第10話 千曲、更埴、小県

 弥生の始め3世紀頃

大陸の秦氏の民が秦始皇帝の強制労働に耐えかねて馬韓に亡命した。

この時期と大室古墳が同じ頃である事、馬の飼育をしていた事など共通点が多い

言語やDNAからも中国地方、四国地方を中心に倭人が東は青森、関東、西は朝鮮半島南東の一部に

広がって行った事が分かる、秦氏の民が秦を離れ日本に移住したのだろう

JAPANは「金の国」語源が定説だが、太古の海外から見たら 馬韓(JINHAN)の民が移住した島なのである

大陸馬韓はその後すぐ滅亡、辰韓人は馬韓に移住しながらも言葉は違っていた。

渡来人は西暦250年頃から300年余の間に千曲に500基もの古墳群を形成した(大室古墳群)

どれだけ居心地が良かったのか容易に分かる経済力だ。


550年頃にも移住民がいた、高句麗からである「卦婁部」一族(移住民)が千曲の地に移住

589年に中国大陸は統一され中国の南北朝時代が終焉を迎える

この時期に朝鮮式大室古墳群は終焉する、偶然と思うには無理がある

ヤマト政権が飛鳥に都を作った位で地方豪族の生活が劇的に変わらないからである。

高句麗からの移民が関係しているのだろう。

大室古墳の主の秦氏は首長として豪族が代替わりしながら千曲川沿岸に住んでいたからである。


この時期の水内の竪穴式住居跡には銅剣が出土、安茂里平芝の土塁には獣形鏡(青銅製凸面鏡)が出土している。

また水内の居住地でも鉄製の農耕具が出土している事から、共存していたと思われる。

科野人が通訳として日本語、韓国語、蝦夷語を操った事や

日本語が世界的に何処の言語とも違う事

日本語が滅びなかった事

日本人Y型遺伝子が多数守られている事

「侵略」はその民族、言語と遺伝子を駆逐してしまうからである

いずれにしろ、渡来した民族は侵略ではなく融合していったのは確実だ。

移住民は通訳、武器製造の専門家として千曲の住人となっていた。

水内(原住民)と更埴(倭人)千曲(移住民)が混在し共存していた事が解るのである。


ヤマト王朝の古墳が大陸系の古墳と混在し始めることから日本武尊運動が信濃の地にもやって来たと思われる。

移民の溶け込みが朝鮮式古墳文化を衰退させて行き、朝廷側の古墳は権力誇示のため巨大化していく。


牛はその前から餌の少なさと食用、農耕の利便性から普通に飼育されていたのだが、

朝廷にとっては騎馬は武器であり、餌の多さ、躾けの難しさから専門家が必要だった。

滋野や木曽が地方でありながら、中央政権と対等であったのはその為だったと思われる

大陸の技能を持った人たちは、鉄加工、細工物、馬の飼育に長けており、大陸との通訳、蝦夷人との通訳など

多岐に渡っていた、今の日本民族の一つの祖でもある。

朝廷からは大陸との通訳としても、武器製造の技術者としても、蝦夷からの防衛前線としても、千曲川畔は重要な地方だった。


蝦夷征討に北信濃の原住民、倭人、移住の民が動員されるのである、

その功績から倭人(地元豪族たち)は、移住民の苗字帯刀を朝廷に進言する。

799年の信州倭人からの「日本の姓を貰いたい」との朝廷への願いの中に、卦婁部の名前が最初に見られる、

卦婁真老(信濃鈴木)は高句麗五大支配部族の一つであった、高句麗の内乱から一部族の長と伴に、

上部、下部、前部、後部などの一族たちが内陸に移住していた

前部黒麻呂も信濃村上となり、更埴の国牧を任され武器製造をしていた、物部氏と同じ高句麗部族だ

川中島には戸部御厨に国領があり、近くには馬場の瀬が有ったり、田牧・藤牧の地名が残る。

いずれも馬と牧場だ 又善光寺平には小牧、松代には馬場、牧島など牧と言われる場所が数か所点在する。

滋野氏も小県の国牧を任され馬や大陸との通訳を任されていた、朝廷から派遣された一族である。

国牧を管理していた右馬介も名ではなく役職名だった。馬場氏も千曲の川のほとりで荘園を任されていた。

現在でも木曽には木曽馬がおり、蒙古草原馬を祖先とする農耕馬が飼育されている、武家の衰退と同時に農耕馬しか残らなかったと想像できる。

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