ENDING PHASE
◆エンディング1◆コンゴトモヨロシク
GM:ドアを開けるとそこには……。
アルマ:そこには……。
GM:そこには何もありませんでした。だだっ広い部屋には家具一つありません。もちろん誰も人間はおらず、どのような気配も感じられません。
アルマ:「あれ、何もないし誰もいないぞ?」
ブリュンヒルデ:「……」無言で部屋を歩きます。
GM:するといきなり館内に声が響き渡ります。
アルマ:なんでしょう?
GM:「やあやあ暗殺者たち! 久しぶりだねミシェル君……いやいや、ブリュンヒルデ君……それとも、リョウコ君かな?」
アルマ:「……色々名前あるんだね」
ブリュンヒルデ:「うっさいわね! 名うての魔術師にはいろいろあるの!」
アルマ:「(いろいろありすぎだろ……ってかいつの間にか態度変わってないか?)」
ブリュンヒルデ:「アイツは最初からここになんていなかったのよ。全部先手を打たれてたの」
アルマ:「ばれてたのか?」
GM:「私のかわいいペットと戯れてくれて何よりだ。きっとケルベロスも大喜びだったことだろう」
アルマ:そりゃあんだけ回避すれば楽しいでしょうとも。
GM:「ふふ……なかなかの番犬ぶりだっただろう? もちろん、私にとっては砂粒ほどの存在でしかないが。私の研究もいい加減進みすぎてしまってね。もちろん君のお仲間も頑張ってはいるようだが、如何せん、人手と金が足りてないんじゃないかね」
アルマ:「研究って、タダの貴族じゃなかったんだな」
GM:「とにかく、今後とも弊社をよろしく頼むよ。それでは、引き続き晩餐会を楽しんでくれたまえ」……そしてバタバタと誰かがこちらに向かってくる音が聞こえます。
ブリュンヒルデ:「まずいわ! こいつの妄言に付き合ってる場合じゃない。さっさと逃げるわよ!!」
アルマ:「え、敵か!」窓とかはある? あるなら飛行で逃げられそうだけど。
GM:大きいのがあるよ!
アルマ:じゃあそこから逃げるしかないね。あ、一応持ってた仮面被っておこう。
GM:そしてドアが開きます! 武装した警備員がめちゃくちゃ来ました。「お前ら! もう逃げ場はないぞ!」っておきまりのアレ。
ブリュンヒルデ:「ふん! 逃げ場がないなら作るまでよ! さあアルマ! 行くわよ!」
アルマ:「もういっちょ頼むよ、ラグナ」と竜にまたがる。そのまま翼をバサバサとやって警備員たちに強風をお見舞いしよう。「今だ! 窓をぶっ壊してくれ!」
ブリュンヒルデ:「オーケー!」と言って風魔法をぶつけます。流石に窓も壊れるわ。
アルマ:「んじゃ、警備員さんお世話になりました!」
GM:「まっ、待てー!!」と警備員が向かってきますが、風で押さえつけられて攻撃できず。
アルマ:……というわけで、ドラゴンに乗った冒険者と箒に乗った魔女は、窓から月が輝く夜の中に消えていくのだった。
* * *
ブリュンヒルデ:「はあ……結果は散々ね」
アルマ:「でもいろいろ袋につめられたじゃん? でっかい絵とか」
ブリュンヒルデ:「あんなのアイツの資産から見ればゴミみたいなもんだわ! 全くもう」
アルマ:そういう問題なのか?
ブリュンヒルデ:「ともかく、色々助かったわ。ありがとね、ラグナちゃん」と言ってドラゴンの背を撫でます。
アルマ:「ん、俺は!?」
ブリュンヒルデ:「あー……そうね。アンタにも世話になったわ。コンゴトモヨロシク」超適当に。
アルマ:「今後……とも? まだ何かあったり……するのですか? 今回は成り行きというかそういうやつじゃありませんでした?」
ブリュンヒルデ:「馬鹿ね! 便利なドラゴンとその使い手を放っておくわけないじゃないの」
アルマ:「(キミの都合か……)」
ブリュンヒルデ:「空が飛べるってだけで本当に便利なんだから。強奪とかにさ」
アルマ:「俺とラグナの旅はまだまだ続いちゃうんですけど……足止めされてる場合では……」
ブリュンヒルデ:「さーて、またあの胡散臭い路地に戻りましょ。どうせアイツが待ってるわ」
アルマ:「(都合の悪いことは聞こえないタイプだな……はぁ)」
ブリュンヒルデ:「何か言いたげねえ?」と睨み付けます。「ほら、全速前進!」
アルマ:「はいはーい……」
夜の闇にも飲まれない純白のドレスを纏い、風を操りながら箒で空を飛ぶ魔法使い。
闇と同化しそうな漆黒のスーツを纏い、巨大な竜の背で天を駆ける冒険者。
風使いの魔女がやや不機嫌な雰囲気を醸している一方、竜使いの冒険者は厄介な事に巻き込まれたなぁとしみじみ悲哀を感じているのでした。
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