何も無い丘


空を見上げた

ひたすら奇跡にかけるぼくら

「何か起こらないかな………」

それが口癖だった

午前も午後も何も無い丘で寝そべっていた

春春春

見渡す限り春だらけだった

春に窒息させられそうだった

ふわああ

あくびをした

見上げたあの白い雲だって

気が付いた時には少しは移動しているというのに

ぼくらは

ただここでじっと待っていた

とてつもない何か

だがその何かの正体がわからなかった

まったく空は青いし

雲は白いし

隣りには同じように半開きの口の友人がいるし

緊迫感の欠片も無いな

「十年後には何をやっているんだろう?」

ふと呟いた

隣りで寝ていた筈の友人がぱちりと目を覚ました

「お前………確か十年前もそんなこと言っていたぞ」

なるほど

ぼくは思った

そういうことか


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