◆エンディング2◆不運な冒険者
GM:では仕立て屋のいる小屋に行きましょう。ドアは復活しているはずです。
アルマ:「(てかまたあのおっかない仕立て屋に会うのか……)」
ブリュンヒルデ:小屋の外から声をかけます。いきなり入ると危険すぎるからね。「おーい。帰ったわよ」
アルマ:なるほど、熟練の技か。
GM:そしてドアが独りでに開きました。
アルマ:「入っていいのか、な」
ブリュンヒルデ:「ほらほら、入った入った」と押しやります。
GM:「今度も失敗か」仕立て屋はあなたたちを見もせずに言います。ちなみに相変わらず部屋は真っ暗で、仕立て屋は奧のカウンターに座っていました。
アルマ:撃たれなかったのでほっとします。
ブリュンヒルデ:「ふん。計画が悪かったのよ」
GM:「……そうかもしれないな。内通者がいるか、もしくはポカソがまたおかしなものを作ったか」
アルマ:改めてポカソ凄いな。
ブリュンヒルデ:「今回の収穫はこれだけ。アンタなら何かに使えるんでしょ?」と言ってケルベロスだった球を渡します。
アルマ:「さっきの黒いやつか」
GM:仕立て屋はそれを手にとってしげしげと眺めます。「ほう、最新製品のお披露目か」
アルマ:「あのポカソって人はそういうものを作ってる人なのか?」
GM:「そういうものも、だ」
アルマ:「んー、確かに悪者っぽいなあ」
GM:「ポカソは錬金術の技術を応用し、今や現代のあらゆる産業に顔を出している」
アルマ:「あーだから大金持ちなんだ」
GM:「だがヤツが一番関心を向けていることは、こういった魔法生物の生産……」
アルマ:「ちょっと危ない奴ってことね」
GM:「どうやら人間を従えるより、従順で大量かつ精悍であることがわかったらしい。そのうち王国でも創るつもりなんだろう。そしてそれが、あながち遠い未来だとも言い切れない」
ブリュンヒルデ:「けっ。ドグサれ野郎のくせにつまんないこと考えるわね」
アルマ:「むむむ、それは放っておけない話になってきたな」
GM:「ほう、そうか」と言ってブリュンヒルデの方をちらっと見ます。
ブリュンヒルデ:「そうね」と言って微笑みます。あくどい笑い。
アルマ:悪の手口ね。
GM:「ともかく、今回はこいつに協力してもらってすまなかったな。礼を言う」と全くありがたくなさそうな口調で言います。「次回の依頼については……。いずれこいつから連絡があるだろう」
アルマ:「お、おう……って次回の依頼? それは確かに見過ごせないけど、俺にも所属してるギルドがあるし、冒険の途中なんだけども」
ブリュンヒルデ:「悪の手は尽きないものなのですわ、アルマ様」
アルマ:「急に口調戻ったね……別にさっきのままでもいいよ」
GM:「大丈夫だ。こいつの強引さの前では全てが無意味」
アルマ:「それ大丈夫とはまた違くないか……?」
GM:「さて……ではそろそろ時間だ。戻るぞ」
アルマ:「戻る? ってどこへ? これからどうするの?」
ブリュンヒルデ:「色々よ。いろいろ。私たちはいつでも忙しいから」
アルマ:「分からないほうが幸せのような……これ以上首を突っ込まない方がいいと言っている神々のお姿が目に浮かぶ」
ブリュンヒルデ:「ま、今回はわりと楽しかったわ。それじゃね、ラグナちゃん」と言ってラグナに手を振ります。
アルマ:ラグナも笑い、鳴き声で応答。「クウゥゥゥ!」
ブリュンヒルデ:「それと、アンタもありがと」と言って、仕立て屋が出したポータルに乗り込みます。
アルマ:「あ、ああ、こちらこそ」
GM:そしてさっと二人は消えてしまいました。
アルマ:とは言ったものの、こっちが感謝することあったかなーと思うのでした。
GM:机の上にはお金が置いてあります。
アルマ:意外と律儀?
GM:仕立て屋はね。
アルマ:ああ、なるほど。
GM:ヒルデは詰め込んだもの全部自分のにしてましたし。
アルマ:はっ、そういえば。
GM:ちなみに報酬は10万Gです。このセッションでは特に意味は無いかもしれないですが。
アルマ:「報酬として貰っていい……ってことだよなぁ」
GM:アルマはそういう大金持ったことあるんだろうか?
アルマ:でもクマーラもってるよ?
GM:……意外に金持ちの子なのかもしれない。
アルマ:ギルドから貸与されているのかもしれないけどね。
GM:どんな金持ちギルドなの!? あ、あとは二人でハム太郎的な振り返りをお願いします。
アルマ:次はもっと大変になりそうだね! ラグナ! って感じね。「行っちゃったな、あいつら」
GM:ラグナは二人が消えたポータルのあたりを興味ありげに眺めてる。
アルマ:「ヒルデも仕立て屋もなかなかすげえ人だったな、性格とか」
GM:アルマ君いい子すぎる。
アルマ:「まあ、とりあえずこのまま冒険続けてればいいのかな、ラグナ?」とラグナに近寄って撫でつつ。
GM:甲高い声をあげて気持ち良さそうにしているラグナ。
アルマ:「今日中にこの町は出た方が良さそうだけど」
GM:そうですね。多分町中を警備兵が探してます。
アルマ:「てかヒルデ、猫かぶり過ぎだろう……」と今日を振り返る。「あの分じゃ義賊の話も疑わしいな……一体俺は何のために……」
「あ」と何かに気付いて手元の10万Gを見つめる青年。
少しの間の後、彼は繁華街の方へと足早に向かっていった。
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