(過激描写注意)熱帯夜にて(ハーゲン視点)

「ともあれ、無事で良かったです。仲間が無事で」

「ええ。近しい者の死を見ないで、良かったですわ。ところでハーゲン」

「はい」

 唐突なネーゼの呼びかけに、すぐさま反応するハーゲン。


「リナリアへの霊力充填を済ませたら、わたくしを襲いなさい。来なければわたくしから迫るわね」


「へ!?」

「二度は言わないわ。部屋で待っているわね」

 それだけ言って、ネーゼは自室へと去って行った。

「どういう、ことだ……?」

 残されたハーゲンは、しばし茫然としていた。


     *


「ここだな」

 覚悟を決めたハーゲンは、二回ノックをする。

「ハーゲンね。入りなさい」

 ネーゼの声だ。

「はい」

 ハーゲンは素直に従い、部屋へと入った。


 そこにはやはり、ドレスをはだけたネーゼがいた。


「ちょうどいいタイミングだったわね。お陰で、わたくしの準備は万端よ」

 頬は紅潮し、最早我慢の限界といった様子であった。

「……ッ」

 生唾を飲み込むハーゲン。やはり恋人の裸身は、本能を刺激する。

「あら、ハーゲンもじゃないの」

「ネーゼ様、お戯れも程々に……」

「そうは行かないのよね」

 諫める言葉に対し、ネーゼは真剣に否定する。

「いつだって、貴方の有りっ丈の熱を感じていたいの。いいわよね?(本当は、別の目的があるのですけれどね)」

「はあ……」

 納得のいかない様子で返事をするハーゲン。

 だが、ネーゼは既にハーゲンのズボンのベルトを取り、チャックを下ろしていた。

「っ、また……」

「今日はどうやって、補給しようかしら? いつみても、この子は料理のしがいがあるわね、うふふ……」

(ああ、今日も俺はまた……)

