第3話 機竜操縦士 天音
タイトル:機竜操縦士 天音
〇 世界観:
模型をカスタマイズしてゲーム用のフィールドで戦わせる競技、機戦メカウォーリアーズバトルが流行っている世界。主人公天音は田舎では勝つのが当たり前の有名なプレイヤーだった。
しかし、世界では流行ってても田舎ではそれほど流行っていない遊びだった。いつものように天音が地元の人間を相手に勝つことを楽しんでいると、ある日全国大会を目指して修業の旅をしている勇大がやってきた。彼との勝負で自分が井の中の蛙だと知った天音は東京で開かれる全国大会を目指して修業し、上京する。
〇 テーマ
・自分の実力に自信を持つ主人公が都会で開かれる全国大会に出て色々な人達と出会い、戦っていく。
戦いを通して天音が学び、貫き、なしとげていくこととは。
・このキャラが使っているこのメカの玩具が欲しいと思えるようなホビーアニメ作り。
〇 ジャンル:バトル
〇 キャラクター:
輝竜院 天音 (きりゅういん あまね)
地元では勝つのが当たり前の強者として有名な少女。飾らない性格で近所の大人達や年下の小学生達に人気がある。外の地域での知名度はそれほどではない。最強のイメージがあるドラゴンを好んで使う。
草薙 勇大 (くさなぎ ゆうだい)
優しく強い英雄的な青年。大会の優勝候補で都会では有名人。大会の前に全国を旅してバトルして回っていた。正々堂々とした良い戦いを好むが、勝つのが当たり前になりすぎて勝負に冷めても来ている。
リゥゼ・エイシュワール
ファンタジー世界の住人のようなコスプレをしているが、れっきとした日本人の少女。本名は神村十季(かみむら とき)。エンターテイナーを自称する彼女は観客に見せる魅せプレイを得意とする。大会の主催側の身内だが、規則では関係者は参加してはいけない決まりになっているので正体を隠して参加している。
黒木 侵夜 (くろき しんや)
やや影のある青年。テロリスト集団ブラックガーデンのリーダー。大会は遊びであり彼の目指す物はそれより先のリアルの戦いにある。武装に特化したロボを使って兵器の強さを見せつけてくる。
海原 美月 (うなばら みつき)
天音と同じように田舎から一人で出てきた少女。東京の会場を見物していた所を出会って仲良くなる。自分の名前から海の神秘に興味を持っている。ゲームのことにも詳しい。あまり好戦的ではないが彼女の使うキャンサーの爪は一撃必殺の威力を持っている。
鬼崎 羅刹 (おにざき らせつ)
予選で戦う恐そうな名前をした少女。ゲームのことでは好戦的で力比べには正面から受けて立つ思い切った性格をしている。力押しのパワープレイを好み、力と体格に優れたオーガロボを使う。
他、大会のベスト8で参加する脇役達。
〇 メカ:
レッドドラゴン:天音のロボ。パワーと突進力に優れている。ドラゴンらしく荒々しく暴れるような戦いを得意とする。口から放つフレアブラストは前面のあらゆる物を粉砕する。
ザ・ヒーロー:勇大のロボ。剣と盾と魔法のような武装で戦う人型タイプ。モンスターを相手にした物語の英雄のように実に絵になるような戦いをする。炎の剣は敵を裂き、土の盾は防ぎ、水のように優雅に流れ、風の嵐で敵を吹き飛ばし、降り注ぐ雷は敵を滅する。
セイントエンジェル:リゥゼのロボ。美しく空を舞いあらゆる綺麗で見栄えのする攻撃手段で敵を翻弄し近づけず攻撃する。接近した敵はレーザーブレードで焼き払う。豊富なギミックを内蔵している分、耐久力に問題がある。
シザーズキャンサー:美月のロボ。防御の固さと地形と同化する隠密性に優れている。ミサイルとバブルボムを装備しているが決定打となるほどの威力は無い。必殺の爪によるクリティカルヒットは脅威。
パンツァーオブスティール:侵夜のロボ。戦争を意識した近代兵器の装備がされている。レーダーで敵の位置を察知し、バルカンで牽制し、ロケットやミサイルを撃ち込んでくる。
ジェノサイドオーガ:鬼崎の使うパワーに優れた鬼型ロボ。接近戦に強く正面からの戦いを好む。振り払う棍棒は近くの物を容赦なくぶっ飛ばす。
他、大会で参加する脇メカ達。
〇 ストーリー:
天音は田舎の地元では有名なファイターだ。いつものように店で小学生の声援を受けながらファイトしていると、勇大が来て一番強い奴とのファイトを申し込んでくる。天音は挑戦するが負けてしまう。
天音は自分が井の中の蛙だと知った。勇大は戦いを振り返っていろいろとアドバイスをしてくれるが、天音はそれが面白くない。再戦を望むがそれはお互いに修業して東京で開かれる全国大会でと約束することになった。天音はそれから自分のメカをカスタマイズして修業し上京する。
東京の会場で天音は田舎とは違う高い熱気に魅せられる。機戦メカウォーリアーズバトルが人気なのは知っていたが、こんなに多くの人に支持されて応援されている競技だとは知らなかった。そのことにびびるよりもやる気が燃えてくる。
参加の受付を済ませ会場を珍しく見物していると、同じように田舎から一人で出てきている美月と出会い友達になった。同じ境遇で同じ話題で話が出来るというのは楽しいものだ。
会場の中央にある大きなバトルフィールドシステムを見てあれこれ話し合っていると、リゥゼに声を掛けられる。リゥゼは田舎者の子達のためにこのシステムが最新式でいかに優れているか解説してくれる。
