第14話

 「雨の日は、魔法の力が弱い。」

ヨルは目線を窓の外にちらりと向けて、窓際によった。

「私もあそこに行きたい。」

ヨルは、雨の降る空をなぞるようにあおいで、恍惚な表情で言った。

「永遠の旅をあそこで。彼らと共に。」

彼らとは、きっと、空に浮かぶ魔法のことだろう、とわかって僕は、寂しい気持ちになった。

 「魔法にも感情があるのか?」

「さぁ。よくわからない。たまに、私の存在に気がついた魔法が私のまわりに寄ってくることがあるが、彼らが、私に迎える言葉をかけてくれたことはない。彼らは自然そのものだから、個人には干渉しない。感情があるかさえ定かではない。」

ヨルは、少女とは思えないほどぐっと大人っぽい顔をした。

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