登録――ヴァイスリッター・アイン

(龍野君、何をしていたのかしら……?)

 ヴァイスは機体の異常を捜しながら、龍野の様子を遠巻きに見つめる。

(まったくもう……。装備を取る為に機体をあちこち動かすなんて……。けれど、その動きに助けてもらうかもしれないわね)

 龍野が箱から出たのを見届けたヴァイスは、龍野に念話を入れる。

『龍野君、私の「ヴァイスリッター・アイン」も同様にすべきよね?』

『ああ……。けど、今は動けねえだろ』

『ええ。だから動かしてもらうわ。加えて言うと、手足になってもらうわ』

『どういうこった?』

『私の機体と武装を、あの中に運んでもらうわ」

『わかった。まず武装だな』

『濃い青色の枠にあるわ。貴方の武装と似たものだから、問題ないはずよ』

『あいよ』

 龍野は機体を動かし、ヴァイスリッター・アインの武装を取り出した。


『取り出したぜ』

 今回龍野が取り出した武装は、


 30mmハンドガン、『HG-300 ダガー』、


 30mmサブマシンガン型連射砲、『NMG-300 ストライカー改』、


 1.50インチ(38.1mm)アサルトライフル型連射砲、『AR-381 ブレイズ』、


 40mmヘッドセット状兵装、『魔術機関砲』。


 シュヴァルツリッターと完全に同じ武装だ。

『ありがとう、龍野君(もっとも、まだ公表していない装備もあるのですけれどね。まあ先ほどの様子を見る限り、おそらくあの青い光が認識してくれるとは思っているけれど)』

 ヴァイスが礼を告げている間に、龍野はどんどん運んでいた。

『最後はお前の番だぜ、ヴァイス』

 シュヴァルツリッターがヴァイスリッター・アインに触れる。

 すると、ヴァイスリッター・アインから紫の煙が巻き起こった。

『関節は動くか?』

『動くわ』

『なら、運んでやるぜ』

 龍野は重量の無くなったヴァイスリッター・アインを運び、ひざまずかせてからスペースに放り込んだ。

『あら? まだ青い光が……』

『っと、“あの紙”を忘れていたぜ。ヴァイス、機体から降りてフーダから貰え』

『わかったわ。シュシュと進藤少尉の分も合わせて――計三枚でいいのかしら、龍野君?(紙の正体は貰えばわかるでしょうから、聞くだけ時間の無駄というところね)』

『ああ』

 龍野の肯定的な返答を聞き届けたヴァイスは、機体から降りてフーダから紙を貰う。

「フーダちゃん。さっき、龍野君に紙をあげたわよね?」

「うん」

も欲しいな。三枚、ちょうだい?」

「いいよ」

 あっさりと紙を渡すフーダ。

『空いた三つの枠に関しては、勝手に俺の名前をサインしてくれていいぜ』

『これね。シュシュと進藤少尉にもお願いするわ』

『そうしとけ』

 ヴァイスは契約書の内容を吟味すると、シュシュに念話を入れた。

『シュシュ。先ほど、龍野君に名前を書く許可を授けたでしょう?』

『ええ、お姉様。わたくしの名前でよろしければ、ご自由にお書きくださいませ』

『ありがとう、シュシュ(となると、後は進藤少尉ね)』

 ヴァイスは龍野とシュシュの名前をサインすると、武蔵のところに駆け寄った。

『進藤少尉、サインを』

『無論だ。おれでよければ力を貸そう」

 無事に三人の名前を書きあげると、コクピットへ戻るヴァイス。


 搭乗と同時に、青い光が機体や武装を通り抜けた。


(終わりね)

 光が止んだのを確認すると、龍野に武装などを出してもらうヴァイス。

 そして機体を元あった場所に格納してもらい、機体から降りると――


「お願い、お姫様」


 フーダが無表情に、しかし少しうれしそうに告げた。


 これでヴァイスシルト・リリア・ヴァレンティアと愛機『ヴァイスリッター・アイン』、そしてその装備一式の登録が完了した。

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