、背走する武田軍を追い討ちしていた。

村上軍には幸隆の弟矢沢頼綱がいた、矢沢は諏訪から村上援軍の為移動中だった


幸隆は間者を矢沢、常田に伝令を走らせた

矢沢は兄綱吉と晴信の背走の道を開けるだけで精一杯だった、幸隆は地蔵峠を真田まで兵を戻すが、

すでに戦いは決していた。武田軍は軍の大半を失い、武田方の豪族も村上軍に下っていた

晴信は上田原合戦、砥石城攻めで二度も村上氏に敗れることになったのである。


砥石では影武者や重臣まで失うほどの、煮え湯を飲まされた、武田軍は望月で野宿

幸隆は菅平の社に兵を忍ばせると、尾根を渡り望月で晴信軍と合流した


望月山中にて


幸隆

「晴信殿だけには申し上げる、実田は海野でも村上でも禰津とも望月でも

ありません、実田は滋野でありまする」

「晴信殿、一旦甲斐まで」


    晴信は幸隆の「滋野」の言葉で府に落ちた


晴信

「幸隆、砥石城を取れば、真田は預ける、上田原の千石を」


幸隆

「それでは自来也をお預け致します」


幸隆はこの機を待っていたのである

砥石城は洗馬館の裏山であり、菅平太郎山に峰が繋がっていた、ここで馬市をしていた故郷なのだ、この地は知らない場所などないのである


菅平


菅平についた幸隆の元に間者が集まっていた

村上軍援軍に進軍していた矢沢頼綱、常田隆永も小県に入っていた

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