第24話 行き先

「だっ…大丈夫ですか?」


俺は、多少取り乱しながらも倒れこんでいる男に声を掛けた。

うぅ…という、声が聞こえ、目が開きつつあった。


「うぅ…?あいつらは…!」


彼は、気絶から覚めると俺の顔に目をやった。

そこには、何やら焦りが感じられ、男は冷や汗をかいていた。

男は、右腕を左手で押さえ、左足を地面に擦り付けるようにして建物の壁に背をつけた。


「…すまない、私は警察だ。君は早く、家に帰りなさい。…大丈夫、…っ…すまないが、そこのイヤホンを取ってくれないか?」


俺は、肌色のイヤホンを拾い上げ男に渡した。

男は、喉仏の下の所に左手の親指と人差し指をやり、唇を動かした。

そして、言葉を発した後、そこから左手を離した。


「…これで、大丈夫だ。…君は、早く家に帰るか…交番によるといい。…私は、どうやら骨が折れているみたいだから、動けない。…助けが来るまでここに居るよ。」

「でもっ…。」

「いいから、早く!」


強い口調で言われた俺は、罪悪感を感じながらもその男を置いたまま、歩き出した。

彼には、悪いが俺は家に帰れない。

俺は、しばらく歩いたところで家に電話をかけた。

電話に出たのは、妹の茉莉まつりだった。


「もしもし…清水しみずです。」

「茉莉?」

「あっ、うん…どうしたのお兄ちゃん?」

「いや、レーナさんは帰ってきたか?」

「レーナお姉ちゃん?…帰って来てないよ。…というか、2人でどこに言ってたの?」

「散歩だよ…だけど、途中でレーナさんを見失っちゃって…。」


俺は、茉莉に噓をついた。こんなことなら、茉莉にも話しておけば良かったんじゃないのか?っと、俺は再び思った。


「そうなの?レーナさんに、電話は掛けた?」

「えっ、いや…掛けてない。というか、電話番号知らないし…。」

「うん、それじゃあ、私が電話してみるね。とりあえず、お兄ちゃんは一回帰って来なよ。」

「ああ…わかった。」

「それじゃあね…。」


俺は、携帯電話をポケットにしまい。

再びレーナを探すことにした。


「レーナさんが行くとしたら…どこかな?」


俺は、レーナさんと最初に会った場所を思い出した。

その時、彼女は道に迷っていて、俺は学校の近くまで彼女を案内した。

そして、俺の前から姿を消す前に彼女は俺に言っていた。


。』」


学校の近くにあるのは、陸軍基地だ。

彼女が、本当に外交官ならそこに…行くのだろうか?

統合戦技生とうごうせんぎせいとは、一体何なのだろうか?


「学校に行けば…もしかしたら…。」


少なくとも、それが今のところ唯一彼女に繋がる方法だと思った。

そして、俺は学校の方に向かった。

こんな銃声が聞こえ、得体の知れない犯人がうごめく町の中を、俺は駆けて行った。



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