ナ○ツ風 アガサ・クリスティ漫才
A「この間ヤホーで」
B「ヤフーね」
A「凄いミステリ作家を見つけてしまいまして」
B「誰ですか?」
A「皆さん、アガサ・クリスティってご存じですか?」
B「『ミステリの女王』とまで呼ばれてる超有名作家だよ!」
A「この、アガサ・クリスティ、凄い人なんですよ」
B「それはもう、『ミステリの女王』ですから――」
A「いや、それだけでなくて」
B「どういうことですか?」
A「アガサ・クリスティ、まじ半端ないですよ。他のミステリ作家とは一線を画する存在です」
B「どういう点で?」
A「なんと、小説の中だけじゃなくて、自分自身でも実際に事件を引き起こしたことがあるんです」
B「ああ、そう言う意味ですか」
A「その、クリスティが起こした事件というのがですね……絶海の孤島に人々を集めて、次々に惨殺していくという――」
B「ガチの凶悪犯罪じゃねえか!」
A「このときの経験を元にして書かれたのが、『そして誰もいなくなった』」
B「全然違うわ! 失踪したの! クリスティが起こしたのは失踪事件だよ!」
A「アガサ・クリスティといえば、二人の有名な名探偵ですね」
B「そうですとも」
A「ひとり目は、村のゴシップ好きな婦人の……」
B「有名なキャラクターですね」
A「ミス・マーベル」
B「マープルだよ! めちゃくちゃ強そうな名前になったよ! 何か別のキャラクターが混ざってるでしょ!」
A「彼女が初登場したのは、1930年に刊行された『
B「ん? 何々? 何か問題あるの?」
A「このタイトル、やばくないですか?」
B「……『牧師館の殺人』の? どこが?」
A「『○○館の殺人』って、
B「いやいや! 違うから!『館シリーズ』のほうがずっとあとだから! 君、今自分で『1930年刊行』って言ってたよね? この年に『館シリーズ』をパクったんなら、綾辻行人は何年生まれで今いくつなの? リアル
A「えっ? じゃあ、パクったのは『館シリーズ』のほう?」
B「そうじゃないの!『○○館の殺人』なんて、よくあるネーミングじゃないですか。別にパクったわけじゃありません」
A「でも、『館シリーズ』の大ヒット移行、後続作家たちがやたら『○○館の殺人』というタイトルのミステリを書きまくってますけど、あれらは全部パクリですよね?」
B「違う! パクリじゃない!『○○館の殺人』っていうタイトルパターンは、もう人類全体の共有財産でしょ。『○○殺人事件』みたいなものですよ」
A「それは
B「早坂吝の『○○○○○○○○殺人事件』のことじゃないから! もう! ややこしいから! 早く話を戻して!」
A「それでですね、クリスティは、この、キャプテン・マープルの他にも――」
B「やっぱり『キャプテン・マーベル』と混ざってた!」
A「もう一人、男性の名探偵も生みだしていて」
B「ええ、シャーロック・ホームズに次いで有名な名探偵かもしれません」
A「パーカー・パインっていう――」
B「そこはポワロでしょ!」
A「あー、そっちかー」
B「そっちかー、じゃないよ! クリスティが生んだ有名な男性探偵といえば、どう考えてもポワロ。エルキュール・ポワロでしょ」
A「ポワロといえば、あれですね。サブ・キャラクターも魅力的ですね。秘書のミス・レモンに、小説家のオリヴァ夫人」
B「真っ先に出てくるのがその二人? もっと他にいるでしょ、重要な人物が」
A「あ、妖艶な美女、マドリーン・ド・サラ」
B「君が言ってるの、パーカー・パインのことだよね! 確かに、ミス・レモンもオリヴァ夫人も、ポワロものとパーカー・パインもの両方に出てくるキャラクターだけど! ポワロのことを話して!」
A「じゃあ、ポワロもので、何か好きな事件はありますか?」
B「どれも名作揃いで選ぶのが難しいですけれど、ひとつ挙げるなら、僕は『ABC殺人事件』ですね」
A「有名な作品ですね」
