ウルトラトーク


あのさ

ちょっといいかな

すぐに終わるよ

いやどうかな

もしかしたら長引くかも

それもかなり

おれ一人では解決、出来そうもないんだ

だからきみの意見を聞かせてほしいんだよ

あのさ

さっきさ

バナナを食べようと思ったんだよ

バナナ

バナナって知っているよな?

良かった

そのバナナがさ

おれに向かって話し掛けてきたんだよ

「おいお前」

って

おれは辺りを窺った

だが誰もいないんだ

どう考えてもおれとバナナしかいなかった

バナナ

黄色くて中に白い身が詰まっているやつ

なあ

おれの頭がおかしくなっちまったわけじゃないよな?

どう思う?

おれが本当の事を言っているってわかるよな?

良かった

きみすら信じてくれないならもうこの世界に信頼、出来る人なんていないよ

バナナ

確かそいつは自分のことをバナナとか名乗っていた

そいつがさ

突然、話しかけて来たんだ

おれは驚嘆した

「バナナが喋ったあ!」

叫んだ

だって考えてもみてくれよ

バナナが喋るなんて普通はあり得ないことだろ?

だが本当に恐ろしいのはそのことではなかった

三十分くらいすると慣れた

バナナが喋ることに

だってバナナときたらただ喋るだけだったから

よく考えたらそんなのおれにだって出来るわけだし

バナナが怪力になってこちらの首を絞めにかかって来たとかなら話しは別だ

だが「早くおれをしゃぶれよ」とか言うだけだった

おれは皮を剥き終え

口を開け

その中にバナナを突っ込むその手前で尋ねた

「お前って………オスなの?」

そうしたらバナナが

「バナナにオスもメスもないだろ」

って

すごくまともなことを言うんだよ

バナナの言うことに深く頷くおれがいた

どうしたかって?

もちろん食べたよ

うぎゃあああとか叫んでいた

よく噛んでからお腹の中に詰め込んだよ

小さい頃からお母さんにそうしろって言われているからね



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