ポニーキャニオン アニメ化大賞
第4話 陽南子の目指す世界の道
テーマ 明るく前向きな女の子が男達を助けて世界を救っていく物語。
世界観
遥か昔、竜皇帝の支配する異世界ドラキリーアがあった。世界は竜が支配していた。
ある日、竜皇帝は次元を隔てた遠い場所に別の世界があることを知り、自分の世界の統治を配下の四竜に任せて旅立った。
月の綺麗な夜だった。人間界に渡った竜皇帝は明るく前向きで人を笑わせようとする人間の娘と恋に落ち、結婚した。竜月家の始まりであった。
一方で竜皇帝の強大な支配の無くなったドラキリーアでは人間が繁栄を築きつつあった。
管理を任されていた四竜は穏やかな現状維持を望み、争いにならなければ積極的に人間に関わることはしなかった。
彼らは気づいていなかった。地の底深くに眠る邪悪が人間に干渉しつつあるのを。
そして長い時が流れた。
キャラクター
竜月陽南子 明るく前向きで人を笑わせるのが趣味の女の子。お婆ちゃんの影響でお笑いが好きになる。
ある日、彼女は異世界に迷い込むことになる。竜皇帝の末裔であることは本人は知らない。
スライム 異世界の草原で陽南子と出会い、助けたら懐かれた。あまり笑いのセンスは理解していないようだ。
ファルダーク 異世界に眠る邪悪、破壊の神。自分の力とするために別の世界から力を持つ者達を呼びよせた。
ファールス 異世界に来て何も知らない陽南子に助言をする。優しい好青年に見えるが、その正体はファルダークの意思によって集められた人間達を自分の都合のいい方向へ導く案内人。
ローランド みんなから頼りにされ、人気のある異世界の国の王子。率先して隊を率い、戦いの最前線にも恐れずに向かっていく。
アルベル 兄ほどの才能が無いことを悩んでいる第2王子。力を手にするために闇の教団と関わることになっていく。
ヒュウイ 旅先で出会って一緒に組むことになった青年。兄貴分ぶりたい性格で見守る立場を好んでいたが、それだけではいけないと意識するようになっていく。
セイレン 旅先で出会って一緒に組むことになった青年。女性のように綺麗だが口を悪く、陽南子とよく喧嘩をする。
四竜
あまり人と関わることはしてこなかったが、最近になって世界のバランスが危うくなってきているのを察知して、行動を起こすことになった。
その原因が闇と人との関わりにあることは知らないので、無関係な人も含めて人間全体を粛正することにした。
シャドウザ 世界の闇が高まったことで目覚めた青年。闇の王子。闇と光の激突が大きな破壊の力となって地の底まで届く時、破壊の神が復活する。
ストーリー 概要
その異世界は火土水風の4匹の竜によって守護されていた。
しばらく前からその世界には不穏な空気が流れていた。水を通して世界を見通す水竜はその原因を人間によるものだと判断。土竜と風竜は人間を叩きのめしに向かう。弱い人間に興味のない火竜は強い奴がいたら呼んでくれと言って帰っていった。水竜は世界の観察を続けた。
そして、現実世界。
竜月陽南子(りゅうづき ひなこ)は前向きで明るく物怖じしない元気のある中学生の女の子だ。彼女はお笑いと芸人が好きだ。
ある日彼女は異世界にトリップした。異世界の平原で彼女は襲われているスライムを助けて相方にした。そこにかっこいい賢者の青年ファールスが現れて彼女の勇敢さを称えて旅の心構えと世界のことを教えてくれた。が、陽南子とスライムの芸には興味を持って笑ってもらえなかった。
元気の出るお笑いが好きで以前にMMOで旅芸人をしていた陽南子は旅芸人としてスライムとともに旅をする。
そして、ファールスに教えてもらった大きな町とお城にやってきた。何か募集しているようなので行ってみたら、みんなを苦しめている山の土竜の討伐隊の募集だった。活躍したい、みんなに元気になってもらいたい陽南子は参加する。
隊員を選ぶためのテストが始まる。芸人としての器用さと身軽さとMMOの経験のある陽南子は順調に進みながらも途中で先走りすぎて失敗しそうになってしまう。そこで助けてくれたのが筋肉のたくましい優しい兄貴のような武闘家の青年ヒュウイと気難しそうで女性のように綺麗な僧侶の青年セイレンだった。
陽南子の芸はヒュウイにはよく理解出来ていないようだったが、セイレンは苦しそうに笑うのを我慢していた。さらにやろうとすると怒られた。ヒュウイには陽南子とセイレンの怒鳴り合う姿の方が受けていた。
