◆ミドル3◆その真実
GM:強面の男女門番に見送られ、というよりもジロジロ見られながらあなたは中央ゲートをくぐりました。帰りはパスを提示すれば大丈夫なはずですが、何かと不安です。
アルマ:そうだねえ、なんか胡散臭い模造品臭がするし、結構チェックも厳しかったしね。
GM:実際ニセモノかどうかは分からないので、判定してもいいのですが。
アルマ:でも偽物と分かったところでどうするわけでもないしなあ。だったら偽物と分からない方が幸せというか。ミシェルの居場所は聞いたので、困ったらここにいる奴に聞いてくれ! でもいいかな、という認識。
GM:それが自然ですね。ミシェルの言う仕立て屋は街の外れと言っていましたが、メモにある場所をよくよく見ると、スラム街に限りなく隣接しているようです。
アルマ:ふうむ。
GM:アルマがそれに気づくかはお任せします。
アルマ:きっと地図にはスラムとか示されていないんじゃない?
GM:そうですね! つまり予めのなにがしかで知っていればわかりますね。
アルマ:土地勘は初めてなんでなんとも。実際メモの場所に行ってみたらスラムの近くか、でいいと思います!
GM:ではとにかく向かって行くことにいたしましょう。
アルマ:ほい。「メモによるとこっちの方だな」
GM:街の外周へ向かうにつれ、だんだんと街並みが古びていきます。やはり中央に近い方が一等地のようですね。そして商店の数は減っていき、代わりに家々が立ち並ぶようになっていきます。
アルマ:「中央に富が集中している、よくあるこった」で、どんどん貧困層の方に近づいて行くんだね?
GM:グラマティスタ自体は広い街ではないせいか、建物はかなり密集して立っています。なかなかのどかな街とは言いがたいかも知れません。
アルマ:それあれだ、火事が起きるとヤバいやつ。木密住宅地域ね、木造りかは知らんけど。
GM:魔術ひとつで火事が起きるの怖いね。
アルマ:物騒だな。メイジは出入り禁止がいいと思うよ。
GM:進むにつれ、心なしか段々行き交う人々の目線が厳しくなっているような……。
アルマ:よそ者を見る目だ。カモかな? とか思ってるかも。隙あらば盗んでやろうみたいな。
GM:冒険者自体を珍しく思っているかもしれないですね。ドラゴンもいるし。
アルマ:あー左様ですね。ラグナはザックから首だけ出してることにしますか。それが我々の標準なので特に隠すこともせず。
GM:さて、メモに書かれた場所の付近に行くと、周囲のおんぼろ度合いはかつてないほど高まり、崩れそうな木造の建物が密集するスラム街がすぐ傍に見えます。
アルマ:「ほとんどスラムだな……仕立て屋はミシェルとどういう繋がりなんだろな」
GM:目に光のない人々が何も言わずにたむろしています。
アルマ:「放っておくのもアレだけど、俺だけの力じゃどうしようもないかんなぁ……」
GM:仕立て屋があるという建物の近くにはいるはずですが、そこにはおんぼろでどう見ても人が住んでいないという感じの木造二階建ての建物しかありません。ですが、ぼろぼろの扉の横にミシェルのメモ通り、目印となる大きな壺があります。そういうことに今なりました(笑)
アルマ:「……こんなとこで一張羅を仕立ててくれんのか? 一流パーティだぞ? 今の俺の服の方がマシなんじゃね」
GM:壺からは何となく嫌な感じがします。
アルマ:「んー、何かあるな。この手のものには迂闊に手を出しちゃいけないってのが世間のジョーシキだし」と言いながら、訝しそうに壺を見るよ。
GM:どう見ても中に人がいる気配はないですが、若干近くのイカツイお兄様方がアルマを見ているので、あまり長く留まっていない方が色々いい気がします。
アルマ:ちょっとだけ入り口から建物の中を覗いてもいいです?
