出撃待機

「さて、状況確認は終わり。一度戻りましょう?」

 ヴァイスの鶴の一声で、全員は一度ヴァイスの部屋に向かう運びとなった。


     *


「なあ、ヴァイス」

「何かしら? 龍野君」

「『』って、どういうこった?」

 僅かな引っかかりを捉える龍野。

「それは待てば分かるわ。今私が言うべきことではない、それだけよ」

「おいおい……」

 龍野が詰め寄ろうとすると、ヴァイスは人差し指を眼前に突き付けた。

「では言っておくわね龍野君。『作戦立案は将の仕事、作戦遂行は兵の仕事』。そういう訳だから今は寝ていてちょうだい」

 端的に役割を告げ、引き下がらせる。

「あいよ……。その時が来たら、きっちり教えてもらうぜ」

「それは当然。上下関係はあれど、幼馴染という関係を忘れる程私は冷淡ではないもの」

 ヴァイスは龍野が部屋備え付けのベッドで寝たのを確認する(ヴァイスのものであるが、ヴァイスが許可している為何の問題にもならない)。

 そして武蔵を空いた部屋へ案内してから、部屋でフーダ、それにシュシュの三人で情報の整理を始めた。

「フーダちゃん。私達はあくまで、協力するだけよ。行うのは、自らの意思であること。これだけはわかって」

「うん」

「正直乗り気ではありませんけれど、お姉様が手助けするとなれば話は別ですわ。しっかりしなさいよね?」

「……うん」


 兵達が眠っている間に、将達の作戦会議は進んでいった。

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