三人は協力してテストに合格した。テストには仲間と協力することも含まれていた。単独で活躍しようとして失敗した参加者もたくさんいた。
凄くかっこよくて腕も立つ国の女性みんなのあこがれの騎士であるローランド王子が指揮に立ち、その親友で優しい微笑みの似合う軍師アルベルが作戦を立てて、土竜討伐隊は出発する。
だが、土を支配し岩をモンスターに変える土竜とさらに飛んできて風を巻き起こす風竜が現れて苦戦をする。飛んできた岩から先走る陽南子を助けてくれたのはローランド王子だった。討伐隊は一時撤退する。
作戦の失敗に苦悩するアルベル。そこで陽南子が打ち出したのは戦いではなく、不可能と思える話し合いによる解決だった。陽南子はドラゴンの微かな声を聞いていた。
アルベルは迷うが、ローランドは国民を守るために決断する。守られながらたどり着いた陽南子はドラゴンと話し合う。陽南子はドラゴンが世界を守護する存在であり、人間が魔王を目覚めさせようとしていることを聞く。陽南子はドラゴンのしていることが人を不幸にする魔王と同じだと責め、世界には笑いがあるべきだと主張する。
土と風のドラゴンは陽南子の言葉に感銘を受け、かっこいいおじ様と美しいお姉様の姿となって、竜の加護を持つ腕輪を陽南子に授けて去っていった。
作戦は成功し、城では舞踏会が開かれた。ドレスを着た陽南子をセイレンは似合わないと冷やかし、感想を聞かれたヒュウイも困ったような微妙な反応だった。
そこにローランドが来て陽南子とダンスを踊る。陽南子は彼に求愛される。常に守ることを一番に生きてきたローランドにとって、前向きで行動力のある陽南子は、危なっかしくありながらも魅力的な女性だったのだ。
生まれて初めての告白に陽南子は迷うが、結局は旅をして世界に笑いを広げたいと断った。ローランドにとっても彼女の困った顔を見るのは望みでは無かった。二人は別れる。
一方、陽南子に作戦を潰された格好になったアルベルは彼女に嫉妬し、闇の教団と手を結ぶようになる。
陽南子はヒュウイとセイレンの故郷に立ち寄ったり、土と風の竜に認められた陽南子と手合せをしたがる火竜に困らされたり、水竜の魔術でスライムを人間にされたり、旅を続けていく。
セイレンは陽南子と喧嘩をしながらも、次第に彼女の持つ優しさと暖かさに惹かれていく。それを見守る友達の立場だったヒュウイも自分の気持ちに気づいてくる。
飛来した暴力的な火竜に陽南子は追い詰められていく。愛する人を守るためにヒュウイは前に立って戦うことを決意した。彼は今までセイレンや陽南子の手助けをするという消極的な立場を取っていた。その彼が初めて振るう積極的な熱い拳は火竜をも揺るがせるほどだった。火竜はその力を認め、戦いを止めた。
火竜の人としての姿はチンピラ風の青年だった。彼はおっかないが自分の気に入った者には優しく、思ったことはズケズケと言う性格だった。彼は自分の気持ちを抑えがちなヒュウイに思い切りを持って、欲しい女は力づくで物にしろとアドバイスした。ヒュウイにはそこまでは出来なかったが、陽南子と喧嘩をするセイレンに注意して、彼女に少しは優しくしろと言った。二人は驚いて喧嘩を止めた。
世界を知りたければ水竜のババアを訪ねろと火竜に紹介されて、陽南子達は豊かな自然に囲まれた水竜の屋敷へと向かった。
水竜は水の流れを通して遠くの景色を見ていた。彼女の人としての姿は優しげな少女で、見た目は若いが4竜の最年長であり、彼女に年のことを言うのは禁句である。彼女は賢く、様々な遺跡や歴史や魔術のことを知っている。
陽南子達は水竜にお茶会に誘われ、そこでお互いの情報を交換した。水竜はお婆さんだと聞いていたという陽南子に水竜はキレかけるが、彼女に悪気はないのだからと我慢した。
陽南子達は水竜に図書館に案内された。ここの本を全部読んだという水竜に陽南子は自分もこれを全部読めるほど長生きしたいと言い彼女をキレかけさせるが、我慢した。
本を調べる陽南子達に水竜はお茶菓子を出して、お婆ちゃんもこれが好きだったと言われてついに我慢や怒りを通りこして泣いてしまった。
陽南子は彼女を泣き止ませるために芸をして、長生きをするのは良いことだ、いつまでも自分達を見守っていて欲しいと願った。水竜は機嫌を直した。
手持ち無沙汰な様子のスライムに水竜は人間になる魔法を掛けた。
人間になったスライムは陽南子に告白をしたかったが、うまく言えなかった。陽南子の笑顔が見られるなら、スライムは今のままの関係を続けていくことを決意する。
