vs ネクサス機動団
※一部シーンに関しましては、少々強引な解釈を入れさせていただきます。
「一対一を高速で繰り返している」とお考え下さい。
※タイトルである“機動団”は、「空軍における航空団」に相当する架空の部隊単位とお考え下さい。
「これは、もう……」
「やるしかないわよ。ハーゲン、存分にリナリアの力を使いなさい!」
「かしこまりました!」
抜刀し、正眼に構える。
「ネーゼ様から授かったこの機体で、無様な姿を晒す訳にはいかない! 覚悟しろ!」
ハーゲンはリナリアを疾駆させ、ブルーネクサスの集団に突撃した。
*
(……zzz)
ベッドに飛び込んですぐ、眠りに落ちた龍野。
体を休めて15分が経過しようとしていた。
『……し様! 騎士様! 応答してください、騎士様!』
『……誰だ?』
『リオネです! 助けてください、騎士様! ハーゲンが……!』
『ハーゲンが!? クソッ、今どこだ!』
『わかりません! けれど、近くに派手な色の城が……!』
『わかった、今向かう! 踏ん張ってろよ!』
龍野は飛び起き、急いで服を着用する。
そしてシュヴァルツリッターに飛び乗り、機体を飛翔させると、ヴァイスに念話を入れた。
『おいヴァイス! 拠点からおおよそ北東の方角にある、ド派手な色の城に心当たりはねえか!?』
『あら、龍野君。それなら、エリア“美術城イクリプス”が当てはまるわ。ところで、寝ていなくていいの?』
『そうもいかねえ事件が起こっちまったみてえだ! ハーゲン達の危機だとよ!』
『なら、寝ている訳にもいかないわね! ッ、龍野君! リナリアやゼクローザス達の位置を特定したわ! 今座標を送るから、待ってて!』
程なくして、シュヴァルツリッターのレーダーに巨大な矢印が出現した。
『ありがとよ、ヴァイス! 間に合ってくれよ……!』
龍野はシュヴァルツリッターのブースター出力を全開にすると、矢印に従って飛行した。
*
「何機目ですか!?」
「8機目よ!」
一方のハーゲンとリナリアは、苦戦しつつもブルーネクサスを迎撃していた。
「次はどいつだ!」
「ハーゲン、左右同時に来ているわ!」
「ぐっ……! ネーゼ様、口を閉じて!」
ハーゲンはリナリアを跳躍させると、宙返りを決める。
勢いを殺しきれなかったブルーネクサス2機は、互いに光剣を突き立てて自滅した。
「10機!」
「後半分ね……!」
「ええ! ん、敵が撤退していく……?」
「……まさか! 全速力で後退して、ハーゲン!」
何かを感知したネーゼが、ハーゲンに指示する。
「はい……!」
ハーゲンがリナリアを下がらせた直後――
爆炎が、先程までリナリアのいた空間一帯を包み込んだ。
「まさか、今のは……!」
「バズーカ砲ね! 近くに増援が……!」
速度重視の為に火砲を捨てたブルーネクサスではあり得ない。
となると――
「見つけたわよ、オレンジネクサス……!」
「あの陰にいるのか……! おっと!」
リナリアは、ブルーネクサス10機、そして多数の増援の機体群に囲まれていた。
*
「ハーゲン! 動いて、ゼクローザス!」
ゼクローザスを走らせようとするリオネ。
だが、機体の動作は鈍くなっていた。
「どうして……!?」
「無茶しないでよ、ゼクローザスで!」
そこに、1機のインスパイアが駆け寄ってきた。
『私はウーサル・ビアンカ! あなたは!?』
『リオネ・ガルシアよ! もしかして、ビアンカって……あの、ピンク色の毛並みを持つビアンカ!?』
『そうよ、ビアンカは私よ! それよりも、どうなっているの!?』
『ハーゲンが……!』
『ハーゲンが、どうしたの!? ッ、何よあのネクサスの数……!』
『だから助けないと……!』
『ダメよ! いくらゼクローザスでも、あの数に、しかもそんなボロボロの状態で突っ込んだら……!』
『でも、何とかしなくちゃ……!』
『武器を貸しなさい。私が76.2mm(速射砲)で突っ込むから、ネクサスどもが近づいてきたら滑腔砲で自衛して。盾、あげるから』
インスパイアが盾を地面に突き立て、ゼクローザスから速射砲を受け取る。
『少なくとも、今の状態なら私のインスパイアが動けるわ。どこまで出来るかわからないけれど、やれる限りはするわね(でないと、ハーゲンに私を認めさせる事が出来ないから……!)』
滑腔砲を構え、ビアンカはネクサスの集団に突っ込んだ。
「はぁ、はぁ……。こいつら、どれだけいるんだ……!?」
途切れないネクサスの波状攻撃に、ハーゲンも疲弊し始めていた。
「まだ来るわよ……!」
「はい、ネーゼ様……! ッ、これは!?」
突如として、ブルーネクサスの2機が爆発した。
『そちらの機体、聞こえるかしら!?』
『その声……ビアンカか!?』
『ハーゲン!』
『わたくしも忘れないでくださいませ』
『ネ、ネーゼ姫殿下!?』
『後だ! とにかくよく来てくれた、ビアンカ! まずこいつらを片づけるぞ……!』
『ええ……!』
ハーゲンは気力を振り絞り、接近戦を仕掛けるブルーネクサスを撃墜した。
「まだ来るわね……! 右に跳躍して!」
「はい!」
一方のビアンカも、やや離れた距離から速射砲を叩き込んでいた。
「このぉッ!」
しかし、墜としても墜としても、依然として数は減っていなかった。
「くっ……!」
その時、1機のオレンジネクサスがビアンカを狙っていた。
バズーカ砲が火を噴く。
『避けろビアンカ!』
『何……きゃっ!』
回避が間に合わず、肩部装甲に命中する。
『大丈夫か……!?』
『大丈夫……ッ、しまっ!?』
隙を突かれ、2機のブルーネクサスがビアンカのインスパイアに迫る。
『ビアンカ――ッ!』
「ハーゲン! 前!」
「何っ!?」
リナリアも急襲してきた別のブルーネクサスに阻まれた。
(クソッ……! 仮にも同僚を、見殺しなんて……! 頼む、誰でもいいから助けてくれ……!)
ハーゲンが心中で祈る。
と、
(こんな時にアラート!? しかも1機――いや、この反応は!)
すると、オレンジ色の
それぞれの
それは、龍野の乗るシュヴァルツリッターであった。
『来てくれましたか、騎士様……!』
リオネが歓喜の声を上げる。
『遅れちまった! だが、派手な爆発がいくつもあったし、何よりもヴァイス達に――仲間に、この場所を教えてもらったからな! 今から加勢する、この青とオレンジの機体群を全滅させりゃあいいんだろ!?』
『ああ! 頼むぞ!』
ハーゲンが肯定すると、龍野は瞬時に機体を加速させる。
瞬く間に、1機始末した。
「次!」
迫る光剣をかわし、カウンターの斬撃で一刀両断。
更に盾を構え、ロケット弾の発射準備を整えた。
「オラァ!」
射撃体勢のオレンジネクサスに突っ込み、盾を突き立てるシュヴァルツリッター。そのままゼロ距離でロケット弾を命中させ、撃墜した。
『無理なヤツは下がってろ! 特にゼクローザスとインスパイア! 俺との戦いでダメージ受けてんだろうが!』
インスパイアを下がらせつつ、更に斬撃と
あっという間に、残り7機となった。
『ハーゲンも下がれ! そろそろ限界だろうが!』
『ああ、そうさせてもらう!』
リナリアも後退し、戦っているのはシュヴァルツリッターだけとなる。
だが、敵は既に戦意喪失しつつあった。
『どうした? まだ7機もいるんだ、かかってこいよ……!』
離れたオレンジネクサスに
『さあ、来いよ!』
近くのブルーネクサス達を、踊るように斬り捨てる。
残っていたオレンジネクサスがバズーカ砲を発射するが、盾と障壁で無効化された。
シュヴァルツリッターの
最後のブルーネクサスが自棄になり、突っ込んで来た。
『だったら……!』
龍野は光剣を、魔力を纏わせた盾で防ぐ。
同時に大剣を胴体に突き立て――
「終わりだ!」
持ち上げてから、一気に地面に叩きつける。
同時に、ブルーネクサスも爆散した。
*
『間に合って良かったぜ。帝国の皆さんが無事で何よりだ。ネーゼ殿下、貴女も』
龍野が拡声機能をオンにし、ハーゲン達の機体に話しかける。
『助かったぜ、龍野……。しかし、誰が呼んだ?』
『私よ』
名乗ったのは、リオネである。
『彼と戦った時、霊力に似た力を感じたから……。それに、実はね……』
言葉に詰まるリオネ。
『血、吸わせてもらったんだ……』
『お前吸血鬼かよ!』
『落ち着けハーゲン! その通りだけど合意の上だ!』
『ちょっとエロいわよ、須王龍野!』
やはりひと悶着となったようだ。
『まあそういう訳だ。大方俺の血を吸ったら、魔力が少し流れ込んで波長を掴み、それを頼りに連絡した、ってところだろうな』
強引に鎮静化させようと、龍野が総括する。
『ともあれ、何とか乗り越えたな』
『ああ。何度感謝すべきか』
『ところで、お前らはこの後、何か目的とかあるのか?』
『あるぜ。“フェオ”っていう整備士がいるんだが、そいつが行方不明だ』
『私が同じ場所にさらわれたけど、ゼクローザスを強奪して脱出する時には行方知れずだったのよね』
『となると……そいつを探すのが、目的か。手伝うぜ』
『頼むぜ、龍野』
こうして龍野は、帝国軍の勢力と行動を共にする事となった。
作者からの追伸
有原です。
『エネミー』とは一対一とありますが、定義が不明な為、敢えてこの話を投稿いたしました。
それよりも、全然「平和」ではありませんでしたね。
反省しなくては。
さて、配下を多数殲滅させた事ですし、そろそろビンインにマークされた頃合いか?
しかし今回はここまで!
ロケット弾の残弾数:24発(これはメモです)
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