拠点防衛戦

『今着いたぞヴァイスッ!(うわ、ゲリラ豪雨かよ……!)』

 一軒家に到着した龍野は、降りしきる黒い雨を見て驚愕する。

(おお、ダイバリオンや帝国軍部隊もいるな……。豪華すぎるメンツだぜ)

 そう。

 今到着した龍野を含め、防衛にあたっていたのは――


「リナリア」、「ゼクローザス」、「インスパイア」、「ダイバリオン」、

「シュヴァルツリッター・ツヴァイ」、「ヴァイスリッター・アイン」、

「ヴァイスリッター・ツヴァイ」、「漆黒」


 の8機であった。

『龍野君、一軒家の正面をお願いね! 今回は騎士の腕リッター・アーメと“ストライカー改”、“ブレイズ”(どちらも射撃兵装)も使用許可するわ! 私の“ヴァイスリッター・アイン”の足元に1門ずつ置いてあるから、回収して!』

『あいよ!』

 シュヴァルツリッター・ツヴァイが歩行し、騎士の腕リッター・アーメで2門を回収する。

『助かるぜ、ヴァイス! やってやる!』

『ええ、その調子で頼むわね……!』

 龍野はシュヴァルツリッター・ツヴァイを飛翔させ、眼前に迫るレギオン軍団を迎え撃つ準備を完了させた。

『さあ、来やがれカエル野郎ども……!』

『ギリギリまで引き付けるわ! 待機して!』

 そしてヴァイスの号令で、敵の接近を待ち受ける。


 見渡す限りのレギオン達が、一軒家目掛けて迫って来たのを8機のパイロット達は確認した。


『攻撃開始!』

 ヴァイスの合図により、戦闘が始まった。



 一斉に迫るレギオン達目掛け、遠距離攻撃を可能とする機体は全ての弾薬を叩き込む。

 大部分がはじけ飛んだが、まだ残存するレギオンは残っていた。

『みんな、援護は頼んだぜ! 切り開く!』

『わかってるわ、龍野君!』

『兄卑のくせに、指図しないでよね!』

『わかってるよ、龍野! きっちりボクが仕留めるさ!』

『なら大丈夫だな!』

 大型のレギオン・ミラから仕留めに向かう龍野。

 舌が三本同時に迫るが、障壁で確実に弾き飛ばす。

『はあっ!』

 魔力を纏った大剣で、すんなりと切り裂く。


『側面からも来てるよ!』


 玲香の注意で、シュヴァルツリッター・ツヴァイ、ヴァイスリッター・アイン、ヴァイスリッター・ツヴァイが東を向く。

 そこには通常のレギオンの他、高速の通り雨と、ひときわ巨大な嵐が混在していた。

『きゃあっ!?』

 ビアンカの悲鳴だ。

『どうした!』

 ハーゲンが見ると、レギオン数匹がインスパイアに纏わりついていた。

『ひっ、こいつら装甲を……!』

 障壁の無いインスパイアでは、装甲を貫通されたらひとたまりもない。

『させるかよ……!』

 ハーゲンは手持ちの剣で、正確にレギオンを落とす。

『あんたら、後ろ……!』

 敵に側面を見せたリナリアとインスパイアは、回り込まれていた。

『させないよ……!』

「ダイバリオン」から連射されるビーム砲で、次々とレギオンが吹き飛ばされる。

『うわっ!?』

 しかし、突然の衝撃にバランスを崩した。

 高速型のレギオン・ドリラーに死角を突かれたのだ。

『体当たり!? くっ、この……!(ダメだ、起き上がれない……! こうなったら……!)』

『動かないで、遠山准尉!』

 シュシュが氷剣を手に、ダイバリオンに迫る。

『このッ! いい加減に、離れなさいよッ!』

 ダイバリオンに馬乗りになっているレギオン・ドリラーを切り捨てると同時に、距離を置く。

『助かったよ、シュシュちゃん!』

『シュヴァルツシュヴェーアト殿下とお呼びなさい!』

『はーい、シュシュ殿下!』

 戦線復帰したダイバリオンが、肩部のビーム砲を連射する。

『だいぶ数が減ってきましたわ……! あともう一息……!』

「はい、ネーゼ様……!」

『後もう少しね……!』

『さっきの恨み、晴らすわよ……!』

 ネーゼの呼びかけに、全員が、特に帝国軍勢が意気込む。

『俺達もまだまだやるぜ……!』

 切り込みを終えた龍野は、実弾砲を射撃しながら戻る。

『あのデカイのを仕留める……! 雑魚は任せたぜ……!』

『ええ、いってらっしゃいな龍野君!』

 ヴァイスの火力支援を受けながら、龍野はレギオン・キングの元へ向かった。


『おうコラ、てめえが指揮官かよ』

 龍野は大剣を構えると、レギオン・キングの真正面へ立つ。

『覚悟しやがれ……!』

 シュヴァルツリッター・ツヴァイは一直線にキングへと向かう。死角からの攻撃にキングは気づかず――


 二刀流によるX字状の斬撃で、あっさり体を両断された。


 同時に、他のレギオン達も駆逐されつつあった。



『さて……これでほぼ全部、か……?』

『そうだね。けれど警戒はしとくべきだよ』

『なら俺がやろう。ネーゼ様、先に降りていてください』

『わかったわ、ハーゲン』

おれにもさせてくれ』

 こうして一軒家周辺のレギオン達を駆逐した一行は、順次機体から降りていった。



作者からの追伸


 有原です。

 この話で示した通り、残存するレギオンはまだまだいます。

 ですので、2日目の戦場の天気も、局地的ではありますが変化しているでしょう。


 ただ、一言だけ言わせていただきます。


 全員ロボットに乗っているから、雨なんて効かねえんだよッッッ!


 攻める相手を間違えましたね、レギオンども。

 では、今回はここまで!

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