愛
親愛なるヨン君へ
しばらくだね。この間の手紙に返事を書かなくてすまなかった。
君は、僕に嫌われている、と思っているかもしれないが、僕は、君のことは、一番弟子であり、大切な友人であると思っているんだ。
先日、つれない態度をとってしまったことを今は、とても反省している。だから、許してほしい。ごめんよ。
さて、本題に入ろう。
今、ヨルという少女のことを知っているのは君だけだ。
それで、僕は、友人として、それから、大切な弟子として、君にこのことを伝えなければならないと思っている。
きっと、君も、鑑定士のように僕のことを問い詰めたかっただろう。それなのに、庇ってくれてとても嬉しかった。
最初に伝えておこう。
あれは、確かに魔法で、僕の憧れのためだけの人形だったかもしれない。
だけど、確かに、あの容れ物のなかにヨル、という少女だけの人格が存在して、僕は、彼女を愛していた。
あの感情が、本にあるような、魔法の水という人類が作り出すことのできない未知の力による羨望などによっておこる依存的感情だとは、思えない。
僕は、踊る彼女が好きだったし、憧れの女性よりも幾分か柔らかく笑う彼女の笑顔が好きだった。
ヨルを一人の女性として愛していた。
僕が伝えたいことは以上だ。
君には、心配をかけてすまなかった。
僕は、依存患者でもないし、まともだし、恐ろしく健康だ。
安心してほしい。
もうそろそろ、また、秋がやって来る。寒くなる前にまた、お茶でもいかがかな?
空いてるときに訪ねてくれると嬉しいよ。
君の友人 ホシ より
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