vs トリプルDレプトン

「では龍野君、シュヴァルツリッター・ツヴァイに乗って」

 ヴァイスの指示で、シュヴァルツリッター・ツヴァイのコクピットに搭乗する龍野。

 すると、顔を歪めた。

『おいヴァイス、離れてろ!』

 念話で指示を飛ばす龍野。

『どうしたの龍野君!?』

『ここに近づいてくる敵機がいるぜ……! 出撃する……!』

 龍野は機体を走らせ、地上に躍り出る。

『そこか……!』

 龍野の視界の先には、銀をベースに白、黄色がミックスされた機体がいた。

『龍野君、オペレートを行うわね! それと一つだけ命令よ、騎士の腕リッター・アーメはまだ使わないで!』

『あいよ!』

 龍野が承諾すると、ヴァイスは一人でモニター室へ向かった。

『シュシュ、進藤少尉と二人でモニター室へ来て』

『はい、お姉様!』

 とはいいつつも、きっちり人数を揃えていた。


     *


『わざわざ乗り込んでくるとはな(ここに来る前に襲撃してきた、“エーギアス兵士型”とは違うな……)』

 双剣を構え、銀ベースの機体を睨み付ける龍野。

『どこの陣営の機体だ?』

 龍野が拡声機能をオンにして問いかけるが、返答は無い。

 代わりに、実体剣を二刀流にして突っ込んできた。

『交戦の意思ありだな……!』

 龍野が二本の大剣で剣を受け止めると、アナウンスが響いた。

「ただいま、J陣営の“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”と、♦️陣営の“トリプルDレプトン”との決闘が成立いたしました。繰り返します。ただいま、J陣営の“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”と、♦️陣営の“トリプルDレプトン”との決闘が成立いたしました。これよりカウントダウンを開始いたします。5, 4, 3...」

(ああ、多分改造が通達されてねえんだろうな。もしくはヴァイスが勝手に名付けたか)

 レプトンの剣を弾き、素早く距離を取るシュヴァルツリッター・ツヴァイ。

「2, 1, 0! 決闘開始!」

 同時に、決闘開始のアナウンスが響いた。



 素早く距離を詰め直すレプトンだが、開始早々刀身を根元から斬り飛ばされる。

 龍野が魔力を纏った大剣で、一気に弾き飛ばしたのだ。

(運動性能や反応速度まで強化されてやがる! ヴァイス、ありがとよ!)

 だが、柄を投げつけながら予備の光剣を抜くレプトン。柄を強引に弾いて距離を詰めたが、既に抜刀は終わっていた。

(なら!)

 引き続き大剣に魔力を纏わせたまま、レプトンの攻撃を防ぐ龍野。

 膠着状態に持ち込んだ――かと思いきや。

 素早くバックステップしたレプトンは、光剣を乱舞した。

(ぐっ……!)

 強化されたシュヴァルツリッター・ツヴァイをもってしても、防戦一方となる程のスピード。

 だが、いつまで経っても障壁と大剣は切られなかった。

(なら……!)

 積極策に出て、内側から光剣を受け止める。

 無理に競り合わず、腕を下げるレプトンだったが、それが隙となった。

「せいっ!」

 素早い蹴りを胸部に命中させ、バランスを奪い去る。

 そのまま両手の大剣を振り下ろし、肩関節を切って両腕を切断した。

『呆気ねえが、これも勝負だ。恨むなよ』

 そして大剣を胸部に叩き込む。と――


「決闘終了。勝者、“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”。繰り返します。勝者、“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”。これにより、J陣営に1のアグニカポイントが付与されました」


 どうやら、今の一撃で“ベル”が破壊されたらしい。

 レプトンの襲撃を退けた龍野は、ヴァイスに指示を乞うた。

『ヴァイス、今日はどうする?』

『基本的には単独行動ね。ただ、“ヴァイスリッター・アイン”と“ヴァイスリッター・ツヴァイ”、それに“漆黒”は動けるわ。そしてあと3時間もすれば、ゼクローザスとインスパイアも修理が完了するでしょうね(今日と言っても、まだ最初の24時間も経過していないわよ、龍野君)』

『なら、敵戦力の殲滅だな』

『ええ。ただ、危なくなったら戻りなさい。補給無しでは長続きしないわよ』

『ああ。それじゃあ、エリア北を調査してくるぜ』

『行ってらっしゃい』

 ヴァイスの言葉を聞き終えた龍野は、魔力を急速に噴射した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る