ある程度の調べものをした陽南子達は再び旅に出る。
闇の教団は陰のある青年、闇の王子シャドウザを目覚めさせることに成功した。だが、シャドウザはすぐに姿を消してしまう。
世界の空虚さを嘆きあてもなく放浪し目につく物を滅ぼすシャドウザは、旅を続ける陽南子と出会う。陽南子の明るさと芸の面白さにシャドウザは始めて世界には面白さと笑いがあることを知った。
だが、闇の教団の手先となったアルベルの禁呪魔法が陽南子を襲い、その明るさと笑顔を奪ってしまう。そこに城を飛び出して一人で陽南子を追いかけてきたローランドが駆けつける。父である賢い王は彼に今の立場よりも自分の想いを優先するように勧めたのだ。愛されなくてもいい、ローランドは陽南子の側にいて彼女を守りたかったのだ。
陽南子を庇い敵対の意思を見せるローランドの姿に、シャドウザは世の無情を知り、アルベルとともに撤退する。シャドウザの力を使い、闇の教団の本部で魔王を復活させる最後の儀式が始まった。シャドウザは教団のボスにそそのかされ、尊敬する父が復活すれば世界を良く導いてくれると信じたのだ。
ローランド、ヒュウイ、セイレン、スライムはドラゴン達から、陽南子を助けるためには特別な儀式をする必要があり、それには大きな困難があることを伝えられた。陽南子を巡る恋のライバルではあるが、彼女に対する思いはみんな同じだ。彼らは協力して試練に挑む。
竜の儀式と人の頑張りによって陽南子は目覚めた。陽南子は闇と戦う決意をし、竜の剣を手に取った。それは世界に笑いを取り戻すため、みんなを笑顔にするために、その思いこそが陽南子の優しさの源だった。
闇の本拠地で最後の戦いが始まる。先頭を走る陽南子の前にアルベルが現れ、そこにローランドが駆けつけた。アルベルは陽南子こそが世界を乱す異分子であると伝え、陽南子は自分一人への憎しみのために他のみんなの想いまで見失わないで欲しいと訴えた。戦いの中で親友の優しさにアルベルは気づき、彼の腕の中で眠りについた。
儀式の間で陽南子は教団のボスが最初に会った賢者ファールスであることを知った。竜の剣を手にした陽南子をファールスは勇者と称え、魔法陣の中心へと飛ばす。
そこで陽南子はシャドウザと対峙する。シャドウザは世界とはどうしようもなく空虚であると訴える。陽南子は空虚だと思うなら全力で向かってくることを要求する。戦いの中でシャドウザは自分の中に溢れる思いに気づき、それを手にするためには一歩を進む勇気が必要であると諭された。無くすことを恐れて今手を伸ばさなければ何を得ることも満たされることも出来ないのだ。この胸を熱くする思いこそが生きている証。
陽南子とシャドウザは和解し、ファールスの野望は果たされた。大きな力は地の底まで届き、そこに眠る者を呼び起こした。
現れたのはシャドウザの父である魔王ではなく、破壊神ファルダークだった。ファールスは自らの本体と合体する。
ファルダークは自分の復活のために異世界から強い勇者となれる者を無作為に呼び寄せ、ここまでたどり着けた者が陽南子ただ一人であり、他の者はみんな死んだことを語った。その中には陽南子の親友もいた。
世界に適応出来なかった者、受け入れられなかった者、運と力が無かった者、みんな死んだ。
始めての怒りを見せる陽南子の剣はファルダークに通用しない。それどころか破壊を望む力は破壊神の力となっていく。そこに仲間達がかけつける。憎しみで戦う陽南子などみんなの愛した陽南子ではない。みんなの愛の告白を受けて初心の明るさを取り戻した陽南子は全開の力を解放してファルダークを吹っ飛ばした。
破壊神が最後に消えゆく中で陽南子は親友と世界を不幸にした恨みを彼に伝え、この世界で生きる方法を教えてくれたこととみんなに会わせてくれたことの礼を述べた。
ファールスは破壊以外のことがこの世にあることを知り、自分に礼を伝える陽南子に最後は笑顔を見せて消滅した。涙を拭って笑顔で振り返った陽南子は戦いが終わったことをみんなに伝えた。
破壊神に召喚されていた人間達の魂が天に上り、元の世界へ帰っていく。陽南子の親友の魂が彼女の前に元の世界への扉を開いた。しかし、陽南子はもう少しこの世界にいることを決意した。
陽南子は旅芸人として旅を再開した。それはこの世界の人々と出会い、笑顔を伝えるために。
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