登録――ヴァイスリッター・ツヴァイ

(お姉様? それに兄卑も。一体何をしているのかしら?)

 シュシュは機体の異常を捜しつつも、ヴァイスと龍野の様子を遠巻きに見つめる。

(まあ、わたくしはわたくしのすべきことをするだけですわ……)

 異常の捜索を再開しようとした途端、ヴァイスからの念話が飛んできた。

『シュシュ。貴女もあの箱に入りなさい』

『お姉様!? しかし、機体が……』

『当然、龍野君に手伝ってもらうわ』

『兄卑に!? ッ……わかりました』

『ただし、一度私の元に来ること。貴女が再び「ヴァイスリッター・ツヴァイ」に搭乗するのは、龍野君と私のする準備が全て終わってからになるわ』

『はい』

 シュシュはコクピットから降り、ヴァイスの元へと向かう。

 それを確認した龍野が、薄い青枠の中にある(つまりシュシュ用の)装備を運び始めた。

「来たわね、シュシュ。では、これを読みなさい」

 シュシュに紙を差し出すヴァイス。

「読みましたわ」

 三分後、内容を把握したシュシュ。

「では、ここに龍野君、私、そして進藤少尉のサインを書きなさい。少尉!」

「こうなると思っていたぞ。書くさ」

 一番右のスペースに、自らの名前を書きこむ武蔵。

「これで全員だな」

「ええ。ありがと」

 龍野、ヴァイス、武蔵の名前が書かれた紙を見たシュシュは、愛機へ戻った。


 スペースの中には、既に龍野によって武装が積み込まれていた。


 30mmハンドガン、『HG-300 ダガー』、


 30mmサブマシンガン型連射砲、『NMG-300 ストライカー改』、


 127.0mmスナイパーライフル、『SR-1270 ブルーウルフ』、


 250.0mm2連装バズーカ砲、『BZ-2500 ハウリング』、


 40mmヘッドセット状兵装、『魔術機関砲』。


 専用の武装が二つも積み込まれている。

「難儀したぜ。だけど、どうにか全部入れた」

「ありがと、兄卑」

 龍野に礼を告げると、コクピットに乗り込むシュシュ。

(これでいいのかしら?)


 搭乗と同時に、青い光が機体や武装を通り抜けた。


(終わり……かしら?)

 光が止んだのを確認すると、龍野に武装などを出してもらうシュシュ。

 そして、コクピットから降りると――


「お願い、お姫様2号」


 フーダが無表情に、しかし少し渋々といった様子で告げた。

「お姫様2号ですって!?」

「シュシュ、抑えなさい!」

「ッ、お姉様……」

「フーダちゃんも! シュシュを挑発しないで!」

「はーい……」

 喧嘩両成敗である。


 ともあれ、これでシュヴァルツシュヴェーアト・ローゼ・ヴァレンティアと愛機『ヴァイスリッター・ツヴァイ』、そしてその装備一式の登録が完了した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る