女性ミステリ作家漫才
A「最近、女性の社会進出がどうこう言われてるじゃないですか」
B「ええ、そうですね」
A「そこへ行くとね、ミステリ業界って凄いと思うんですよ」
B「どういう点で?」
A「だって、女性で大活躍しているミステリ作家って、凄く大勢いるじゃないですか」
B「ああ、なるほど」
A「そもそもからしてね、『ミステリの女王』と呼ばれている、アガサ・クリスティからして女性ですからね」
B「『女王』っていう称号自体が女性のものだから、それは当たり前だろ」
A「世の中に、凄い女性ミステリ作家は、クリスティ以外にも大勢いるんですからね。
B「
A「現在も活躍中の作家でいえばですね、
B「あ、ちょっと待って」
A「なに?」
B「北村薫は男性ですから」
A「……ええ? そうなの?」
B「そうなんです。デビュー間もない頃は覆面作家で、作風や文体、さらには作中に登場する主人公の女子大生キャラクターの印象とも相まって、最初は女性だと思われていたというのは有名な話です」
A「まじかよ……」
B「まじなの。当時、北村薫は女性だと信じて疑っていなかった男性ファンが、本当は男だと知ってショックで寝込んだ、なんていう話もあったの」
A「まじかよ……(呆然とする)」
B「君もショックで寝込んじゃいそうだな」
A「僕のかおるたんが……」
B「気持ち悪い呼び方するな! 現実を受け入れなさい。北村薫は男なの!」
A「……いや、しかし、僕にはまだ天使たちがたくさんいますから」
B「何だよ、天使って」
A「女性ミステリ作家という天使たちがね」
B「だから、気持ち悪いよ!」
A「
B「その二人も男だぞ」
A「な、なんだってー! 何なんだよー! どうして男のくせに美少女みたいなペンネームをつけるんだよー! 変態かよー!」
B「怒られるぞ」
A「もういいです。もうミステリ作家に夢は見ません」
B「君の夢の見かたが不純なだけだ」
A「やっぱりミステリ作家は男ですよ。男のミステリですよ」
B「言うことがころころ変わるな」
A「実は私、めちゃくちゃかっこいい名前のミステリ作家をひとり知ってまして」
B「ほうほう」
A「美しさの中に儚さもあり、しかし揺るぎない頼もしさも感じる、これぞ男の中の男、という素晴らしい名前のミステリ作家です」
B「どなたですか?」
A「
B「その人は女性だ」
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