一時帰還と別働勢力

※ハーゲンとネーゼ姫が搭乗する「リナリア」は、元々正式な“代理”ではありません。

 また、既に敗北したゼクローザス並びにインスパイアも、既に正式な“代理”ではありません。

 上記二点を踏まえ、お読みくださいませ。


「よし、着いたぜ」

 一軒家に帰還した龍野は、「チェルノブ」を抱えて自室に戻る。

「後でヴァイスに見せるか」

『龍野君、鹵獲ろかくした物資は私の部屋に置いて頂戴』

「あいよ」

「チェルノブ」をヴァイスの部屋に置き、支度を始める。

『小休止を認めるわ。後で起こしてあげるから、寝てもいいわよ?』

「ああ、そうさせてもらうぜ」

 ヴァイスの言葉に甘えた龍野は、自室で仮眠を取ることにした。


     *


 一方のハーゲン達は、リナリアとゼクローザス(加えてインスパイア)を疾走させていた。

「さて、リオネは救出しましたね。ネーゼ様」

「どちらかと言えば、彼女が強引に脱出してきただけだと思うわ。けれどあの黒騎士には感謝しなくてはね、ハーゲン」

「はい」

「しかし、フェオは一体……。念話も全く通じていませんし、まさか……」

「気を強く持ちなさいハーゲン。現にリオネは生きていたのだから!」

 弱気になったハーゲンを叱咤するネーゼ。

 しかし、いつもゼクローザスの整備で世話になっていたフェオが行方不明になった事実は、ハーゲンの気力を否応なしに奪っていた。

「ん……あれは、ネクサス、か?」

「ブルーネクサスですわね。しかし、この数は……」

「ええ、厄介ですね……!」

 一方のリナリアは、“ブルーネクサス”20機に囲まれていた。



(ハーゲン……!)

 その様子を、遠くでリオネが見守っていた。

(今のゼクローザスでは、時間稼ぎにもなるかどうか……!)

 いくら完全に破壊していないとはいえ、内部フレームにはガタが来ている。動かすのが精一杯だった。

(お願い……出来るかどうかわからないけれど……!)

 リオネはある男の顔を思い浮かべ、念話を何度も掛けた。



(あれは……ゼクローザス! 見つけた!)

 ゼクローザスの更に後ろにいたビアンカと、彼女の駆るインスパイアもまた、追いすがろうとしていた。

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