vs 宇宙戦艦バーダクライド(その5)

『こ……こりゃ、一体何だよ!?』

 ディノの、アルマガルム・アークエグゼの全力に、龍野は愕然としていた。

『これが……君の、みんなの、そしての想いだよ。龍野』

 そう。

 自らを、屋敷を、そして皆を守る光こそ、“想い”の正体であった。


 何事も無く存在しているアルマガルム・アークエグゼを、屋敷を見たであろうバーダクライト級が、焦ったように狙いを定める。

『まだ来る気かよ、この野郎!』

『護るよ、龍野!』

『ああ!』

 そして剣と盾を構え、バーダクライド級の主砲を止めよう。

 そうした刹那――異変は、起きた。



 バーダクライド級が突如、爆発したのであった。



『ヴァイス……!』

 龍野は脳裏に浮かんだ相棒ヴァイスの名を、思わず叫んだ。


     *


『これで、後は撤退するのみですわね? ミサキ殿下』

『ええ。ネーゼ様にお願いして、貴女を一軒家に戻していただきます。ヴァイスシルト殿下』

『かしこまりました、ミサキ殿下。ありがとう、ございました』

『いえいえ。機があれば、いずれ……うふふ』

 バーダクライド級の心臓部を壊滅させた影の立役者ヴァイスは、程なくしてその身を光に包み、消えたのであった。


     *


『よくもこれまで、好き勝手してくれたな』

『メチャクチャにしてくれたからには、覚悟してもらうよ』

 龍野は、そしてディノは、眼前のバーダクライド級に対し、怒りを燃やしていた。

『一発で、カタァ付けてやる……!』

『いくよ……!』

『『うぅあぁああああああああああああッ!』』

 盾を尻尾で絡め、空いた両手で剣を握りしめる。

 主砲を、いや心臓部を潰されたバーダクライド級は為すすべも無く――



 アルマガルム・アークエグゼの大剣を受け、両断、そして爆散したのであった。



『はぁ、はぁ……!』

『やったよ、龍野!』

 母艦を潰された残存艦や残存機が、慌ただしく動く。

 あるものは艦へと帰投し、あるものは逃げ、あるものは悪足搔きの末に潰され。

 女王を失った蜂や蟻の、末路同然であった。


 程なくして、戦場に乱入した闖入者達は、全てが逃げるか潰されるかであった。


     *


『戻ったぜ!』

『オレもいるよ、みんな!』

 屋敷に到着して早々にアルマガルム・アークエグゼの姿が消え、後にはインターフェースである少女、ディノが残った。

 二人が屋敷の前に戻ると、玄関の扉が開いた。

『オレはお邪魔だね、ふふ』

 ディノが他の面々との再会をする為、そして龍野に気を遣う為にはける。と、次の瞬間。


『龍野君っ!』


 屋敷から、ヴァイスが駆け出して来たのであった。

『ヴァイス!』

 龍野もまた、ヴァイスの元へと駆け出していた。

 そして、お互いをきつく抱きしめると……顔のそばで、こう囁いた。

『お帰り、龍野君』

『ああ。ただいま、ヴァイス』


 二人は再会を確かめると、周囲もはばからず濃厚なキスをした。



作者からの追伸


 はい、これにて龍野達の戦いは完結いたしました!

 ただ、エピローグとして、もう少しだけ続きます。戦場には、まだ留まっておりますよ。

 もっとも、こんな状況で決闘を仕掛ける存在など、ありはしませんが。


 後、今更ながら一つだけお詫びを。

 暗黒星雲様。

 ここで出したアルマガルムですが、アルマガルムエグゼではなく、アルマガルム・アークエグゼにさせていただきました。

 くどいようですが、一言頂ければ、修正致します。

 勝手なアレンジ、お許しくださいませ。


 では、もう少しだけお付き合い下さいませ。

 今回はここまで!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る