vs 『蹂躙銀』G・S(ギガンティック・シルバー)(戦闘者:シュシュ&ヴァイスリッター・ツヴァイ)

「さて、ミツルギ三兄妹も助けた事ですし……」

 すべき事をしたシュシュは、ヴァイスリッター・ツヴァイに搭乗する。

『お姉様、付近の大型“代理”の反応はございませんか?』

『あるわ。数は1、方位45、そこから2km先よ』

 ヴァイスからの指示を受けたシュシュは、素早く現地に急行させる。


『お姉様、敵というのはあの……』

 シュシュが怯えながら見たのは、銀の巨大な髑髏であった。

『ええ、あの髑髏ね。幸い情報は十分に入手しているわ。シュシュ、まず貴女に厳命します』

『はい』

 シュシュが意識を集中させると、ヴァイスからの指示が下った。

『何があっても、自らを「リリアンヌ」と名乗りなさい』

『分かりました。わたくしはリリアンヌですわ、お姉様』

『良いわね。では、敵“代理”の排除を』

 事前準備を終えたシュシュは、銀の髑髏に名乗りを上げた。

『そこの髑髏よ、こちらを見なさい! わたくしの名前はリリアンヌ。この“ヴァイスリッター・ツヴァイ”にて、貴方との決闘を申し込みますわ!』

 名乗りを終え、静寂が漂う。

 と、重く低い声が響いた。

『私は……私の、銀を……いかがでしょうか?』

『シュシュ、耳を傾けてはダメよ』

『はい、お姉様』

 シュシュが送ったイメージに従い、氷剣を構えるヴァイスリッター・ツヴァイ。

 と、アナウンスが響いた。

「ただいま、J陣営の“シュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・ツヴァイ”と、❤陣営の“G・Sギガンティック・シルバー”との決闘が成立いたしました。繰り返します。ただいま、J陣営の“シュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・ツヴァイ”と、❤陣営の“G・Sギガンティック・シルバー”との決闘が成立いたしました。これよりカウントダウンを開始いたします。5, 4, 3, 2, 1, 0! 決闘開始!」

