(過激描写注意)主と騎士と絶対守護兵器(前半)

「さて、帰ったぜヴァイス」

 ディノを連れて一軒家に帰った龍野は、リビングでヴァイスと合流した。

「もう知ってるだろうけど、紹介するぜ。ディノだ」

「初めまして、ヴァイスさん」

「初めまして、ディノさん。わたくしはヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア。“ヴァイス”で構いませんわ」

「話しやすくて助かるよ」

「いえいえ。そうだ、紅茶をお持ちしますわね」

 ヴァイスはその場を後にする。

 残された龍野とディノだが、ディノが龍野に迫り始めた。胸元を強調している。

「ねぇ、龍野」

「な、何だ?」

「ヴァイスさんとは、どんな関係なの?」

「あー、『恋人』ってやつだ」

「恋人!?」

 たじろぐディノ。

「ん、どうした?」

「えーっと、ね……」

 ディノは視線を右往左往させながら、弁明の言葉を考えていた。


     *


「~♪」

 一方のヴァイスは、鼻歌混じりに紅茶を準備していた。

「さて……二人の分は、“特別製”よ。たっぷり、味わってね」

 粉末状の何かを紅茶に混ぜ、かき混ぜる。

「よしっ。それじゃあ、持って行きましょうか……」

 ティーカップを三つトレーに乗せ、ゆっくりと運んでいった。


     *


「ほんっとーに申し訳ないっ!」

「ええ!?」

 その頃、ディノは龍野に平謝りな状態であった。

「まさか彼女持ちとは知らず……! オレが悪かった……!」

「いや待て、何をテンパってんだ!?」

 突然の態度の変化に、ただただ戸惑う龍野。

「もう今後一切、龍野を誘惑なんて――」


「あら、何をしているのかしら?」


 そこに、ヴァイスがやって来た。

「ヴァイスさん! 申し訳――」

 脊髄反射で謝ろうとするディノ。

「龍野君を寝取るのでしたら、好きになさいな。貴女、龍野君に惚れているのでしょ?」

「え?」

「分かっているのよ、貴女の龍野君に対する態度は。ほら、紅茶でも飲んで落ち着きなさい。龍野君も」

「お……おう」

 多少強引に、カップを差し出すヴァイス。

「ちゃんと私の分もあるから、遠慮なく。ディノさん」

「は……はい」

 ディノは、恐る恐る紅茶に口を付ける。

「おいしいかしら?」

「ええ……」

「まだ緊張しているみたいね。それじゃあ、一旦カップを置いて」

「?」

 戸惑いつつも、カップを置くディノ。


 すると、ヴァイスが後ろから、ディノの胸を鷲掴みにした。


「ひゃぁああああっ!?」

「ちょ、ヴァイス!?」

 ディノと龍野が揃って驚愕するが、ヴァイスは構わずに弱い所をつまみ始める。

「ほら、肩が凝っているわよ? 何も考えずに、楽になりなさい?」

「ひぅっ……! そ、そんなぁ……!」

「いつまで抵抗するのかしら? いいわよ、欲しいというならもっとあげるわ……!」

 普段のヴァイスからは考えられない程、豹変している。

「ヴァ、ヴァイス、やめてやれ……」

「龍野君、後にして」

 龍野の制止すら、一喝でかき消した。

「ひゃっ、あぅん、そこぉ、らめぇ……!」

「さて、とろけた頭でいいから聞きなさいな、ディノさん」

「ふぇ……?」

 ヴァイスがディノの耳元に近づき、囁く。

「別に私はね、龍野君を独占したい訳ではないわ。むしろ、もっといっぱい、女の子を知ってほしいとさえ思っているの。もっとも、私が認める子だけですけれど……貴女はその一人に入っているわ」

「ひぁっ……! らめ、らめぇ……!」

 声は甘ったるく、それでいて止まらない手に、ディノは陥落寸前だった。

「だから……安心して、同じ部屋に二人きりでいなさい……なっ!」

 最後に胸へデコピンする。

「ひゃぁぁっ……! はぁっ、はぁっ、はぁ……」

 ようやく解放されたディノは、息も絶え絶えになっていた。

「もっとも、そんな様子ではどれだけつかわからないですけれど」

 意味深長な言葉を残し、ヴァイスはハンカチで手を拭く。そして優雅に、ティーカップに口を付けた。

「ヴァイス……お前、何をした?」

「あら。緊張をほぐしただけよ」

「嘘つけ! 緊張をほぐしたって、お、お、おま……」

「あら、直接口にするのは恥ずかしいのね龍野君。なら言ってあげましょうか?」

「やめろ! ああ、クソッ!」

 龍野は腹立ちまぎれに、紅茶を一気に飲み干す。

「まあその恨みは……。うふふ、何でもないわ(“ディノさんにぶつけなさいな”なんて、口が裂けても言えないわよね)」

「ヴァイス、俺はディノを休ませに行くぞ!」

「行ってらっしゃい(もうたっぷり口にしたから、欲しくて欲しくて仕方がなくなるわよ、龍野君? うふふ)」

 腰砕け寸前のディノを引きずり、龍野は自室へ向かう。

 それを見送ったヴァイスは、これまでの情報を整理した。


「“最終兵器は『胎』にあり”……ねえ。簡単な文面故に、真意を図るのは難しいわ。……って、あら?」


 と、大きな振動を感じた。

 その数十秒後――

「ただいま帰りました、お姉様!」

 シュシュが、男女三人を連れて一軒家へと来た。

「お帰りなさい、シュシュ。して、その三人は?」

「大至急、ネーゼ殿下に会わせたい皆様でございます。お姉様」

「わかったわ。連絡を入れるから、待ってて(この拠点、人が次々と集まるわね……)」

 ヴァイスは思案しつつも、シュシュの要望に応えるのであった。



作者からの追伸


 有原です。

 長くなりそうでしたので、前後半に分割いたしました。


 ところで、皆様。

 今回のヴァイスですが、変貌したのではありません。です。

「えっ、龍野とシている時には受け身なのに?」と仰るであろう気持ちは理解しておりますが、素です。

 まあ、「変態はSとMの両方を併せ持つ」というものですね。お陰でディノさんが餌食となりました。暗黒星雲様、申し訳ございません。次回も彼女を餌食にします。


 さて、三人組の契約も解除しようという所で切らせていただきました!

 では、今回はここまで!


追伸の追伸:

 ブレイバとブランシュに、“トンデモ設定”を追加いたしました。

 どうしてハーゲン(ネーゼ様)と似ているか、というものですね。


 まあ、「それが出来る環境だった」とだけ伝えておきます。

 では今度こそ、今回はここまで!

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