天音は使わせてくれと頼むが大会で使う物だから駄目だと断られる。
大会が始まるまでまだ時間がある。天音は美月と外を散歩することにした。近くの店で会場の物よりは小さな普通のバトルマシンを見かけ勝負することにする。天音のレッドドラゴンは美月のシザーズキャンサーを追い込んでいくが、反撃の爪のクリティカルヒットをまともに食らって一撃で敗北してしまった。
美月は自分が運良く勝ってしまったことをあやまるが、天音は次に自分が勝つことを考えるだけだった。大会では今度は自分が勝つと約束した。美月はそれが面白くない。自分の方が勝つからと宣言した。
大会の時間となり予選が始まる。予選は大勢で戦う集団戦だ。それぞれのブロックで最後まで生き残った者が次に進める。ゲームを始めて天音はフィールドが広く景色がリアルでまるで現実と変わらないことに驚愕した。今までの物はどこか素朴なゲームっぽさがある物だったのだ。リゥゼが最新式だと自慢するだけのことはあると思った。だが、このフィールドで強さを自慢するのは自分だ。天音は周囲のザコの群れに殴り込んで一気に片づけていった。
同じようにザコを一掃した鬼崎と天音は名乗り合う。
パワーで挑みかかってくる鬼崎のオーガに天音はパワーで応じ、さらに炎をあびせ、翼で威嚇し、尻尾を使って打ち倒した。オーガはパワー勝負を望んでいたが、天音がここへ来たのはただ勝つためだった。
美月はリゥゼに負けていた。他にも強い相手がいることに天音のやる気は燃えた。
ベスト8が出揃った決勝の一回戦。相手は黒木侵夜だ。だが、ゲームを始める前にテロリスト達が来て会場を占拠してしまった。彼らの要求は会場の最新のゲームマシンを自分達に独占させることだ。リアルと変わらない戦場が作り出せるこのマシンなら兵器の実験が容易に出来ると彼らは思っていたのだ。
天音にとってはテロリストの要求などどうでも良かった。自分と戦い、試合を進めることを要求した。黒木はこの最新のゲームマシンで新兵器の実験が出来、みんなへの見せしめにもなると判断して戦いを受けた。
天音と黒木の戦いはまさしく神話のドラゴンと現代兵器の戦いのようであった。会場はテロリストのことも忘れて盛り上がってしまう。黒木は戦いの中で応援する人達の熱気を感じ、テロよりも大事な物があることを悟った。
パンツァーの攻撃を打ち返し鉄壁の装甲を破りドラゴンは勝利した。黒木はその戦いに満足し、テロリストは解散した。
リゥゼは天音が凄腕のエンターテイナーであると称賛した。二回戦は彼女との戦いだ。
巧みに空を舞い遠距離攻撃を仕掛けてくるエンジェルに天音は良いようにあしらわれてしまう。天音は戦いが見世物にされていることについにブチ切れた。敵のことも考えず火力を使い切る勢いに任せて放った。エンジェルは避けきれずに墜落した。それはリゥゼの目指す楽しむための戦いではなく天音の勝利への執念だった。
火力を使い切ったドラゴンは最後の力で地に落ちたエンジェルを殴りに行く。エンジェルはレーザーブレードで反撃するがそれはキャンサーの攻撃を学習していた天音にとっては見切れる攻撃だった。天音はブレードを粉砕する。ドラゴンは力尽きかけるが、何とか最後に頭突きを当てて勝利した。
正体がばれたリゥゼは父親に怒られた。大会では関係者が参加することは禁止されている。それは勝負や判定に不公平が出るのではないかと考慮されているからだ。
だが、良い戦いだったことはみんなが認めていた。みんなが注目する舞台で強い奴がいるから戦いたい気持ちは天音にも理解出来る物だった。
天音は考えていた。エンジェルに翻弄されずに落ち着いて戦えていればもっと上手く勝てたのではないかと。力に頼りすぎず状況をよく見て戦う。それは前に勇大に指摘されたことだった。天音は今のままで勝てるのか疑問を持ってしまう。
勇大との決勝戦が始まろうとした時に、地元のみんなが駆けつけてきてくれた。天音の迷いは吹っ切れた。みんなはいつもの自分を信じてくれている。ならばいつも通り戦って勝利するだけだ。
物語ではドラゴンはヒーローに討伐される物だが今度勝つのはドラゴンだと天音は信じている。田舎でのあの戦いから思えば遠くに来た物だと思う。あれから天音は多くの事を知り経験を積んで強くもなった。
これはお互いの強さを証明する戦いだ。どちらももうアドバイスをされるような立場ではない。それでもお互いの戦いに言葉を入れたがるのはそれぞれの自信の故だろうか。
天音の戦いの熱意は勇大にも伝わった。彼は優しい紳士だったが、それ以上に勝利を求める戦士だった。戦いは白熱する。
激闘を制したのは天音だった。戦いの末にドラゴンの上げる勝利の咆哮。英雄は敗れ、モンスターが勝利した。物語としてはあまり無い結末だが、少女の喜びの笑顔を見ては会場のみんなも惜しみない拍手を送るしか無かった。勇大は勝者の美しさを知り、そこにみんながあこがれる理由を知った。
地域ローカルの王者だった天音は全国の王者となった。
一番になった勝利を喜んだのも束の間、天音は世界大会が開かれることを知った。もちろん出場だ。天音は再び戦いに出る。
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