症状2『薬物乱用』

ダメだ。頭が働かない。


机の引き出しを引いて、そのブツを取り出す。


森に出かけた時、古びた小屋の中に、

なぜか、隠すように置いてあった。


試しに使ったら、気持ちが良くなった。


ハカセに尋ねるとこの器具の使い方を教えてくれた。“けっかん”という場所に刺すらしい。


長袖で見えないが、いくつも痕がある。

どうでもいいことだ。


「うっ...」


刺してる時。とても気分が悪い。

しかし、数分経てば。

それを忘れられる。

やる気が湧いてくる。


たまに、変な物が見える。


黒く蠢く物体、こちらを覗くセルリアン。へんなもの、気持ち悪い柄の羽を持つ虫、つぶつぶ。


最初は怖かったが、もう慣れてしまった。怖い話のネタにしている。


だけど、突拍子もなく聞こえる声は、

嫌だ。耳を塞いでも、聞こえる。


『嘘つき』


そう言われるのが、嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ。


私の漫画は滅茶苦茶になる。



キリンが心配そうな顔をして、私を揺さぶる。


「先生!声を上げて走り回って、いったいどうしたんですか!?」


「うるさい...、君に関係ない」


「心配なんです!...もしかして、これのせいですか」


ブツを持ち出す。


「やめろぉぉぉぉっ!!」


急に呼吸を荒くし、彼女にしがみつく。


「ちょっ...!」


「やめてくれ...!頼むっ...」


卓上にそれを置いた。


「一体何なんですか?これは一体...」


私は可笑しかった。なんで可笑しいのか。


「あっははははははははっ!!!!」


急に笑いだした私の顔を見て、引いたような顔をした。


「君もやってみるかい…?

私の気持ちがわかるはずだ。

気持ちいいんだよ。とっても...」


「え...」


片腕を掴む。


「動くと危ないよ」


そう注意を促した。


「先生何するんですか」


「一緒に気持ち良くなろうよォ...

あはははははははははっ!!!!!!」


「いっ...!」





これで彼女もまた、汚染された。







(あの2人...、騒がしいですね...)


ドアの隙間から垣間見た光景に戦慄した。






「あああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」


「ふーっ!!ひいいいいっ!!!!」




異臭と物が散乱する部屋で暴れ回る二人

その姿にあの頃の面影はない。

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