image 5
「で、そのあとどうなったの?」
「彼女は完全に肉体から解放されるのよ」
「それは、具体的にはどのような状態?」
「ナードもデボチカも姉さんもルドヴィコも、ぜんぶ混ざった状態」
「つまり?」
「さあ? 興味ないわ」
「もう飽きちゃったの?」
「どうかしらね」
「最近よく眠れる?」
「このクマを見て、なお聞いてるの?」
「会話はしてる?」
「あなたとしてるじゃない」
「好きなものは?」
「たくさんあるわ」
「嫌いなものは?」
「それもたくさん」
「好きな季節は?」
「そんな会話はもうたくさんよ」
「さみしくない?」
「あなたがいるもの」
「その指輪、キュートだね。なんて宝石?」
「これは宝石よりもっと固い意志よ。彼の眼球。舐めると涙の味がするのよ」
「きっと素敵な味なんでしょうね」
「ところで、もう片方の目は?」
「月になったわ」
「その「彼」は?」
「ノーコメント」
「それで、話は戻るけれど、わたしの惑星まではあとどれぐらい?」
「あなたの寿命があと七十四回尽きた頃ぐらいかな」
「相も変わらず世界は広大ね」
「それは、どのような意味合いで?」
「あらゆる言語を尽くしても説明できないわ。それでいて、明日の朝には忘れているようなことよ」
「かなしい?」
「そうじゃないと言えば、嘘になるわね」
「人生はどうだった?」
「わるくなかった」
「今日も一日おつかれさま」
「ありがとう。たのしかったわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます