一章 終部 魔法

第22話 隠し事の告白

俺とレーナは、その後店を出て、家に帰った。

そして、俺はレーナに連れられて神社に来た。

レーナと初めてあった装いの俺は、道中彼女に話しかけることもなく、ただただ沈黙しているだけのレーナに付いていくいくだけだった。

そして、俺とレーナは長い階段を登り、境内に入った。

石の燈籠とうろうは、光を灯すことなく、ただ鎮座ちんざしているだけだった。

やしろは、ただ色を失っていた。


「なあ、レーナ…。」


俺は、レーナに話しかけた…なぜこんな所にまでくる必要があったのだろうか?

それほど、人には言えないようなことなのだろうか?


「そうですね…。」


レーナは辺りを見回した。まだ、警戒しているようだ。


「…はい、それでは本題に入りましょう。」っと、どこかせわしない口調で答えた。

「昼間の話だよね?…大吾だいごについての。」

「はい、そうです。」

「…それって、茉莉まつりには聞かれたら困ることなの?」

「…ええ。」


そう、レーナは言葉をひそめた。


「あまり聞かれたくはない話です。…私が一条いちじょう大吾だいごについて調べているのは本国ドイツからの指令です。私は、外交官として日本に送られました。そのため、まずはあなたとの関係を持つことで、私は、ターゲットである一条に近づこうとしていました。」

「…外交官?」

「…はい。」

「…いきなり何を言って。」

「どうですかね…一般的ではありますよ。そもそも、この国にも既に何か国からも工作員が紛れ込んでいます。」

「だから…何を言っているんだ!」


工作員、外交官…それが、何だっていうんだ。

君は、ただの留学生だ。

俺には、ただそれだけなのに…どういうことなんだよ、それ!

訳が分からない。

それが、どう大吾に関係しているのかも。


「…レーナ、俺には良くわからないよ…確かに君と会った時だってなんか違うのかなとは、思っていたし…外交官だとしても、それは関係のないことだし…。」

「すいません…でも、仕方ないです…けど、あなたには知ってもらいたいんです。もうすぐ、何かが起こります。」

「…何かって?」


俺がそう、レーナに返すとレーナは凍り付いたように俺に視線を向けた。

おそらく、予想はしていた答えなのだとわかっていたようだ。

けど、実際にはレーナ自身も答えたくないことだった。

だから、悲痛そうな顔をしていた。


が、起こります。」


そう、レーナはつぶやいた。

やけに、真剣にそう話すので俺は返す言葉が見つからなかった。

だいたい戦争なんて今も起き続けている。

それこそ、俺が寝ている間に死体が5つできるように。

そもそも、火がなくて戦争は起きている受験や人間関係などそういった物だ。

だから、レーナが言った戦争とは血が流れるものなのだろう。

それが、この日本で起こるというのは冗談のように聞こえた。

確かに日本は武器をそれこそ、南アフリカに送り込んだし、アメリカ軍の中国侵攻、さらには第二世界セカンドワールドにも輸出をしていた。

しかし、それでもテロは起こらなかったし、戦争なんて起きもしなかった。

だから…俺は、やっぱりレーナの言うことがわからない。


「…戦争なんて起こらないよ。」


俺が出した回答はそれだった。


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