B「はい『ABC殺人』という雛形を作った功績はあまりに大きいと思います。君は、どの事件が好きなんですか?」
A「僕は……あれですね、エジプトのナイル川が舞台の」
B「ああ、あれも大傑作ですよね」
A「そうなんです。ナイル川をゆく観光船の上で事件が起きるんですよ」
B「はいはい」
A「ある婦人が毒殺されるんですね。で、現場の灰皿から謎のメモの燃え残りが発見されて――」
B「それは、パーカー・パインものの『ナイル河の殺人』だよ! ポワロの『ナイルに死す』のことかと思ったよ!」
A「はい」
B「はい、じゃないよ! ポワロの話をしなさいよ」
A「ポワロといえば、僕、昔失敗談がありまして」
B「ほうほう」
A「エルキュール・ポワロのことをイニシャル書きで『E.P』って間違って書いちゃったことがありまして」
B「ああ、ミステリ初心者あるあるですね。ポワロのファーストネームの『エルキュール』って、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスのフランス語読みなんですよね。だから、イニシャルは『E.P』にならないんですよ」
A「正しくは『P.P』ですね」
B「それだと、パーカー・パインになるでしょ! 『H.P』だ! フランス語読みだから、『Hercule』の最初の『H』を発音しないの!」
A「『H』をしないんですね」
B「『発音』を抜かすな。変なふうに聞こえるでしょ。あと、ポワロといえば、有名な決め台詞があります」
A「『あなたは幸せ? でないなら――』」
B「『パーカー・パイン氏に相談を』でしょ? それはパーカー・パインが新聞に出している広告の文言だ! 君、パーカー・パイン好きすぎでしょ! 違うの!」
A「ああ、もちろん知ってます」
B「じゃあ、言って」
A「『灰色の農水省』ですよね」
B「『脳細胞』! 何だよ、『灰色の農水省』って。農林水産省に汚職事件の疑惑があるみたいになってるから! 君、ポワロのこと全然知らないでしょ」
A「失敬な! イギリスで制作されたドラマも欠かさず観ていましたよ!」
B「ああ、そのドラマでデビッド・スーシェが演じたポワロは非常に完成度が高くて、原作のイメージに最も近いポワロと言われていますね」
A「日本語吹き替えもイメージぴったりの声で、いいんですよね」
B「はいはい」
A「えーと……ポワロの吹き替えをしたのは……誰だったかな……」
B「ド忘れしたみたいです」
A「ああ、言わないで。もう少しで思い出せそうだから……ええと、確か、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌も歌ってた人ですよね」
B「そうそう」
A「あ!
B「違う!
A「新しい一面をね」
B「確かにあの人、最近新しい一面を見せてきてるけど」
A「ポワロの主題歌も歌えばいいと思うんですよね」
B「どういうのだよ、ポワロの主題歌って」
A「♪向こう横丁のアンドーヴァー アリス・アッシャー殺されて 挑戦状が届くけど もうちょっと待とうか 2・3人」
B「『きよしのズンドコ節』のメロディーで『ABC殺人事件』を歌うな! 何だよ、『もうちょっと待とうか』って、いたずらに被害者を増やそうとして。まあ、ポワロはそういうところあるけども」
A「♪ズン ズンズン ズンドコ ポ・ワ・ロ!」
B「ポワロのズンドコ節とか、ないから。もう、ポワロはいいから、クリスティについて、もっと何かないの?」
A「クリスティは作品の中に、彼女自身がモデルなんじゃないかと言われているキャラクターを出しているんですよね」
B「はいはい、さっきも名前が出た、小説家のオリヴァ夫人ですね」
A「それと、もうひとり」
B「ん? 誰かいましたっけ?」
A「○○です」
B「それは『そして誰もいなくなった』の犯人だ! オチが伏せ字って!」
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