心安らかにあれ

「来たぜ」

 命令通りにヴァイスの部屋へ入る龍野。

「待っていたわ」

 当然、ヴァイスが待ち構えていた。

「ところで、武蔵はどうした?(ん? アロマの香りが広がってるな……)」

「進藤少尉なら、『単独行動の許可を願いたい』として出撃しているわ。もっとも、オペレーターとしてシュシュをつけているけれど」

「そうかよ。で、俺に何をする気だ?」

「まあ、まずは私の隣に座りなさい」

 ヴァイスに促され、龍野は座る。

「後はそのままでいいわ」

 そして、ヴァイスは龍野をそっと抱きしめる。

 首筋に手を回すと、右手の中指をとんと押し当てた。

(ッ!)

 龍野はわずかに痛覚を感じるが、ヴァイスに体重を預ける。

 だが、バランスを崩してベッドに倒れこんだ。

「龍野君、そのままでいいから聞いて」

 ヴァイスは龍野の耳元で、甘く囁く。

「貴方の持つ激情は、貴方を覚醒させる武器となるわ。それは十分に承知している。けれど龍野君、切り札は何度も切れないものよ。使い過ぎれば貴方の心は壊れ、やがて全てを滅ぼす」

 龍野の上に乗ると、豊かな胸を押し当てながら続ける。

「だから、フーダちゃんと同じように……怒りに制御を付けさせてもらうわ。『龍野君、貴方は私の許しにおいてのみ力を覚醒させる』と、ね」

 そしてヴァイスは、虚脱した龍野を強引に持ち上げる。

 口元にキスをし、意識を元に戻した。


「ん……俺は?」

「うふふ。これで元に戻ったわね、龍野君」

 目が覚めた龍野の視界には、ヴァイスの柔らかな微笑みが映っていた。

「では龍野君。十分な休息を取り次第、出撃してちょうだいな」

 ヴァイスの命令を聞いた龍野は、「んじゃ膝枕でも頼むわ」と言った。

「喜んで。龍野君」

 龍野はヴァイスの膝枕で、十分な休息を取った。



作者からの追伸


 有原です。


 そういう事で、枷は取り付けられました。


 フーダと同じ状態、という訳ですね。

 さて、龍野はどうなるのやら?


 まあ、それは語りましょう。

 では今回はここまで!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る