登録――漆黒

(おそらく、おれもだろうな。機体をあの枠に収める必要があるのは。だから既に、サインは書いてある。後は龍野のだけだ)

 機体と装備一式をスペースに収めてもらった武蔵は、龍野がコクピットから降りたのを見計らって声を掛けた。

「龍野」

「わかってるぜ」

 ペンを出し、空いたスペースに「須王龍野」と書き込む龍野。

「これでどうだ?」

「ああ、十分だ」

 三人の名前を書いた紙を手に、コクピットに戻る武蔵。

 そこには、


「須王龍野」

「ヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティア」

「シュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティア」


 の三名の名前があった。


(それはさておき……仕事が早いな、ヴァレンティアの騎士というものは……)

 漆黒のコクピットに搭乗した武蔵は、龍野の仕事ぶりに驚嘆した。

(しかも、きっちり全ての装備を入れてやがる)

 そう。

 本体に固定されている『腕部25mm二連機関砲』と『大腿部ミサイルコンテナ(8発)』、そして『飛翔ブースター』の他に、


『50.8mmアサルトマシンガン』と『76.2mmグレネードランチャー(単発式)』、


『50.8mmハンドガン』、


斬機刃ざんきじん』、


『斬機刃短刀型』、


 以上の装備が全てスペース内に収納されていた。

(さて、後は待つだけだな)

 その五秒後。


 青い光が機体や武装を通り抜けた。


(終わりだな)

 光が止んだのを確認すると、龍野に武装などを出してもらう武蔵。

 そして、コクピットから降りると――


「お願い、ムサシ」


 フーダが無表情に告げた。

「ああ。わかっている」

 力強く返す武蔵。


 これで進藤武蔵と愛機『漆黒』、そしてその装備一式の登録が完了した。

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