第2話 泉
僕は、目を覚ました彼女に挨拶した。
「はじめまして。僕の名前はホシと言います。今日からあなたの教育係をします。」
僕は、自分が研究者であるとは言わなかった。
「私は、、、」
彼女は、僕の家を見回した。かわいらしいという言葉の似合う小さな木造建築。窓枠には、ドライフラワーに、食器棚にはほんの少しの皿とコップ、こんな家だ、これから彼女がいろいろなことを知っても、僕が研究者であることはバレないだろう。
僕は、なにも知らない彼女に向かってずっと考えてきた嘘を伝えた。
「君は15歳の、ヨルといいます。以前は、優秀なダンサーとして期待されていましたが、先日の嵐で、記憶を失ってしまったようです。」
「私の記憶はもどるんですか?」
「さぁ、今はなんとも言えませんが、全力を尽くします。」
美しい彼女は、白い頬にふわりと、笑みを浮かべ、僕にお礼を言った。
僕は、微笑んだ。復活させよう、全盛期の君を。
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