◆ミドル2◆頼み事

GM:さあ、お店はあちらです、と言って彼女が指さした先はどう見ても高そうなお店でした。中ではドレスとタキシードの男女がうっとりした表情で語らっています。

アルマ:「(……超高級店じゃんか……)」

???:「あそこのポメロステーキは絶品なんですのよ。ぜひお召し上がりになってくださいまし」

アルマ:「あの……すごく言いにくいんですけども、俺あまり持ち合わせが無くて……その……」

???:「ああ、そのことならご心配なさらなくて結構ですわ」

アルマ:「前回の報酬もほとんどラグナの餌に消えたって言うか……って、ん?」

???:「この名刺で、チャラですから」と言って笑います。

アルマ:「名刺?」

GM:彼女が指先で挟んで見せたのは名刺、というにはあまりにも長い紙片で何か事細かに色々と書いてあるようです。

アルマ:名前だけではないのだろうか。

GM:よくよく見るとそれら全てが名前のようです。

アルマ:ふむ、超長い名前?

???:「ふふ。これはこの街一番のお方の名刺なんです。そのお方にお会いできると言うだけで、この街をふんぞり返って歩けますわ」

アルマ:「(領主かなんかと知り合いなのかな、この人)」

GM:では中に入りまーす。

アルマ:うい。

GM:ちなみに超々高級店ですが、アリアンの物価に照らし合わせ一食5000Gぐらいなので、武器に比べればなんてことはありません。

アルマ:あれ……それ俺普通に払えるんじゃね……。

GM:まあまあ。

アルマ:このクマーラの盾を質に入れれば(笑)

GM:というわけで店の中に入ります。女性はいきなり名刺を見せびらかします。

アルマ:そうでしたね、重要アイテム。

GM:ウェイターはややビビりますが、高級店なので流石にすぐ取り直します。「ほっほっほ。まあこんなものですわ」となぜか誇らしげな女性。

アルマ:「(そんな大物なのか……)」本人が書いたサインとかなんだろうなあ。

GM:あなた方は窓際の席に案内されました、ガラス張りのテラスみたいな感じですね。外の様子がよく見えます。みんなドレスでタキシードです。

アルマ:きっと特等席だな。ラグナはバックにでも突っ込んでおきましょう、人多いので。

GM:子供もいますが見るからにませています。冒険者っぽい風貌の人はほぼいませんが、時折異常なほどオーラを発した冒険者が歩いていたりするので、それなりに警備はされているようです。

アルマ:コイツできるな……というアレだ。

???:「流石は華の都、すべてが贅沢……」とうっとり。

アルマ:「いつもの格好で来てしまってやや浮いてる……よなコレ」……ドレスコードのお店に腐敗装備で入る俺って一体……。

GM:まあまあ一流だしそこらへんはね! 嫌がらないよ多分!

アルマ:あ、そういえば名乗ってなかった! っていう定番会話発生させておかない? 

GM:そういえば! では食事の最中で名乗りだしましょう。

アルマ:じゃあそうしよう。

GM:さあ、特に何もしていませんが料理が運ばれてきました。ちゃんと前菜からスタートします。運ばれてきた料理を見つつ「そういえば、お名前をお伺いするのをすっかり忘れていましたわね」と。

アルマ:「あ、そうそういつもそういうの忘れちゃうんだよね。俺はアルマ、冒険者やってる。んで、このバッグの中に入っているのが俺の友達でドラゴンのラグナ! ちなみにオス!」

???:「アルマ様……いいお名前ですね。ラグナちゃんも、元気でかわいいですわ」と微笑みます。

アルマ:「よろしくな! こっちも聞いてもいいかい?」

???:「私の名前はブ……いえ、ドルーティ・ミシェリエッタですわ」

アルマ:なんか言いかけたなこの人。

???:「ミシェルとお呼びくださいませ、アルマ様」

アルマ:「様なんてつけないでよ! こっちもミシェルって呼ばせてもらうからさ!」と頬笑みながら言った後、続けて「よろしく、そんでもってごちそうになっちゃってどうもありがとう!」と今度はこちらから手を差し出します。

ミシェル:「いえいえ、元はと言えば私のせいですし」と右腕を差し出します。

アルマ:ミシェルもそれなりの冒険者というか魔力がある、とかいうことはある程度感じとってもいいかな?

GM:いいですよ!

アルマ:んで、改めてミシェルと名乗る白いローブの女性を見てコイツ結構できる人だなあ、と思う。領主と繋がりがあるような人は、必然ある程度実力がある人なのかもしれないけども。