『消え去りなさいッ!』

 開始と同時に魔力の光条レーザーを連射するヴァイスリッター・ツヴァイ。

『何の……マッサージ、ですかな?』

 しかし、ほとんど効いていない。装甲である銀が、僅かに零れ落ちるだけだ。

『!?』

 と、シュシュが驚愕して目を見開いた。

 “ぼやけた何か”が、落ちた銀に殺到していたのだ。

『ッ、浅ましい……!』

 とはいえ、このままでは埒が明かない。

『シュシュ、あの銀には耐魔力があります。実体武器に切り替えなさい』

『勿論です、お姉様!』

 素早く剣を構え、一気に距離を詰める。

 と、G・Sギガンティック・シルバーが口を開いた。

『銀……いかがですか?』

『いらないわよっ!』

 剣に魔力を纏わせず、直接両断する。

 あばら骨が何本か折れたが、戦闘不能には至っていなかった。

『離脱してもう一撃!』

『ええ!』

 同様の攻撃をもう一度加えるが、やはり動きは止まらない。

 またもG・Sギガンティック・シルバーが口を開く。

『絶対……もうかります』

『生憎ですけれど、もう貴金属や宝石は十分にありますのよッ!』

 更に攻撃を加え、あばら骨がボロボロになる。

 と、機体に違和感を感じた。

『何……ですの?』

『シュシュ、離脱しなさい!』

 ヴァイスの指示に従い、素早くG・Sギガンティック・シルバーから距離を取るシュシュ。


 ヴァイスリッター・ツヴァイの氷の装甲が、腐食していた。


『装甲にガタが来ているわね……。早期決着を、シュシュ』

『どうしましょうか?』

『剣に魔力を纏わせなさい。効き目は薄いでしょうけれど、抜き身だけよりはましなはずよ』

『わかりました』

『至近距離での魔力照射も忘れずに!』

『はい、お姉様!』

 ヴァイスの指示で覚悟を決めたシュシュは、再び急速接近する。

『貴方、何人を不幸にさせましたの!?』

『さあ……』

 とぼけるG・Sギガンティック・シルバーだが、ヴァイスリッター・ツヴァイは容赦無く斬撃を叩き込む。

『そろそろいい加減に、してほしい……ですねぇ!』

 G・Sギガンティック・シルバーも拳の殴打で迎撃するが、ヴァイスリッター・ツヴァイの障壁に阻まれる。

『む……これは?』

『無駄ですわよ、銀の髑髏』

 シュシュが冷ややかに告げる。

『何やら小細工をしているようですけれどね、わたくしのヴァイスリッター・ツヴァイの前では無意味ですのよ』

 素早くバックステップし、氷剣を構える。

 ヴァイスリッター・ツヴァイの急角度のバイザーが、G・Sギガンティック・シルバーを睨み付けた。

『く……!』

『観念なさい……!』

 真横から両断せんと迫る氷剣。

 それを前に、G・Sギガンティック・シルバーは決断した。

『かくなる上は……!』

 と、反応したヴァイスが叫ぶ。

『シュシュ、右に跳んでッ――!』

 G・Sギガンティック・シルバーの口が開かれ、魔力が収束する。


 そして、レーザーのような液状銀シルバー・キャノンが放たれた。


     *


『えっ……?』

『あがっ――』

 ヴァイスは、そしてG・Sギガンティック・シルバーは、揃って驚愕していた。

 放たれたはずの液状銀シルバー・キャノンは、ヴァイスリッター・ツヴァイの頭部を少し掠めただけで、ほとんど外れていたからだ。

『ふう。肝を冷やしましたわ』

 事もなげに言い放つシュシュ。

 実は、ヴァイスリッター・ツヴァイの兜の角で、開いた口の向きを強引に変えたのであった。結果、あらぬ方向に液状銀シルバー・キャノンが飛んだのであった。

『お姉様、“ベル”はどちらに?』

『左胸、上から3番目の肋骨よ』

『ありがとうございます』

 一度離れたヴァイスリッター・ツヴァイは、今度こそ“ベル”を両断した。

「決闘終了。勝者、“シュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・ツヴァイ”。繰り返します。勝者、“シュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティア並びにヴァイスリッター・ツヴァイ”。これにより、J陣営に1のアグニカポイントが付与されました」

 シュシュの勝利を告げるアナウンスが響いた後、G・Sギガンティック・シルバーが地面に倒れる。ヴァイスリッター・ツヴァイの氷剣が、背骨をも両断していたのだ。

 無数の亡霊がG・Sギガンティック・シルバーに殺到する。

 しかし、シュシュは既に背を向けていた。

『大丈夫かしら、シュシュ?』

 と、ヴァイスからの通信が飛んでくる。

『ええ、わたくしは。しかし、ヴァイスリッター・ツヴァイが……』

『一度持ち帰りなさい。念の為、ネーゼ殿下に見てもらいなさいな』

『はい』

 こうして、シュシュの戦闘は終わったのであった。



作者からの追伸


 有原です。

 早速ですが、ネタばらしします。


 シュシュはこの戦いを最後に、オペレーターに役割転換します。理由? ヴァイスリッター・ツヴァイが中破したからです。

 正確には、「装甲は腐食し、フレームも軋み始めたから」ですね。


 ああ、そうそう。

 早速ですが、18:00に叛逆(イフ世界創造)の狼煙を上げさせていただきました(山口県の方角に向き直りながら)。


 さて、次は誰を出撃させましょうかね?

 ちなみに、龍野は出撃不可です。ですから。


 最後に、ひっそりと更新していたエピソードをどうぞ。

「延長戦」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886778164/episodes/1177354054887281725


 では、今回はここまで!

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