 このお方には叶わない、ハーゲンは改めてそう思い知らされた。


     *


「っ、そろそろ、限界なのね……?」

「……」

 30分後。

 既に二人は、二人きりの世界に入っていた。

「いいわよ、きて。貴方を感じさせてっ、ハーゲン……」

「………………!」

「あんっ!」

 意思に反し、ネーゼに刻み付けようと動く体。

 ハーゲンは余韻を味わいながら、ネーゼにもたれかかった。

「はぁ、はぁ……ネーゼ、様……」

「よく頑張ったわね、ハーゲン。けれど、貴方にはまだ動いてもらうわよ。わたくしの望みとは関係なく、ね」

「え? それはどういう……」

 ハーゲンが質問を言い終える前に、部屋の扉が開け放たれる。


「ハーゲン! ここにいたのね……って、ネーゼ様!?」

「失礼いたしまし――」


 勢いよく入ってきたものの、ネーゼの姿を見るなり慌てて退室しようとするリオネとビアンカ。


「出てはなりません!」


「!?」

 だが、ネーゼは二人を引き留めた。

「貴女方も、ハーゲンを求めてこちらへ来たのでしょう?」

「し、しかしネーゼ様……ハーゲンは、ネーゼ様の恋人では!?」

 意外な展開に、ビアンカが驚愕した。

 けれどもネーゼは、ゆっくりと口を開いた。

「一つ、鍛えてあげなさい。わたくしと比べると、惰弱だじゃくなのですから」

「返す言葉も、ございません……」

 ネーゼの説明を、ハーゲンが補強する。自虐ではあるが、返す言葉も無かった。

「そういう事でしたら、かしこまりました。ほら、ハーゲン。へばらないでちょうだい」

 ビアンカはハーゲンの上を取ると、少しずつ密着させていった。

「んんっ……」

「くっ……」

 ハーゲンはわずかに顔を歪めるが、それでも、内心では「悪くない」とさえ思っていた。

「あぁ……。やっと、ハーゲンと……うぅ……」

 ビアンカは望みが叶ったのが余程嬉しかったのか、涙をぽろぽろと流し始めた。

「っ、すまんビアンカ……。もう、我慢が……」

「いいよ、ハーゲン……。貴方のなら……」

 普段とは違い、ハーゲンが受け止める側となっていた。


     *


「………………!」

「あんっ!」

 ハーゲンがビアンカを、しっかりと抱きしめる。

「ふわぁ、凄い……(熱が、たっぷりと……)」

 ビアンカが求めるものを、仮初とはいえ捧げたのだ。ビアンカはあらゆる正の感情が入り混じって、涙を流していた。

「終わった?」

 見ながら準備を整えていたリオネが、割って入る。

「まだだ。アフターケアは大事だろ」

 ハーゲンがビアンカを抱きしめ続ける。

 それを見て頬を膨らませたリオネが、強引に割って入った。

「じーかーんーぎーれー!」

「おわっ!」

「きゃっ! もう……」

 強引にハーゲンとの繋がりを解かれたビアンカが、恨めしそうにリオネを見つめる。

「次は私の番ね、ハーゲン!」

 だがリオネは、意にも介さずハーゲンに迫る。

「そうだな。それにどういうわけか、全っ然治まらねえ」

「いいわ。どこまで出来るかはわからないけれど、受け止めてあげる。もっとも、うっかり血を吸ってしまうかもしれないけれど」

「200mlまでなら許してやる」

「あら、あちらの騎士様龍野は400mlまで許してくれたわよ?」

「なら、400mlまで許してやるから、吸いたくなったら吸え」

「甘えさせてもらうわね。けれど、私は血液よりも欲しいものがあるの」

「あいよ」

 ハーゲンはスゥと目を細めると、リオネを抱きしめる。

「いくぜ」

「きて」

 そしてリオネをも、ハーゲンは求め始めた。


     *


「嘘、つき……! 全然、余裕、じゃない……!」

「………………」

 もはや片手指で数えられる回数を超えたものの、ハーゲンは一向に勢いが衰えなかった。

「ふあっ、待っ……!(これ、血液どころじゃ、ないっ……!)」

「………………」

 リオネの懇願も、ハーゲンの耳には入らない。

「あッ……!」

 強引に歯を食いしばって耐えるリオネだが、まだ終わりではなかった。

「………………!」

「~~~~~~ッ!(相変わらず、熱いわよ……!)」

 今のハーゲンは、文字通り“けだもの”と化していたのである。

「終わりね」

「ええ。アフターケアの後で、ですが」

 と、ネーゼが胸元の果実を押し当ててきた。

「ッ……」

「あんッ……(えっ、今ぴくんて……。そうだ、今もまだ、包み込んで……)」

 相変わらず、柔らかな感覚はハーゲンにとって効果てきめんだ。

「悪いな、リオネ。今日はこれで終わりだ」

「ん……」

 リオネは特に引き留めず、ハーゲンと離れた。


「それじゃあハーゲン……」

「はい。甲乙はつけられませんが、やはり最後はネーゼ様にお願いします」

「それでこそ、わたくしの騎士……そして、恋人ですわ。ハーゲン」

 ハーゲンは再び、ネーゼを求め始めた。

「んっ……。もう、すっかり慣れてしまうなんて……。帝国は安泰ではなくて?」

「それ、は……。ネーゼ様を始めとした皇女の皆様方が、私の子供を身ごもってくだされば、の話ですが……」

「なら、その栄誉……私に、授けなさい」

「はい、ネーゼ様……」

 既にへとへとでありつつあったが、ハーゲンは本能で、ひたすらに目の前の異性ネーゼを求めていた。


     *


「………………!」

「んんっ……!」

 再び、ハーゲンの肉体は意思を離れた。

「もう……。少し容赦したら、こんなことになるなんて……(全身、染められてしまったわ……。うふ、まだまだ欲しいわ、ハーゲン……。霊力を捧げるから、貴方という存在、わたくしにくださいな……)」

「……」

「あら、そろそろお疲れかしらね。では、わたくしに包まれて眠りなさい」

 ネーゼは豊かな果実でハーゲンの頭を包むと、そのまま二人揃って眠りに就いた。



作者からの追伸


 有原です。


 本編の結末は承知しておりますが……宣言通り、許された権利を行使いたしましょう。


「運命捻じ曲げてやるよ! それはそれはもう、頑固者でも認めざるを得ない事実を以って、なあ!」


 という意気込みでございます。


 なので正史は無視します。粉砕します。無きものにします。

 ただ、自主企画だから……という制約を守った上で、ですがね。


 では――


(謎の電波ジャック)


ブレイバ「派手だねぇ、父さんと姫様のお母さま」


ブランシュ「ええ、派手ですわね……。普段のわたくし達にも、引けを取らないのではありませんでしょうか……?」


ブレイバ「そうだね。けれどあの様子を見る限り、若い頃の話だろうからね」


ブランシュ「であれば……うふふ、あれだけの熱量を上げられるのですね。そして、わたくし達も」


ブレイバ「そうだね。それじゃ――」


リナリア・シュヴァルツリッター

「言っておくけれど、ここは空中ですよ我が主(ブレイバ)」


ブレイバ「うん。だからどこか手近な箇所に着地させて、しようか」


ブランシュ「そうですわね♪」


(電波ジャック終了)


 今回はここまで!

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