エピローグ(その3)

「長い三日間だったな」

 ヴァレンティア城に帰った龍野は、鍛錬の後始末をしながら、あの戦いを思い出していた。

「お疲れ、龍野君」

「おっつかっれさま~!」

 と、そこに二人の美少女がやって来た。

 一人はヴァイス、もう一人はであった。

「おう、ヴァイス……って、えぇっ!? 待て待て待て待て、どうしてディノがここに!?」

「いやー、ヴァレンティアが気になったから寄ってみた」

「寄ってみた、ってお前……。どうやって、この世界に来たんだよ!?」

「龍野、オレはそもそもっけ?」

 ディノからのカウンターを受けた龍野は、頭を抱える。

 そう。彼女はアルマ帝国の守護神であったが、今は流れ者だ。

 そして女神とはいえ“神”である以上、時空間の転移など朝飯前であった。

「そうなのよ、龍野君。私が日課の散歩をしていたらディノさんがいらっしゃったから、招き入れたって訳」

「うへぇ……」

 ディノの熱い愛に、龍野は天を仰いだ。

 無論龍野は、美少女からの愛を拒みはしない。しないが、とは、誰が思っただろうか。

「そういう訳だから、よろしくね龍野♪」

「あぁ……」

 ディノに抱きつかれ、ヴァイスも微笑みながら見守るだけといった現状を認識した龍野は、全てを諦めた。

 人間、重過ぎる愛には必ずしも耐えられない場合がある。



「ところで……フーダは無事に、社長になったんだろうか?」



 ふとした龍野の問いかけに、ヴァイスが「どうかしらね」と返した。

 龍野達の戦いは既に終わっていたのだ、関知していない。それにこれは、元よりフーダが、自力で超えるべき戦いでもある。

「けれど……多分、なってるわよ。少々、派手に動いたのですから。ね、龍野君?」

「そうだな」

 龍野は抱きついたディノを引きずりながら、ヴァイスのそばへ行った。

「さて、どうしようか」

「そうね」

「楽しいことしようよー、龍野❤」

 三人は言葉こそバラバラだったが、目的は一致していた。



 こうして社長戦争は、龍野達の記憶と経験へと変貌したのであった。

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