GM:ええどうぞ。中は暗いですね。
アルマ:「(チラッ)やっぱ人いなそうだな」
GM:でも目を凝らすと何かが動いているような……何か居るかも知れませんが、野生のアカマダラオオネズミかもしれません。
アルマ:あ、感知判定する?
GM:もちろん。ちなみにスキルとかで夜目はきかないんでしたっけ?
アルマ:データ上混血だけど暗視は無いねえ、あ、でも《ナイトロード》があるから夜目きくのかもしれないな。
GM:ていうか、暗闇で判定上がるってそういうことなのかなって。
アルマ:そうだね、どう考えても暗闇対応だよね。では《ナイトロード》有効状態で判定を行なう、でいいかな?
GM:OK。
アルマ:このセッションではギルド組んでないけど《士気高揚》対応でいい? 抜いたほうがいい?
GM:いやいいですよ! ドラゴンと士気を高めてください!
アルマ:ギルドとは(笑)では感知判定。
GM:ではルイネーター的な力を解き放っていただいて。
アルマ:6D+12で……32です。
GM:高すぎない?
アルマ:《士気高揚》、《ナイトロード》、リンクアイテムで2Dで6Dだよ!!
GM:高さに免じて内容がだいぶん分かったことにしましょう。
アルマ:わあい。「(何かいるかな……暗闇に目を凝らしてっと)」
GM:中では人が何かごそごそやってますね。
アルマ:「(人……か? )」一人?
GM:一人ですね。
アルマ:何かを探しているのかなあ?
GM:床に向かってごそごそやってましたが立ち上がりました。なぜか電気とかは付けてません。
アルマ:「(あ、怪しい……)」
GM:中身はこんなんですかね。怪しいやつがいるということで。
アルマ:一応声かけようかなぁ。用事で来ているわけだし。じゃあドア辺りをコンコンと改めてノックして、「あのぅ、すみません」と言う。
GM:あなたがドアをノックした瞬間、銃声と共にドアの片方が吹き飛びました。
アルマ:じゃあさっきのセリフは全部言い終わらないくらいで沈黙するかな。そして「へ?」と。
GM:中から低いトーンの女性の声が聞こえます。「……誰だ」
アルマ:反射的に片腕で爆風を防ぎつつ、ちょっと後ずさりしつつそちらの様子をうかがうよ。
GM:中に日が入ったので、声の主の様子がわかります。腰まである長い金髪の女性です。大ぶちの銀色眼鏡をかけていて、片手には異様に銃口の大きい銃が握られています。
アルマ:「いやぁ、あの怪しいもんじゃないんでね?」っといって両手を上げてみる。
GM:「怪しくない? 自分で怪しいというやつが世界のどこにいる。さあ、用件を言え。さもなくば消し飛ばしてやる」
アルマ:「……一理あるな……ってそうじゃなくて! あの、その、とりあえずそちらをしまってくれません? 人間話し合えば分かる!」
GM:「話し合う? 私にお前と話し合う用事はない。では、さらばだ」と言ってトリガーに指をかけます。
アルマ:「用件用件! そうそう、あのここでパーティ用の服を見繕ってもらえるって聞いたんだけど!!」っとひきつった顔で答える。
GM:「……服?」とその単語に反応して「誰に聞いたんだ?」といぶかしそうに答えます。
アルマ:「んーなんて言ったかな、ポカソとか言う人のパーティで……あ、聞いたのはミシェルって白いローブの女の人。この店の常連なんだろ?」両手はハングアップの姿勢のまま言うね。
GM:「ミシェル……? そんなやつは私の知り合いにいないが……晩餐会については一応内密にはしてあったはずだが」とぶつぶつ言っています。
アルマ:ラグナは俺の肩からやや顔を覗かせて威嚇する感じ。「(あれ、おかしいな……)」
GM:「お前は、誰の回し者なんだ」と一層表情を厳しくします。
アルマ:「いや、ですから、ミシェルっていう人のだねぇ。結構オーラのあるやり手そうな、年代物の白いローブに身を包んだ人の!」
GM:その言葉を聞いて納得した様子。「ああ……」と言って銃を下ろします。「そういえば、そんなやつもいたかもしれないな。さて、もういいぞ、中に入ってくれ。少なくとも誰の差し金かはわかった」
アルマ:「……ふぅ、そんな重要なこと忘れないでよね……」
GM:「電気でも付けるか」と言って二回床を足で叩くと、どこからともなくプロペラで飛ぶ小さなロボットが現れ、天井に張り付いて部屋を照らします。
アルマ:ロボ? 錬金術師か何かか?
GM:部屋には何もありません。大きなトランクがひとつあるだけです。あとバーカウンターがありますが、これは前からあったもののようですね。カウンターの上にも何もありません。
アルマ:改装したのかなあ。
GM:多分改装もしていないかな。居抜き状態。
アルマ:「よっし、これで安心だ。もういいぞラグナ」と頭を撫でつつ、自分の胸もなでおろす。あ、相手の御年はどのくらいだっけ?
GM:30台ぐらいです。服装はエンジニアっぽい格好。丈夫そうなロングブーツにズボン。
アルマ:了解。「(やっぱり錬金術に携わる人かな)」
GM:かなり落ち着きがありますね。
アルマ:声のトーンも低い感じだしな。「ところで、さっき何か探してませんでした?」
GM:「探していた? ……いや、私は普段通りに仕事をしていただけだが」
アルマ:「へ、真っ暗な中で?」
GM:「このトランクがあれば、全ての用事は片付くからな。特に暗くとも構わないだろう。慣れれば何も問題はない。眼鏡もかけているし」
アルマ:「そんなもんなのかなあ」
GM:「それに、お前のような不用心な来客も防げるしな」
アルマ:「あーなるほど! って危なすぎる!」
GM:「お前の用事とやらの中身はもうわかっている。あいつに代役を頼まれたんだろう?」
アルマ:「ああ、そうなの? ご理解が早いことで」
GM:「あいつがこないだギャーギャーわめきちらしていたからな」
アルマ:「ミシェル……そんなに行きたかったのかな。にしても、そんな騒ぎそうなタイプには見えなかったけど」
GM:「『あの男は金にがめつすぎる、あいつには任せておけない』と言って、相方をご自慢の魔術で吹き飛ばしてしまった。私から見れば、似たもの同士がふたり並んでいただけだが、まあ、そういうものなんだろう。どこかで生きていればいいが」
アルマ:「……それ本当にミシェルの話? 確かに実力はありそうだったけど、俺の知ってるミシェルはもう少しおしとやかそうだったぞ?」
GM:「おしとやか? あいつにおしとやかな瞬間など1秒たりともあったことはない」
アルマ:「じゃあ全部演技? そんなまさか……でもまあ確かに魔術の腕前はすごそうだし」
GM:「ま、確実に演技だろう。金のためならなんだってする女だ。ちなみにミシェルというのも偽名だ」
アルマ:「偽名とな!?」
GM:「本名は私も知らないがな。ブリュンヒルデというのが通り名だが、そんな大層な名前の人物がいるわけがない」
アルマ:「ブリュン……ヒルデ……か」と呟き、思い出したように「あっそうだ! その人もしかしてドラゴネットだったりしない?」と。
GM:「ああそうだ。あいつはメディオンで、左手は竜のそれだ」と頷きます。
アルマ:「やっぱり……そんじゃ間違いなくあなたの言う人はミシェルだな……」
GM:「そりゃそうだ。真っ白なローブで道中を練り歩けるど阿呆な趣味の女を私は二人と知らない」
アルマ:「にわかには信じられないけど……」
GM:「そもそもあいつの素性も知らずによく引き受けたな。とんだお人好しもいたもんだ」と特に面白くなさそうに言います。
アルマ:「んんーそれはまあ成り行きといいますか……タダで豪華なご飯が食べれるならやぶさかではないといいますか」
GM:「懐柔されたか。やつは自分の手の痛まない範囲なら何でもやってみせるからな」
アルマ:「別に急いでなかったしねぇ。一緒に行くくらいならいっか、って感じだったんだけど……そんなに酷い人だったのか」
GM:「頼まれてくれたのはご苦労なことだが、あいつの近くに居るとろくなことがないぞ」
アルマ:「……まあ、ある意味俺も騙されていたわけだしな」
GM:「と言っても……仕事はやってもらうがな。我々のためにも」
アルマ:「って一体どっちの味方なの?」
GM:そう言うと女はトランクを叩いて、なにがしかの呪文を唱えます。「もちろん私はあの女の味方だ。味方、というよりも、支援者だがな」
アルマ:「(恐ろしい一味に巻き込まれたっぽいな)」
GM:そんなことを言いつつトランクを開けるとあら不思議。中から素敵な燕尾服と竜の仮面が飛び出しました。
アルマ:「おお、便利だな、最新の錬金術か?」
GM:「さて、準備はこれでいいだろう」と呟いた後、あなたの方を見やって「最新? 私の造ったものを最新というなら、確かに最新だ」と不思議そうに言います。
アルマ:「なかなかの技術っすね」
GM:「当然だ。この私にできないことは、さほどない。ちなみにレンタル料は5万Gだ。格安だろう?」
アルマ:「……それ誰が払うの? ミシェル?」
GM:「もちろん品物で払ってくれても構わない。ポカソの家から二、三点持ってきてくれれば十分だ」
アルマ:「ん?? ちょっと理解できないんだけども??」
GM:「なんだ、本当に何も聞いてないんだな」と呆れ顔で言います。
アルマ:「あれ、タダの晩餐会に出て料理食べて美味しかった! じゃあね! って感じでは?」
GM:「あの女の任務はポカソ家への侵入と、もろもろの強奪だ」
アルマ:「なに―――――――――ッ!! そんなん何も聞いてねーけど!?」
GM:「成金貴族ポカソの力が高まりすぎたことが土着の貴族の癪に触ったらしくてな。とにかくあいつにダメージを与えてほしいと依頼があったんだ」
アルマ:「……そういう依頼なんだ。確実にそれ神殿経由してねーやつだな」
GM:「それで白羽の矢が立ったのがあの女、盗賊より盗賊らしい魔術師、すべてを破壊するもの、後輩に10万回ジャンプさせる鬼、ブリュンヒルデ」
アルマ:「……」
GM:「まったくぴったりな人選だ。これ以上おあつらえ向きの依頼もあるまい? あいつも明日が楽しみで今日は眠れないだろうな」と言って笑います。
アルマ:「……俺、もしかしてその恐ろしい女に選ばれちゃった不幸な冒険者ってこと?」
GM:「聞かなくても、わかることだろう?」
アルマ:「で、でも! 一応冒険者ってそういう盗みとかしちゃいけないしね? ごちそうになったことは感謝しているけどさ」
GM:「ん? 冒険者にルールがあっただなんて、私は初めて聞いたな」
アルマ:「多分……そう。一応神殿とのつながりあるし……」と両手の人差し指の先をつんつんしつつ。
GM:「私たちは『仕事を頼まれている』だけだ。そして私たちは『仕事をする』。簡単だろう?」
アルマ:「貴方も相当な悪人だね? 類は友を呼ぶってやつかな……」
GM:「いいや、私は仕事をこなしているだけさ。更に言えば、仕事をしているのはあの女だしな」
アルマ:「ふーん、そういう関係なんだ」
GM:「まあとにかく、これでお前の欲しいものは手に入った。あとはよろしくやってくれ」と服を渡す。アルマくんは すごい立派な燕尾服を てにいれた!
アルマ:やったあ!「いやいやそんなこと言われても! ってあんたに言ってもしょうがないのか。ミシェル……じゃなかったブリュン……なんとかに話をつけよう!」
GM:「ああ、それはやめておいた方がいいと思うぞ。命が大事ならな」
アルマ:「……」
GM:仕立て屋は「あいつはそういう女なんだよ」と少し笑って言いました。というところでシーンを終わりにしましょう。
アルマ:「……これ逃げると元のパートナーみたくなるのかな……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます