強制執行

「おい、ちょ、いい加減に……ぐぅ」

 何やら良くない夢を見ている龍野。

「……ん? ちょっと待て、どういうこった!?」

 レム睡眠から飛び起き、側にいたヴァイスに話しかける。

「なあヴァイス、俺の錯覚だったら申し訳ねえんだが……」

「いえ龍野君、多分錯覚では無いわ。視界に直接『戦力調整に関する強制執行のお知らせ』と浮かんでいるわね」

『戦力調整に関する強制執行のお知らせ』には、以下のように記述されていた。



 J陣営の須王龍野様、

 ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア様、

 シュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティア様、

 進藤武蔵様。


 突然の無礼をお許し下さい。

 今回、あなた方の戦力については少々過剰であると判断した為、誠に遺憾ではありますが、戦力の大部分を送還させていただきます。


 具体的に記述いたしますと、


・ヴァレンティア城(本体)

・ヴァレンティア城(敷地)

・ヴァレンティア城(在中スタッフの皆様)


 上記三項目を元の世界へ送還いたします。


 ただし既に登録済みの戦力(及び付随する設備)や、いくつかの通貨あるいは通貨に替えうるもの(貴金属や宝石類など)は、あなた方の有するスペース(10m×10m×10m×4)に収まる範囲で調達いたします。

 また、お詫びとして一軒家、加えて馬車と馬車馬をセットで1ユニット、お付けいたします。


 では、御健闘を。



「冗談じゃねえぜ……」

 龍野がぼやくと、目の前に"10"という数字が見えた。

「おい、カウントダウンされてるぞ……!」

 数字は容赦なく減り続けて行き、"0"と表示される。


 その瞬間。

 ヴァレンティア城一帯に、光がはしった。

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