第8話 千日太夫

 弥生の始め飯綱社は生まれる


当初より地方豪族、中央政権から加護を受け、信仰や戦術を武器に、戦国時代の終わりまで

1300年間水内の地で生き延びていた武族だ。

飯綱忍法は

千日太夫は管狐を操り、天狗の化身としての術を操っていた、主な戦術は「獣とん」である、

敵城土蔵への大量の小動物を投入するため(イイズナ)(テン)(野鼠)(モグラ)を飼育し

竹筒の中に忍ばせる、荷車に大量に乗せ、街道に紛れるのである

小さな村落なら保存食の全てを、夜間知られずに壊滅できるのだ

マムシなどの害獣を集め敵城に投入

鷹の飼育をして鷹狩

スズメハチを使い戦力減退

貉(猪、狐)などで敵農地、牧場の崩壊などである


妙高高原から飯綱に来た、自来也は「薬とん」を使った

ガマガエルの毒を抽出、トリカブトの根は常套だった

寺の池で罌粟を栽培し白汁を作る

火薬の調合、煙玉、火玉の製造

大麻による兵のあぶり出し

麻から抽出した結晶を痛み止めに使い、敵の幻惑にも使っていた

麻は布作りから縄作りまで利用できる。

漆の樹液を薄めて竹筒「水鉄砲」で夜間に噴霧

山ダニの大量投入

水源への大腸菌投入など何でも利用した。

えげつない戦法を得意としていた。

手品、催眠術を使い、菜油を薬として売りつけたり、集団心理を使い集団自殺に追いやったり。

「薬とん」は「獣とん」などと合わせ、狩や害獣駆除にも利用していた。

これらは全て、毒にも薬にもなる、後に中央政権に忍者が重用された理由だったのだ。


真言密教は自身の修行を主の目的としていたが、夜襲、嵐の中の侵攻、崖からの侵攻など山岳ゲリラ戦を得意としていた。

飯綱忍術と天台密教と融合した術には「策」が有った、地域僧兵を鍛える、変装、内通者、洗脳、百姓一揆の主導、綱手姫が行う調略が有った。


飯綱忍術は数百年に及ぶ武家の寵愛を受け、その後も仁科氏などの豪族にまで継がせるまでになる

戸隠社は上杉、武田の取り合いで滅んだが秀吉時代に上杉が再興するほど重宝されたのである。

剣術、手裏剣、ヌンチャク、などカッコイイ術は後世の脚色された忍術だ。

錆びた釘の傷でも死をももたらす事もあるのである。


善光寺側から茂菅を上り飯綱社里宮の脇に山道が続く、

戸隠に入るとまずは天台宗の宝光社があり中社、宝光社から西側百丈沢沿いの谷に,真言派十谷十ヶ寺が有った

本坊は西光寺、鏡池を超え九頭竜社、奥社へと続く。


かつて、日本が大陸から離れ、二つに折れ、二つの島は衝突した。

フォッサマグナに突き立った巨大な岩盤の根元に、科野(ナーガ)の九頭竜神社が、今も眠っているのである。

飯綱社はフォッサマグナに突き刺さった伊豆半島(富士火山帯)の先頭部分、北信五岳の一つだ。

そして菅平四阿山も列島が衝突した中心の火山だ。科野は三つの台地の境目なのである。


千日太夫は飯綱山の社から善光寺平を見渡していた。

(千日太夫は飯綱社の兵の首長である、千年の間、優れた者だけに指名相伝された役職名である)

(伊藤兵衛は飯綱社の宗教の長である、これも指名相伝であった)

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