ミシェル:「アルマ様は冒険者なのですね、心強いですわ。この辺りも、最近なかなか物騒ですから……。先ほども街を散策していたのですが、少し怖くて」

アルマ:「ミシェルも結構その道の経験あるんじゃない? それなりに心得がある人は分かるつもりなんだけど」

ミシェル:ちょっと困った顔をして「ええ……昔はずいぶんとやんちゃをしたものですが、今はもうさっぱりですわ」と顔の前で手を振って否定します。

アルマ:「そうかぁ」

ミシェル:「ふふ。少しだけ魔術に覚えがあるだけですわ。アルマ様ほど実力があるとは到底思えませんもの」

アルマ:「いやあそんなに褒めないでよ! 俺だけの力じゃないし! ラグナと一緒にいるからこそだしさ」

ミシェル:「ラグナちゃん、小さいのにすごいんですね」

アルマ:でも今は大勢の人たちと慣れない場所に戸惑っているので、バッグから出てきません。

ミシェル:「冒険者歴はもう長いんですの?」

アルマ:「そうだね、何だかんだこの世界には物心ついた頃から居る、ことになるのかな。ラグナとの付き合いももう15年くらい? になるし」

ミシェル:「なるほど。ラグナちゃんと出会ったからずっと一人旅を?」

アルマ:「いや、今もギルドに入っているんだけど、別行動中なんだ。自分自身を鍛える旅っていうと大げさだけど、色んなところを見て回って見識を広める、そんな感じかな」

ミシェル:「そうなんですの。それでこの街にいらしたんですね」

アルマ:「そうそう、ちょっと休憩がてら観光にね。ラグナはでっかく変身できる能力があるから、遠距離の移動の時は背中に乗せてもらったりしてるんだけど、ずっとじゃ疲れちゃうからね」

ミシェル:「へぇ、小さくても立派なドラゴンなんですね」

GM:とりあえず料理は大体食べきってデザートが出てくるぐらい。料理は美味しかったです。

アルマ:いくつか料理をバッグの中にいる金喰い虫くんにも上げて、皆満足満足。

GM:さて色々豪勢な食事を会話しつつしている間に日が暮れてきました。そんな中、外を見やりながらミシェルが切り出します。

ミシェル:「突然こんなことを申し上げるのは気が引けるのですが……ひとつ、お願い事をしてよろしいでしょうか」

アルマ:「ん? 何? ご飯食べさせてもらったし俺に出来ることならなんでもするよ」

ミシェル:「私と一緒に、明日の仮面晩餐会に参加していただきたいのです」とうつむきながら。

アルマ:「晩餐会?」

ミシェル:「ええ、この名刺の主……パブラ・ポカソ様が主催する、仮面晩餐会です。ポカソ様の晩餐会はこのグラマティスタで行われるパーティーの中でも最も大きなもの……参加できるだけで、至上の名誉ですわ」と顔を上げて。

アルマ:「そんなに名誉あるパーティなのか。冒険者には縁がないなあ……でも別に一人で行けばいいんじゃ? 行きたいんでしょ?」

ミシェル:「いいえ。そういうわけにはいきませんの。仮面晩餐会では、男女のペアがひとりずつ、仮面を付けていく決まりになっておりまして、私のペアを務めていた殿方は、先日魔術で……いえ、不慮の事故で国に帰らなくてはならなくなりまして」

アルマ:……そいつミシェルの機嫌損ねたな。

GM:ふふふ。

アルマ:「あーなるほど。理解理解……でも俺でいいの? 今日会ったばっかなのに、もっと友達とかに頼んだら?」

ミシェル:「私、その殿方と組むつもりで単身ここに来てしまいましたから、近くに知り合いがいなくて……」とまたうつむきかげんにます。「アルマ様のような素敵な殿方とご一緒できるなら、私、幸せですわ」

アルマ:「す、素敵だなんて、そ、そんなことないよっ! ま、まー美味しいもの食べられるならいいよ、一緒に行ってやんよ!」

ミシェル:「ありがとうございます! ではこちらをお渡しいたしますわ」と言ってパブロ・ポカソの名刺をアルマにも渡します。なぜかいっぱいあるらしいです。

アルマ:「これはさっきのやつか」ってそれいいのか? 合法か?

GM:合法だと……いいね? 

ミシェル:「これがあれば、この街で不自由することはありませんわ」

アルマ:「お、それは助かるね! こちとら蓄えもないんで」

ミシェル:「ふふ、ラグナちゃんも楽しんできてくださいね」

アルマ:ラグナも嬉しそうに、「クルルルルゥゥゥゥウ!」

GM:そしてミシェルはあなたの全身を見やってこう言います。

ミシェル:「ええと……晩餐会用のお洋服を用意しないといけませんわね」と。

アルマ:「……やっぱりこれじゃダメだよね?」

ミシェル:「そうですわね……」と語尾を下げて、手を顎に当てて少し考えた後、「でもご安心くださいませ。殿方のツテはありませんが、洋服のツテならありますのよ。……そうそう、こちらもお渡しいたしますわね」と言ってゲートパスを渡します。こちらもなぜか沢山あるようです。

アルマ:「へー頼もしいね、んでさっきの名刺で一発ってわけだ」……合法じゃないな。

ミシェル:「いえ、洋服のツテは街の中央にはありませんの」

アルマ:「じゃあ外に戻らないといけないのか」

ミシェル:「街の外れのほうですわ」と言って苦笑いします。「お店の見た目は少し、なんといいますか、古びていますけれど、腕は確かな方がいらっします。『ミシェルに言われて来た』とお伝えくださいまし」

アルマ:「仕立て屋みたいなもんかぁ。もしかしてそのローブもそこで?」

ミシェル:「いいえ、これは私のコレクションですの」と言って笑います。

アルマ:「分かった。さっそく行ってこようかな。早く行かないと明日に間に合わないかもしれんし」

ミシェル:「ええ、申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。私は中央にある宿におりますので、また何かありましたらお訊ねくださいませ」と言って、宿の名前と部屋を書いたメモをさっと魔術で書いて渡します。MPの無駄遣い。

アルマ:そのメモを受け取って「オッケ。じゃ、ミシェルまた明日!」といって元来た外の方に戻るね。

ミシェル:「ええ、明日の昼、またこちらのお店にいらしてください。私もこちらに来ますから」といって手を振ります。

アルマ:で、シーン終了。

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