45-25
ああ臭い。鼻が曲がりそうだ。ここには痴呆の不能者しかいないではないか。それならまだしも奴らの腸を引きづり出してみたならば、ことごとくどす黒く腐り果てているに違いない。もうこうなったならば地中深くに埋めて、その上に十字架で杭するしかあるまい。奴らがもたれ掛かっているその十字架でもって。
心があるものならば、闘うはずだ。知能があるものならば、国を捨てるはずだ。
「まっとうな」聖職者はそのどちらでもありえない。無抵抗の条理は神の子たるゆえの宿命か。ならば、人柱の私がお前らの胸腹に刃を突き立ててやろう。その刹那瞳に映る色を私は知っている。刀を持つだけの胆力も逃げるだけの度胸も持たぬ者は結局のところ、精神の呪いでもって復讐するしかないのだろう? お前らは神などとうに捨てたではないか。ならば、早く私を殺して見せろ。ユリウス帝に仇なす真の敵を屠ることが出来たならば、私はこの身を何にでも差し出して良いのだ。
『Aの日記』 灘田勘太 @nanndakannda
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。『Aの日記』 の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
日記最新/ごもじもじ/呉文子
★39 エッセイ・ノンフィクション 連載中 474話
津多ノート最新/津多 時ロウ
★38 エッセイ・ノンフィクション 連載中 815話
ゆるふわ、たまにギザギザ〜な私の世界線最新/月野璃子
★37 エッセイ・ノンフィクション 連載中 124話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます