徹底改造

「さて、着いた着いた。おっ、玲香とハドロン改もいるな」

 ハドロン改の前に昇竜の残骸を置いた龍野は、機体を格納庫に戻す。

「これでよし。ふう、疲れたぜ……」

 龍野がエレベーターで部屋に向かう。

 と、降りる直前、「チェルノブ」と多数の宝石を抱えたヴァイスと出会った。

「お帰りなさい、龍野君」

「ただいま、ヴァイス。それ、どうしたんだ?」

「戦力強化よ。持ち帰ってくれた『昇竜』の残骸を使って、ね」

 ヴァイスはそれだけ告げると、エレベーターに乗り込んだ。

「それじゃ、ちょい待ち」

 龍野は1階のボタンを押すと、すぐにエレベーターを出たのであった。


     *


「初めまして、遠山玲香准尉。わたくしはヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティアと申します。異世界の王国、ヴァレンティア王国の第一王女ですわ。以後お見知り置きを」

「貴女は、先ほどの……(うわっ、ボクの苦手な人だ! なんなのその胸!? デカいよ! F? いや、Gくらいはあるかも? もう、何でそんなに大きいのさ~!)」

「ええ。早速ですが、そのハドロン改を一時、お借りしたいのです」

「どうして、でしょうか?」

「強化のためです。貴女の要望には出来る限り応えますので、ご了承くださいませ」

「わかりました。では、どうぞ(うぅ、美人ではあるんだけどなぁ……。やっぱり、大きな胸がある人は苦手だよぉ~)」

「うふふ。ありがとうございます、遠山准尉。家でごゆっくりお休みなさいませ」

 こうしてハドロン改を借り受けたヴァイスは、思うままに改造を施した。


     *


 二時間後。

「遠山准尉。乗っていただいた感想を、教えていただけますかしら?」

 改造を終えたヴァイスは、玲香に頼んで乗り心地を聞いていた。

「すごいです! ただ、少しだけ悩みが……」

「何でしょうか?」

「重量を、もう少し軽くしていただけないかと……」


「じゃ、俺の出番だな」


 いつの間にかハドロン改の側にいた龍野が、『重量調節グラビティ』を発動する。

(全備重量……30tが手ごろか?)

 ハドロン改から紫の煙が上がる。

「さて、これでいいだろ。玲香さん、乗ってくれや」

「うん!」

 玲香がハドロン改に搭乗し、試運転を行う。


「ねえ龍野君。どこで彼女を見つけたの?」

 試運転の間に、ヴァイスが龍野に尋ねる。

「ん? ああ、エリア“ピクロス”でだぜ。ヴァイス」

「あら。要塞にしてたのね」

「まあ、切り刻んじまったがな」

「あらあら。うふふ」

「ハハハ」


 それから30分後。

「ただいま戻りました、姫様」

「どうだったかしら?」

 ヴァイスが尋ねる。

 と、玲香は満面の笑みで答えた。


「最っ高でした! ありがとうございます!」


「そう。では、この子に名前を付けてあげないとね」

 ヴァイスが微笑みながら、新たな名前を付ける。

「ストレートに行きましょうか。そうね、『ハドロン改二』はどう?」

「いえ。ここは『ダイバリオン』でお願いします!」

「うふふ、元より貴女のものよ。では、よろしくね。遠山准尉、そして『ダイバリオン』」


 こうして、新たな戦力を手にする龍野達であった。

 と、アナウンスが響いた。

「ただいま、戦争開始から24時間が経過いたしました。繰り返します。ただいま、戦争開始から24時間が経過いたしました」



作者からの追伸


 有原です。


 遂に「ハドロン改二」こと「ダイバリオン」を手に入れました(ダイバリオンとは、仮説上の粒子だそうです。詳しくは知らないので、響きだけで名前に採用しました)!

 自分で言うのも何ですが、シュヴァルツリッターに劣らぬ(ただしツヴァイ程ではない)性能を手に入れたと信じております。


 元の兵装を引き継ぎつつ、地形適正は……といったものでしょう。

 詳しくは、次の話で紹介いたします。

 ちなみに、魔術師の要素も入っております。


 さて、これ以上は次にいたしましょう。

 では今回はここまで!

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