第21話 ほうじ茶とお団子
「これが、お団子ですか…。もちもちしてて、美味しいです。」
レーナが頼んだお団子もすぐに来た。
特に何も変わったところのないどこにでもある見た目のお団子だった。
赤、白、緑で少し大きめに作られているようにも思える。
お皿にはこのお団子が2本あるだけだった。
「ごちそうさまでした…なるほど…すいません!」
「はい。」
「ほうじ茶をください。」
「ほうじ茶ですね。かしこまりました。」
レーナは、お団子を食べ終わるとすぐさま店員に呼びかけほうじ茶を注文した。
机の上にはご丁寧に呼び出しのボタンが置いてあったが近くに店員が居たため、呼びかけた方が早かった。
すでに、抹茶アイスを食べ終えていた俺は、まだ、冷たい水を飲んでいた。
「なるほど…お茶が欲しくなるからお団子なんですか。」
「いや、たぶん違うと思うよ。」
「そうですか…ところで、ほうじ茶ってなんですか?」
「お茶の一種だよ。」
「そうではなくて、どんな感じなんですか?」
「えっ、ああ…なんというか烏龍茶よりさっぱりした感じだよ。」
「う~ん、よくわかりません。」
「お待たせいたしました。ご注文のほうじ茶です。」
すぐさま、頼んでいたほうじ茶が来た。
なんというか、まあ、手の込んだ感じだった。
お盆の上に
「お熱いのでご注意ください。それでは、ごゆっくり。」っと、店員さんはまた、店の中をせわしなく歩いていった。
レーナさんは、物珍しそうに急須を眺めていた。
「あの…これ、どうやって使うんですか?」
「ああ、そっか…もしかしてこれを見るのが初めて?」
「はい、ポットに似ているような気もします。」
「まあ、ポットみたいなものだよ。急須って、言ってお茶を飲むのに使うんだよ。」
「なるほど…ところで、この中に入っているのがほうじ茶でしょうか?」
「ああ、そうだよ。」
「…。」
「どうかした?」
「いえ、何と言いますか…その…もしかして沸かしたお湯のことをほうじ茶と言うのでしょうか?」
「いや…そんなことはないよ。この急須の中には茶葉が入っていて、それでなんというかコーヒーみたいに抽出しているから。」
「そうですか…この蓋を開けてもいいですか?」
「ああ、いいんじゃないかな。」
「わかりました。…確かに細長い何かが入ってますね。…茶葉…ということは紅茶と同じ…。それじゃあ、注ぎますか。」
「傾け過ぎると、お茶が蓋から出てくるから気を付けて。」
「はい…よし…いい感じです。」
そうして、湯飲みにほうじ茶が注がれた。
「それじゃ…あっち…まだ、熱いです。」
「まあ、そうだよね。」
「うぅ…大吾さんはこんなに熱いのどうやって飲んでいるんでしょうか?」
「確かあいつ
「うぅ…それを先に言ってください…私も猫舌なんですよ。」
そうして、レーナは水を飲み、俺は、ただその光景を見ていた。
俺は、空になったコップを右側に置いておき、左腕の腕時計を見た。
まだ、大丈夫そうだ。
「ところで、レーナさん。」
「ぁっぃ…あっ、はい、なんでしょうか?」
「何で今日になって、大吾のことを知りたがっているんですか?」
俺がそういうとレーナは、困った顔をした。
そして、何か言いずらそうに俺から目をそらした後、湯気の立っている湯飲みの中に視線を向けた。
聞かれたくないことを俺は、聞いてしまったようだ。
「あの…言いたくないならいいんだけど。」
「いえ…そのことは、ここを出てから話しましょう。」
「いや…別に俺はそんな野暮なことはしたくないというか…その、まあ、応援するよ。」
「
「あ~、何というか浮いているかな?」
「…ここは、人が多すぎます。そうですね…
「えっ?」
急に、レーナさんが何を言い出したのかと思い、俺は彼女の顔に目をやった。
その青い瞳には、ただ闇が座っていた。
「ですから、帰ったら寝る支度はしないでください。そうですね、初めてあった時と同じ格好でいてください。夜は冷えますので…。」
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