覚醒せし三騎士 その2

 各機のバイザーが点灯したと同時に、龍野達の視界に変化が生じた。

「ヴァイス、俺の目がおかしくなっちまった」

「いえ龍野君、正常よ。うまく起動してくれたわね」

「どういうことですの、お姉様?」

 シュシュも疑問を抱く。彼女の搭乗時間は、ゼロだ。

「私達の駆る3機は、起動と同時に、視界を機体のメインカメラにリンクするようになっているの。効率的な戦闘が出来るようにね。では龍野君、『歩く状態をイメージ』して!」

 早速のヴァイスからの指示を、黙って遂行する龍野。

 すると、シュヴァルツリッターが左足、右足の順に足を踏み出した。

「すげえな、これ……!」

「流石はお姉様ですわ!」

 シュシュも慣熟を終えたようだ。シンプルな操作、確実に反応してくれる機体。その性能に、二人は驚嘆した。

「後は、いつもの動きをイメージして!」

「あいよ! それじゃあ、行くぜ!」

 龍野はシュヴァルツリッターを数歩だけ歩かせたのち、ダッシュに移行した。

「うふふ。やはり慣れるのが早いわね、龍野君」

 ヴァイスとシュシュも続けて、それぞれのヴァイスリッターを走らせた。


「ああそうそう、そういえば。視界に二種類の数字と、三本のゲージがあるでしょ?」

 機体が走っている最中に、ヴァイスは説明を再会した。

 データだけは把握していた、シュシュが答える。

「左は速度計、右は高度計ですわね。ゲージは、上から……『障壁』『耐久』『魔力』」

「そいつぁ……『残量計』だろ? 『障壁』はそのまま、どれだけ障壁がもってくれるかって意味だろうし」

「どちらも正解よ、龍野君。ゲージをゼロにしてしまうと、最悪作戦中止になるわ。そして、『障壁』は今言ってくれた通りよ。当然意識してほしいのだけれど、それ以上に残り二つの『魔力』と『耐久』に注意して」

「『魔力』は切らせば死ぬ、ってこったろ? 俺達魔術師は、食事、睡眠、それに魔力で生きてるからな」

「正解よ。同時に、機体の燃料でもあるから、管理はしっかりお願いね」

「わかった……おっと!」

 目の前に、乗り捨てられた車を見つけた龍野。

 機体を跳躍ジャンプさせ、回避した。

「ふう。で、『耐久』は機体のことだろ? ゼロになったら、ぶっ壊れんのか?」

「正解よ。同時に、脱出装置が作動するわ。修理は可能だけれど、くれぐれも撃墜されないようにお願い」

 ヴァイスは強調し、龍野に要望を伝えた。

「あいよ。ところでヴァイス、俺の機体にだけ四本目のゲージがある。それと『0048』って数字も、だ。どういう意味だ?」

 ヴァイスは息を吸うと、回答を述べた。

「龍野君、貴方の機体に盾を持たせているのは知ってるわよね?」

「ああ」

「ゲージは『盾の耐久』、数字は『盾に内蔵したロケット弾の残弾数』を表すわ。管理は任せるわね」

「わかった」

「最後に一つ。シートのひじ掛けの先に、球体があるのがわかるかしら?」

「今手のひらで触ってるやつだな」

「ええ、お姉様」

 龍野とシュシュは、改めて球体を認識した。

「戦闘時は、これに触って動作をイメージして。素早く反応してくれるから(触らなくても反応はするけれど、イメージの伝達速度が鈍ってしまうのよね)」

「わかったぜ、ヴァイス」

「はい、お姉様!」

 ヴァイスは二人の回答に納得すると、遠方の敵を確認した。

「ん、ヴァイス」

「何かしら?」

「左下の円と矢じりは、何を表してるんだ?」

「円がレーダー、矢じりが敵味方の識別と向きね。青は味方、赤は敵。他に黄色があるけれど、それは識別不能な機体だから、確認が取れるまでは近付かないでちょうだい」

「あいよ」

「そろそろ接敵するわ! 気を引き締めてちょうだい!」

「ああ!」

「はい!」

 3機はそれぞれが魔力を噴射し、敵機の背後に着地した。

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