家事手伝い三段


ぼんやりしていた

みんな新大陸を目指して

船を出していた

それなのにわたしは相変わらず紅茶を啜ったりして

猫と会話していた

あまりにもぼんやりしていたから

近所の子供にステッカーを貼られてしまった

『核家族』

ロックバンドのようだった

歯磨きには失敗した

それもわたしの魅力だと言い切った

大切なことは宣言することなのだ

理解してくれる人なんて必要無い

いつもぼんやり目の前の景色を眺めているだけだった

わたしの前世は電柱かもしれない

視界の全てがわたしに用が無いと言っている

太陽が沈むなあ

とか思っていた

山がでかいなあ

とか

毎日は淡々と過ぎ去って行った

「たんたん」

何とか円からはみ出さないように心掛けていたけれど

やはり無理

当然のよう逸脱した

もう半分、以上、諦めていたけれど

それが実体化した時の恐怖は中々のものだった


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